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63.龍之介、齋藤専務と面会する

Author: 桜立風
last update publish date: 2026-04-21 11:20:19

「……バカね。冷たく出て行けって言っといて、後になって死にそうになるなんて」

「あー…?……るせぇよ」

蔵之介から送られてきた動画に映る桜を見ながら、深いため息をつく俺を、麗香が呆れ顔で見下ろす。

……何の説明もしなかったのは、確かによくなかったと思う。

だが……屋敷に客人が来た場合、俺が桜に目をかけていることに気付かれると、あいつに危険が及ぶ可能性がある。

西龍会、若頭の女だと思われて。

もし顔を覚えられたら、ここを出て1人で暮らし始めたあと、トラブルに巻き込まれないとも限らない。

だから……真理がやって来た瞬間から、なるべく桜を遠くに置いたわけだが。

「……あーあ、いつもそんなことばっか気にして……本当に嫌んなるぜ」

呆れ顔の麗香は、一旦自分の部屋に入り、携帯を手にリビングに戻ってきた。

「齋藤専務に確認したけど、真理さんは確かにボランティアメンバーだそうよ」

「そうか……」

俺から離れ、桜が1人立ちすることに協力する側の人間だったとは。

「……その齋藤って男に、1度会いに行ってみるか」

「なんで?」

「ちゃんとした奴なのか?……お前は当てにならねぇからな。自分の目で確かめてみる
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yuu
まさかここも繋がっていたなんて… 麗香さんは本当に何も知らない?
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