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第6話 ​

Penulis: 満天星ちゃん​
再び目を覚ました時、深雪は自分が病院に運ばれていることに気づいた。

「動いちゃだめ!」

看護師がちょうど薬の取り替えに来たところで、起き上がろうとする深雪を慌てて止めた。

「あれだけ血を流したのですから、大人しく休んでください。それにしても、通りすがりの人に運ばれてきてからもう丸一日が経つというのに、どうしてご家族から連絡がないのでしょうか。ご主人の電話もつながりません」

その言葉に、深雪は苦しげに唇の端を歪め、かすかに笑みを浮かべた。

「夫はいません」

入院してから二日が経とうとする頃、武志がようやく姿を現した。

「体調はどう?」

そんな気遣いの言葉をかけられても、深雪の心には一欠片の喜びも湧かなかった。

彼女は静かに彼を見つめ、淡々と話した。

「どうしてここにいるの?浜田さんのそばにいてあげなくていいの?」

武志は一瞬言葉に詰まり、しばらくしてからようやく口を開いた。

「深雪、お前は機長だ。厳しい訓練を重ねてきたし、人一倍体も丈夫だろう。だから、あの時は鈴を先に助けたんだ。悪く思わないでくれ」

深雪はそっと目を閉じ、しばらくの沈黙の後、言葉を紡いだ。

「分かってるわ。言い訳はもう済んだでしょ?それなら、さっさと行って」

彼女の冷ややかな口調と態度に戸惑いを覚えながらも、武志はしばらくして言った。

「お前の看病をしに来たんだ。前は俺の面倒を見てくれただろう?夫婦なら、お互い様じゃないか」

――夫婦、か。もうすぐそうじゃなくなるけど。

それ以来、武志が何を言おうと、何をしようと、深雪は終始そっけない態度を崩さなかった。

かつての二人の立場が、今や完全にひっくり返ったかのようだ。

なぜか武志の胸に、名状しがたい不安がよぎった。何かが静かに、手の届かないところで狂い始めているような気がしてならない。

けれども、鈴から一本の電話がかかってくれば、彼はそんな胸のざわめきなど、たちまちきれいさっぱり忘れてしまうのだ。

深雪が退院するその日、武志の実家から電話があり、家族の食事会に招かれた。

武志の両親からの直々の誘いであれば、二人とも断るわけにはいかず、身なりを整えて向かうことにした。

その席で、深雪も武志も終始黙り込んだままだ。その重苦しい沈黙の原因は、親たちからの「子供はまだか」という急かし立てに他ならない。

二人が夫婦になってから三年が経ったが、深雪に子供を授かる気配はまったくなかった。

以前は武志が子供を望んでいなかった。彼は常に必ず避妊の手立てを講じており、手元にそれがなければ、たとえ途中であってもきっぱりと肌を離した。

昔の深雪はその本心が分からず、ただ二人きりの時間を大切にしたいのだろうと思い込んでいた。けれど今になって思えば、愛していない女との間に子供など欲しくなかっただけだ。

だからこそ、これまでは親に急かされるたび、武志は口を閉ざし、深雪がそれを取り繕ってきた。

だが、今日の深雪はもう何も言い訳をしなかった。二人の関係がもうすぐ終わりを迎えることを、自分だけが知っているからだ。

家に戻ると、武志が真っ先に向かったのは浴室だ。

しかし、そこに入ったきり、いつまで経っても出てこない。

浴室からの水の音は、一時間、二時間と鳴り響き続けた。深雪はすでにゲストルームの浴室を借りて身だしなみを整え、ベッドに入って休もうとしたその時、武志が不意にドアを開けて現れた。

湯気一つ立たない浴室から出てきた彼の体からは、凍えるような冷気が漂っている。髪の先からぽたぽたと滴る水滴が、部屋着に染み込んでいく。

「風邪をひいたみたいだ。お前にうつしたくないから、先に休んでくれ」

彼はいい加減に髪を拭うと、まるで怖い物を避けるかのように、深雪から一番遠いベッドの端に横たわった。

枕元のカレンダーの日付が目に留まり、彼女は今さらながらに思い出した。今日は、月に一度と決められている夜の営みの日だと。

武志の両親の言葉を思い出し、胸の内で皮肉な笑いを漏らした。

そんなに警戒しなくてもいいのに。今の彼女の頭にあるのは去ることだけで、もう彼との子供を望むことなど、微塵も残っていないのだから。

誰よりも近くにいるべき夫婦の間に、もう二人が入れるほどの隙間がぽっかりと空いている。

重苦しい静寂の中、武志のスマホが鳴り響いた。

深雪の耳には途切れ途切れにしか聞こえないが、どうやら鈴からのもので、ナイトクラブでチンピラたちに絡まれているという内容らしい。

受話器の向こうから騒ぎと悲鳴が聞こえるや否や、武志は弾かれたように起き上がり、着替える間も惜しんで車の鍵を掴み、飛び出していった。

終始、深雪に一言もかけることはなかった。

彼女は唇の端を歪め、そっとまぶたを閉じた。

夜も更けた頃、今度は彼女のスマホが鳴り始めた。

着信音で目を覚まし、おぼつかない意識のまま画面を見ると、武志の親友からだ。

電話に出るなり、聡の焦りきった声が耳に飛び込んできた。

「深雪さん!武志が刃物で五箇所も刺されて、今病院で命の瀬戸際なんだ。一刻も早く来てくれ!」

深雪の頭の中は一瞬で真っ白になり、しばらくしてようやく生返事を返した後、服を着替えて病院へと急いだ。

手術室の前で、鈴は強い酒の匂いを漂わせながら、ひっきりなしに涙を流してむせび泣いている。

「私のせいで……あのチンピラたちは本当は私を狙ってたの。私が何度も言い返して彼らを怒らせなければ、私をかばってくれなければ、武志さんが……あんなひどい怪我を負うこともなかったのに……」

聡は怒りに震え、じっとしていられず、やりきれない様子で彼女に怒鳴りつけた。

「お前も武志も同じAB型なんだ。彼がお前のためにこうなったって分かってるなら、申し訳ないと思うなら、血をあげろ!泣いてばかりいて何になる?それで彼の命が助かるのか!」

「嫌……私には無理よ……体調が良くないの……」

鈴は恐怖に身をすくめ、怯えた表情で次々と言い訳を並べ立てた。

「それに、注射針を見るのも怖いし、献血なんてできない!

聡は院長でしょう?どこかからもっと血液を融通すればいいじゃない。どうして私にばかり頼むの?本当に無理よ」

彼女は後ずさりを続け、今にも物陰に隠れてしまいそうだ。

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