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歳月は易く過ぎ去り以後は会わず
歳月は易く過ぎ去り以後は会わず
مؤلف: 小豚狐

第1話

مؤلف: 小豚狐
「先生、決めました。紅蓮ダンスカンパニーからのお誘いを受けます」

電話口の向こうから、恩師・水城晴(みずき はる)の声が弾み、抑えきれない喜びが伝わってくる。

「ようやく決心がついたか。すぐに手配してやろう。俺の教え子なら、将来と男のどちらを選ぶべきかくらい、分かっていて当然だ。一週間だけ時間をやる。友人たちとしっかり別れを済ませておけ。

それから、両親によろしく伝えておけよ。俺は先に渡航の準備を進めておく」

星野美玲(ほしの みれい)は小さく返事をして電話を切った。無意識に手首の金の腕輪へと指が伸びる。

その黄金の輝きの下には、ムカデのように醜くうねる傷痕が隠されていた。

選んだのは美玲ではない。男も家族も、彼女を切り捨てる道を選んだのだ。

化粧室の外から、控えめなノックが響く。

「美玲、入っていい?」

言葉より早く、星野瑠花(ほしの るか)が扉を押し開けた。大きく潤んだ瞳は、誰を見ても怯えた小動物のような無垢を装う。

白い首筋に浮かぶいくつかの赤い痕がいやでも目を引いた。

美玲の視線に気づいた瑠花は恥じらうように襟をかき合わせ、甘ったるい声で言う。

「もう、隼翔のせいなのよ。どうしても私に絡んでくるんだから」

美玲は冷ややかな表情しか返さない。

瑠花の口にする隼翔は、かつて美玲の婚約者だった。

しかし今では瑠花の婚約者である。

美玲は忘れていない。瑠花が家に戻ってきたばかりの頃、花村隼翔(はなむら はやと)は美玲を屋上に呼び出し、満天の星空を指差して誓った。

「俺が欲しいのは美玲だけだ。誰が戻ってきても、愛しているのは永遠に美玲だけだ」

――その熱烈で堂々とした愛は、わずか一年と三ヶ月しか続かなかった。

別の夜、同じような星空の下で隼翔は服装の乱れた瑠花を抱きしめ、星野家の大広間で膝をついた。

そして懇願したのだ。「婚約者を美玲から瑠花に替えてほしい」と。

この無垢そうな顔の奥に、どれだけの汚れと打算が潜んでいるのだろう。

だが幸いなことに、美玲はまもなく去る。

彼女は先ほど晴に海外行きを承諾し、紅蓮ダンスカンパニーのダンス顧問の仕事を受けると答えたばかりだった。

最後の国内公演を別れの舞台とし、美玲は二度とこの甘美な愛に酔う二人を邪魔することはない。

「美玲、今回の主役、私に譲ってくれない?お願い」瑠花は美玲の手を取り、甘えるようにせがむ。

長年その手で、美玲のものを次々と奪ってきた。

美玲はうんざりし、強く手を振り払った。「出て行って!」

「美玲……」

瑠花はその勢いで床に倒れ込み、細い手で白い脛を押さえる。瞳には瞬く間に涙があふれ唇を噛んだ。

そこへ隼翔が扉を開けて飛び込んできた。二歩で駆け寄り、まるで宝物を抱くように瑠花を支える。

整った眉を寄せ、心配そうに怪我の有無を尋ねる。

瑠花は弱々しく首を振り、か細い声で答えた。「大丈夫。美玲はわざとじゃないの。私がうまく立てなかっただけ」

その声は嗚咽に震え、とても「大丈夫」には聞こえなかった。

美玲は眉をひそめる。彼女は瑠花を突き飛ばしてはいない。ただ手を振り払っただけだ。こんな稚拙な演技を誰が信じるというのか。

だが隼翔は信じた。

冷たい眼差しを美玲に向け、低い声で言う。「美玲……俺はお前を、星野家に甘やかされたわがままなお嬢様だと思っていた。だが、気性が荒くても少なくとも正々堂々としていると信じていたんだ」

騒ぎを聞きつけ、星野家の三人の兄たちが駆けつける。

彼らは瑠花を囲んで気遣い、その視線は美玲に責めと失望を投げかけた。

「瑠花はずっとお前の代わりに苦しんできたんだ。少しくらい譲ってやれないのか?今回はもう舞台に出るな、瑠花に任せろ」

長兄・星野瑛斗(ほしの えいと)は、いつも最後に決定を下す存在だ。

その一言で、美玲の心は完全に砕け散った。

これは美玲にとって最後の舞台だ。彼女はただ愛するダンスをきちんと終え、皆にしっかりと別れを告げたかった。

なにしろ海外に出れば、美玲は二度と戻らないのだから。

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