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第413話

Author: 雨の若君
三智子は変わらず、足繁くこの場所へ通っていた。

素羽が身籠った今、当然ながら投薬は控えざるを得ない。そのため、彼女への対応はもっぱら情緒面でのケアが中心となっていた。

唯一面会を許されている外部の人間ということもあり、素羽の三智子に対する頑なな態度も次第に軟化し、かつてのような拒絶反応は見られなくなっていた。

「これはあなたのために特別に調合した匂い袋ですよ。昂ぶった神経を鎮めてくれるわ」

三智子は、慈しむように丁寧に手作りされた匂い袋を差し出した。

「今は何よりも、心穏やかに休むことが大切なのですから」

素羽はそれを受け取り、そっと香りを吸い込んだ。清涼感のある香りが鼻腔をくすぐる。かつて七恵に匂い袋を贈っていた経験から多少の知識はあったが、確かに安眠に資する薬草ばかりが調合されているのが分かった。

「ありがとうございます。お気遣い、痛み入ります」

その時、歓喜に満ちた声が部屋の入り口から響き渡った。

「素羽!」

声のした方を振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべた楓華が、今にも飛びかからんばかりの勢いで駆け寄ってくるところだった。

抱きつこうとしたその瞬間、ふ
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