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第412話

مؤلف: 雨の若君
亘はふいと顔を背けた。「別に、契約書を交わしたわけでもあるまいに」

「口約束だって立派な契約でしょう?」楓華が語気を強めて詰め寄る。

「なら、その立派な契約とやらを証明してみせろよ」

「……っ!」

立証などできるはずもなかった。録音もチャットの履歴も残っていない状況で、何を証拠にしろというのか。

第一、この関係を証明したところで何になる。自分と彼がセフレであったと、世間に公表でもしろというのか。

楓華は鋭い視線で亘を射抜いたが、この死に損ないを相手にするのは時間の無駄だと悟り、固く口を閉ざした。

亘はそんな彼女の反応などどこ吹く風で、言葉を継いだ。「素羽が今どうなっているか、知りたくはないか?」

その名を聞いた瞬間、楓華の耳がぴくりと動いた。

だが、彼女は必死に衝動を抑え、振り返りはしなかった。これ以上、奴の術中に嵌まるわけにはいかない。

「なんだ、その程度の姉妹愛か。親友が病に伏せっているというのに、気にも留めないとはな」

言葉が終わるか終わらないかのうちに、楓華は疾風のごとき速さで亘の眼前に立ちはだかった。

彼女は亘を真っ直ぐに射抜き、切迫した声を絞り出す。
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