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浮気相手との修羅場、7年の恋を捨てる誕生会
浮気相手との修羅場、7年の恋を捨てる誕生会
Auteur: 風音

第1話

Auteur: 風音
長谷川勇太(はせがわ ゆうた)と付き合って7年目、彼は私・黒崎奈々(くろさき なな)のために盛大な誕生日パーティーを開いてくれた。

その席で、彼の友人や同じ研究室の仲間たちに私を紹介するつもりだと言っていた。

プロポーズされるのだと信じ込み、私はお気に入りのドレスを着て、丁寧にメイクをした。

しかし、パーティーが終わる直前になっても、彼にその気配は全くない。

ただ、途中で一本の電話に出るために席を外しただけだった。

「分かってるよ母さん。奈々とは別れるつもりだ。ただ、今はタイミングが悪いんだ。

彼女の母親が入院中だし、本人も失業中なんだ。もし俺と遥が付き合ってるなんて知れたら、仕事場に怒鳴り込んできたら困るだろ?

彼女が再就職できたら、適当な理由をつけて別れるよ」

頭から冷水を浴びせられたかのように、私はその場に立ち尽くした。

私はぼんやりと自分の手を見つめる。掌の中にある、少し色あせた縁結びの組み紐が、汗でじっとりと湿っていた。

あれは、勇太が私に告白してくれた時にくれたものだ。

いつか結婚する時の証だと、一生一緒にいるんだと言ってくれたのに。

一生なんて、こんなにも短いものだったのか。

勇太の顔は闇に溶け込み、表情を読み取ることはできない。

その分、声の冷淡さが際立っていた。

前へ進もうとしていた足が、曲がり角でピタリと止まる。

電話の向こうで、彼の母親・長谷川洋子(はせがわ ようこ)の声が少し高くなり、不快感を露わにしている。

「そんな状態で遥さんに対して申し訳ないと思わないの?いつまで彼女を立場も何も与えず、付き合わせる気なの?

いい、勇太。あの尻軽女との関係は整理して、さっさと別れなさい」

勇太は仕方なさそうに頷き、深く溜息をついた。

「分かってるよ。この件は遥も納得してくれてる。協力するって言ってくれてるんだ。

奈々とはもう7年も付き合ってるし、彼女は何かと俺を頼りにしてくれるから。

もし急に別れを切り出して、ショックで自殺でもされたら、俺の評判にも関わるだろ」

手の中の縁結びの組み紐が、掌に食い込んで痛い。

私はいたたまれず俯き、溢れそうになる涙を必死に堪えた。

勇太にとって、私は何一つ取り柄がなく、彼なしでは生きていけない存在でしかなかったのか。

「その時は結納金を少し上乗せして、遥への補償にすればいい。800万円くらいでどうだ、縁起もいいし。

遥の家ならその程度の金は痛くも痒くもないけど、彼女の顔を立てるんだ」

私はその場から動けなかった。

かつて、100万円の結納金で卑屈になっていた自分が、まるで笑い話のように思えてくる。

頬を伝い落ちる涙を、のどの奥にこみ上げる嗚咽とともに無理やり飲み込んだ。

電話の向こうの洋子は、勇太の言い分に満足したのか、態度を少し軟化させた。

それでも、7年という情を考慮してか、念を押すように問いかけた。

「本当に別れる気はあるの?

また私を騙そうとしてるんじゃないでしょうね?」

勇太は咳払いをして、迷うことなく続けた。

「若い頃は、綺麗な顔に惹かれるのも無理はない。でも大人になった今、結局は家柄が釣り合う相手が一番だって気づいたんだ。

奈々は家柄も良くないし、遥ほどの才能もない。奈々といても、俺の足かせになるだけだ。

それに、奈々の母親は入院してて、底なしの金食い虫だからな」

彼は深く息を吸い込み、自慢げに言い放った。

「あんなレベルの美女と7年も付き合えたんだ。俺としては十分元は取ったよ」

胸が締め付けられるように痛んだ。

それと同時に、冷笑がこみ上げてきた。

勇太にとって私は何だったの?自分の見栄を飾るための道具に過ぎなかったの?

彼が最初から、私のことなんて愛していなかったのだと悟った。

彼がこれまで私に見せてきた優しさは、すべて私を繋ぎ止めるための餌でしかなかった。

そして私の容姿は、彼にとって最高の戦利品だったのだ。

最初から最後まで、この関係を大切にしていたのは私だけ。

彼は、この関係の「美味しいところ」を、ただ消費していただけだった。

胃のあたりが激しく波打った。

私はその場を立ち去り、トイレに駆け込んで激しくえずいた。

溢れ出る涙が、丁寧に仕上げたメイクを台無しにしていく。

この数年間の思い出のすべてが、今は腐敗した泥沼のように思えて、吐き気が止まらなかった。

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