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第288話

Author: 清水雪代
まあ、そうよねと、美羽は思った。

あのアカウントは、ギフトに少なくとも二千万円以上は使っていた。

悠人のように公私の区別がはっきりした冷静な人が、ランキングの一位を争うためだけに、そんな大金を使うはずがない。

……

コンクールを終えた智美が、タクシーで帰ろうとしたところ、またしても礼央に遭遇した。

礼央は彼女を見るや否や、まるで骨を見つけた子犬のように、ふらふらとすり寄ってくる。

智美は尋ねた。「またお金がないの?」

礼央は素直に頷いた。

智美は彼を、近くの屋台に連れて行った。

そして、五百円のネギ油まぜ麺を注文した。

礼央は呆然とした。「前回は肉が入ってたのに、今回は麺だけかよ」

智美は言葉を失った。

「前回、私をあれだけ不快にさせておいて、殴られなかっただけマシだと思いなさい。品のないあなたに、こうして麺を奢ってあげるだけでもありがたいのに、まだ不満があるの?」

礼央は仕方なく、そのシンプルなまぜ麺を食べた。

食べ終わると、彼はバツが悪そうに呟いた。「この前は、確かに俺が悪かった。謝るよ。最近自分で稼ごうとしてみたらさ、初めて金を稼ぐのがどれだけ大変か分かったんだ」

智美が鼻で笑う。「今さら気づいたの?まあ、お父さんがいなかったら、食事もできないレベルだったってことよ」

礼央が急に、哀願するような目で彼女を見た。「でも、やっぱりあんたに俺の彼女になってほしいよ。こんなにべっぴんさんだし、どうしても手に入れたいんだ」

智美は「フッ」と冷たく笑った。「じゃあ、夢の中で叶えればいいわ。夢の中なら、何でも手に入るものね」

「……ひどいな」

彼は智美という女性に、人生で初めて「高い壁」であるを感じていた。

こんなに手強い女だから、あの祐介も、大輔とかいう奴も、手に入れられなかったわけだ。

彼は智美に尋ねた。「ところでさ、あんたには物欲とかそういうのがないのか?どんな男を好む?言ってみろよ。俺、その理想の男になるよう努力するから」

「やめておきなさい。あなたには無理よ」

男の本性なんて、変えられるはずがないのだから。

「なんで俺にできないって決めつけるんだ?とりあえず言ってみろよ」

智美は少し考え、ふと悠人の顔が浮かんだ。

「まず、私のことを心から気にかけてくれること」

「それは簡単だ」

「そして、私の好き嫌いを全部覚
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