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第205話

Author: 花朔
紗夜は、文翔が彩へメッセージを返しているときの、あの真剣な横顔を見つめ、そっと唇を噛んだ。

やっぱり、彩に向き合う時の文翔は、こんなにも丁寧で、こんなにも忍耐強い。

どうやら、この前の岩波家のパーティーの件は、二人の関係に何の影も落としていないらしい。

紗夜は、彩の度量に少し驚いていた。

好きな男が公衆の前で他の女と堂々とアピールしたというのに、それを許せるなんて。

それに、もう一つ疑問があった。

文翔と彩は互いを深く理解し、長く仕事でも関わってきた。

なのに、どうして文翔は彩を「長沢奥様」に選ばなかったのだろう?

二人はあれほど仲が良く、雅恵もずっと彩を息子の嫁だと認めていた。

互いに思い合い、親の承諾もある。

それで十分完璧じゃないか。

それなのに、自分は......

夫の愛情も、夫の家族の認めもなく、ただ文翔への執着だけを頼りに、無謀にも飛び込んだ。

今になってみれば、あまりの愚かさに、自分で自分が滑稽に思えてくる。

紗夜は小さく息を吐き、こみ上げる痛みを無理やり押し戻して、彼を見ないようにした。

道中、文翔は彩への返信に忙しく、紗夜の方を振り向きも
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