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第5話

Author: バズリサクシャ
会場はしんと静まり返ったが、それもほんの一瞬だった。すぐにあちこちからざわめきが広がった。

拓海が私の手首をつかんだ。

「お前、何考えてるんだ?」

拓海は歯を食いしばるようにして、周りに聞こえないよう声を落とした。

「今日、どれだけ人が来てると思ってるんだ?」

私はその手を振りほどいた。

拓海の母も席を立った。顔からは、さっきまでの笑みがすっかり消えていた。

「結婚式は、あなた一人の都合で始めたりやめたりできるものじゃないのよ。

式場の手配も披露宴の準備も、お客様のおもてなしも、全部お金がかかってるの。

水野家に、これだけの費用を払えるの?」

父は顔色を失い、慌てて席を立った。

「柏木さん、これは……」

そのとき、スタッフがワゴンを押して父の後ろを通ろうとした。すると父は言葉を切り、邪魔にならないよう慌てて脇へよけた。

ほんのわずかな動きだった。気づいた人はほとんどいなかった。

けれど、私は見ていた。

自分の娘の結婚式なのに、父は何か言おうとするたび、周りの邪魔にならないよう身を引いていた。

そこへ彩乃が、赤くなった目のまま近づいてきた。

「千歳、もし
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