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第2話

Author: ちょうどいい
我に返った私は、瑠奈をじっと見つめて言った。

「ごめん、会社で用事ができたから、今から出張に行かないと」

妹は私の手をぐいと掴み、悲しげに目を赤くした。

「お姉ちゃん、一年に一度しか会えないのに、それも嫌なの?」

瑠奈は長年、絵の勉強のために家を離れており、家にいる時間は多くない。

ましてや、私たち姉妹が二人きりで過ごす機会など、ほとんどなかった。

その哀れな様子を見て、父は不機嫌な顔になる。

「妹がこんなに下手に出て頼んでいるのに、お前は何を意地張ってるんだ?」

母に至っては、瑠奈を痛ましげに抱きしめ、私には視線すら寄越さない。

「瑠奈だから、あなたと一緒に行きたがるのよ。あなたのそのくだらない仕事、誕生日まで出張なんてあるわけ?」

私の仕事は、確かにそれほど立派なものではない。

悪く言えば、ただの服屋だ。

一番苦しかった数年間は、毎日夜も明けぬうちから商品を仕入れに行き、一日中店に立っても客が一人も来ない日もあった。

幸い、その後ECサイトの追い風に乗り、少しずつ規模を拡大できた。

家の経済状況も、それに伴って好転した。

瑠奈は唇を尖らせ、母の胸に顔をうずめる。

「お母さん、お姉ちゃんをそんな風に言わないで。だって、お姉ちゃんはいつも、うちの家計は自分が支えてるって言ってるもの!」

瑠奈の言葉は、案の定、父の怒りに火をつけた。顔の皺がわなわなと震えているように見える。

「こいつが支えてるだと? こいつが売る安物の服で、何ができるっていうんだ!」

私と瑠奈の視線が交差する。

彼女の瞳には、得意げな光が揺れていた。

父は昔から亭主関白で、こういう言葉は簡単に彼の逆鱗に触れる。

そのことを、瑠奈は誰よりもよく知っていた。

私の声は、何の感情も乗せずに平坦だった。

「私がうぬぼれていたわ」

瑠奈は幼い頃から、両親を意のままに操ってきた。

彼女が学校の給食は美味しくないと言えば、両親はすぐに彼女を家に連れ戻した。

同じ学校に通っていたはずなのに、一人は通学、一人は寄宿舎生活になった。

寮にいた地方出身の同級生たちは、私がどこの都市の出身なのかを知りたかった。

しかし、学校からたった2キロしか離れていない家に住んでいながら、両親に学校に放り込まれていたなんて、誰も知る由もなかった。

一緒に過ごす時間が減るにつれて、私と両親の関係も日増しに疎遠になっていった。

ほとんど空気のような存在だった。

私が背を向けて立ち去ろうとすると、母が追いかけてきて腕を掴んだ。

「詩織、機嫌を損ねたの?誕生日は家族で楽しく過ごすものでしょう。仕事のことは、一旦置いておきなさい」

「機嫌なんて損ねていない」

その短い言葉にその場にいた全員が呆気に取られた顔をした。

前世では、彼らに無視されることに耐えられず、私は喚き散らし、物を壊したことさえあった。

しかし、やり直せる今となってはそんなことはどうでもよかった。

母の顔に気まずさが浮かび、小さな腕輪を取り出して、無理やり私の手にはめた。

「いつも私たちがえこひいきしているなんて思わないで。あなたも私たちの娘よ。お父さんもお母さんも、二人を同じように思っているわ」

本当に? 本当に同じだと?

私は手首で軽すぎる金の腕輪を見つめる。

その次の瞬間、テーブルの上でガチャンと大きな音がした。

瑠奈は目に涙を溜めている。

「お母さん、この腕輪、重すぎるわ。手がぶつかっちゃった!」

そう言って彼女は私を見上げた。その瞳に浮かぶ優越感は、あまりにも明白だった。

ロウで火傷した手の甲が、まだじんわりと痛む。

しかし、そんな痛みなど構っていられなかった。彼らが瑠奈の周りで大騒ぎしている隙に、私は振り向きもせず、レストランを後にした。
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