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第105話・自ら囚われ

Author: 新矢識仁
last update Last Updated: 2026-01-18 05:34:58

 少女はパンを食べ終わり、水を飲み干し、干し肉を食べて、幸せそうに腹を撫でてた。

「こーゆーの、お腹いっぱい、て言うの? 美味しかった!」

 お腹に手を当てて、嬉しそうに言う。最初は誤解されたけど、助けてよかった。

「これからどうするんだ?」

「しょーがないよ。働けるわけでなし、一生に一回でもお腹いっぱいって思えた思い出を持って、この先もここで生きてくよ」

 少女は立ち上がった。

「あんた、名前は?」

「俺はシンゴ。エルフがレーヴェで、ドワーフがヤガリ。そっちの商品って勘違いしたのがサーラで、コトラと、ブラン」

「そっか」

 指についた油をペロッと舐めて、少女は頷いた。

「あたしはハーフリングのミクン! シンゴ、生まれて初めてのお腹いっぱい、ありがと!」

 言うと少女は街道の腐った森に走っていった。

「コトラ」

 俺が小さい声で言うと、「ぅな」と俺の言いたいことを察したコトラが足音を消して走っていった。

 あたしは一人で腐り草原まで戻った。

 微かにあちこちに緑と呼ばれる色は見える。だけど、ばあさんが言うには、本当の草原の緑はもっと鮮やかで泣きたくなるくらいにきれいな緑だったって。

 多分、あたしはそれを見られない。

 世界が滅びの道を歩んでいるのだと、皆が言う。

 神サマが見捨てたんだって。

 あたしは神サマなんてものを信じちゃいない。だって、もし本当にそんなものがいるのなら、ばあさんが言ってた泣きたくなるくらいきれいな緑をここまで救いようのない姿に変えるわけがない。いたとしても、最悪の性格してるだろ。

 でも。

 街道で出会ったあの妙な一団を思い出した。

 ヒューマン二人にドワーフにエルフ、そして不思議なロバと灰色虎。

 あいつらが灰色虎の正体に気付いてるのかどうかは分からないけど、あの虎やロバが一緒にいるんだから、決して悪い連中じゃないんだろう。

 虎やロバからは、人間たちを大事に思う気持ちが伝わってきた。生き物も食べられるものなら何でも食べてきた人間を、あそこまで信じているんだし、あたしの勘も決して悪い連中じゃなかったと告げている。

 この草原から抜け出す方法は、あった。

 それをあたしは、自分で潰した。

 シンゴとかいうあいつらと一緒に行動させてもらう。

 全然違う種族で旅してる連中、あんな美味しいパンもどきや真似水を平気な顔して分けてくれるお人好し、動
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