เข้าสู่ระบบ「減っていくって」「ケンタウロスは成人の旅を終えないと仔を残すことができないのだ」 俺はひゅっと息を飲んだ。 それじゃあ、ケンタウロスは種族の存続の危機に晒されてるんじゃないか。「神殿に調べに行こうとか、考えなかったんですか?」「ケンタウロスにとって使命と神殿は絶対だ。気配もないのに神殿に行くなど……」「ケンタウロスさんって、神様の声が聞こえるんだね」 それまでグライフの上で黙って話を聞いていたアウルムが口を開いた。「ほう? フェザーマンにそう言われるとは思わなんだ。神の声を聞けると言い神に愛された種族と言うフェザーマンが」 パールトさんの言葉には明らかに皮肉が隠されていた。フェザーマンの話を色々聞いているんだろう。旅を終えて戻ってきた大人なら。 だけど、アウルムは気付いた様子もなく続けた。「わたしには神様のお声は聞こえない。でもケンタウロスさんたちは、神様の、やっていいとか、やっていけないとか、そう言う声を聞けるんだね。すっごい。すっごい。すっごいよ」 皮肉に気付かれず真っ直ぐに返されて、パールトさんは複雑な顔をした。「神殿って、どんな形をしているのか、それを教えてくれないか?」「……洞窟だ」 しばらく悩んだ後、パールトさんは言った。「教えてくれるんだ。……もしかして、気配?」「……ああ。全員に帰草の気配がしてから、気配が吾輩たちに下ることはめっきり少なくなった。ケンタウロス狩りが起きて、それでも気配はしない。だが、唐突に、気配がしたのだ。吾輩たちが、お前たちに頼らなければならないと言う気配が。だから話した」「ケンタウロス族の守護獣は?」「風と大地の守護獣、天馬」 俺の問いにすかさずサーラは言った。「ケンタウロスたちに気配がしなくなったのは、恐らくは飽きた日だ。神がモーメントを見捨てると決めた日。だが、守護獣は残っている。天馬は恐らくは神殿で、封じられている」「何故それが分かる!」「私が守護獣だからだ」 サーラはあっさりと言った。「岩と炎の守護獣、火蜥蜴」「おい、サーラ!」「天馬はまだ在る」 真剣な声で、サーラは言った。「気配は、天馬がケンタウロスに与えた恩寵だ。それが我々が
三人は端末の画面をまじまじと見つめていた。「この辺りはプレアリーの縄張りだ」「ここは雨季に川が出来て、洞窟などない」「ここは一面草原で、建物などない」 ていうかこんな草原にケンタウロスの住む建物あるんだろうか。見た限りないんだが。 こっそり頭の中でヘルプ機能を展開。端末に出たらどうしようと思ったが。ちゃんと頭の中に出てきた。【ケンタウロス族は基本屋外で立って眠る。雨季などは水に浸からない高地を縄張りとして選ぶ】 サバンナみたいなもんかな? サバンナにいるのはシマウマだけど。ていうかほんとケンタウロスは本能のままに生きてる。ある意味理想だなあ。自然と共に生きている、か。そう言う人間なんだな。「ん? ここは……」 パールトさんがふと指を止めた。「プフェーアト。この辺りは……」「……ああ。だが、まさか」「どうしたんです?」「ここはケンタウロス族は滅多に近付かない場所だ」 パールトさんは、北の果てを指した。「何で近付かないんです? 戦争でもあったとか……」「いや、逆だ」 カルさんが首を横に振る。「ここにあるのは、我らが神殿だ。ケンタウロスの守護神と守護獣が共に奉られている。だが、ケンタウロスがこの神殿に行けるのは一生のうちに、二回だけだ」「……成人の旅?」「何だ、知っているではないか」「いや、彼女が」 俺はレーヴェを指した。「成人の旅をしているケンタウロスに昔出会ったと言っていて。それを覚えてただけ」「では、一から説明せねばなるまいな」 カルさんはこほんと一つ咳払いして、語り始めた。 曰く。 ケンタウロスは、成人に認められたその日に、『我らが神殿』へと向かう。ケンタウロスには誕生日や成人と言う感覚はないのだが、あの気配で自分が親元から離れる時が来たと知る。そして神殿へ向かう。ケンタウロスはその日を迎えるまで神殿の場所を知らないが、あの気配がケンタウロスを導くと言う。神殿でケンタウロスはこれからもケンタウロスとして生きていくと誓う。そうすると、神から使命が与えられるのだ。使命の内容は、与えた神と、受けたケンタウロスしか知らない。ただ、その使命を「成人の旅」と呼び、世界を駆けて使命を果たし、再び神殿に戻る。そうして、ケンタウロスは成人と認められて草原に戻れるのだ。「じゃあ、三人とも成人の旅を……」「い
パールトとカルが不思議そうな顔をしている。いけねえ、俺が異世界から来た生神ってのは内緒だったのに監視員がいなくなった途端に口から出てしまった。「お前の国に馬はいないのか?」「いない。ケンタウロスもいない」 背筋に疲れとは別のイヤーな汗が流れるが、カルに向けた顔は笑顔だった。これを人は演技と言う。「馬は高貴な生き物だから、俺には乗れなかった」「なるほど」「お前の国は我らの血を尊んでいるのだな」「うん、まあ、そう」 そう言うことにしておこう。「道理で乗り方が慣れていなかったわけだ。プフェーアトの背から落ちぬか、心配したぞ」「ハハハ……」 笑う笑う。笑ってごまかせわっはっは。「で、サーラとプフェーアトさんは何処まで行ったんだろう……」 彼方を見ると、凄まじい勢いで向かってくる影。「おお、戻ってきた」「プフェーアトにしては早い。背にいい女を乗せればよい所を見せざるを得んな」 サーラはねー、やめといたほうがいいですよー? あの人頭に来るとこの草原全体丸焼けにだってしちゃうんですからー。フェザーマンの翼だって焼き尽くしちゃった人なんですからー。てうかサーラって本当に女かー? 確か最初に会って名前つけた時、サラマンダーかー、じゃあサーラだなー。でもサーラって女の名前だっけー? とか考えながらつけたから女の姿になっただけで、本当はどっちでもないみたいなことを言ってた気がするよ。 これ以上考えたらこわいことになってしまうのでやめておこう。 サーラを乗せたプフェールトはすごい勢いで走ってきた。 俺たちの前で華麗に止まって見せる。動から静へ、一瞬で切り替えるその早業お見事。「早かったな」「サーラ殿が羽根のように軽いからだ。何も乗せていないようだったぞ」 ……多分浮いてたな。浮けるからな。「シンゴ、考えてないで地図を出せ」「はいはい」 ……考え読んでたな。今はそれどころじゃないから心の中で俺に突っ込んでこないだけだな。それはそれでいいけどな。 俺が取り出した端末に、サーラは指を伸ばした。「現在地がここ」 ぴ。と真ん中に印が入る。「で、プフェールト殿の言う「巨犬木と奥の岩を並足で」と言う時間から考えられるのは、この辺り」 真ん中の印を囲むように、神にしか使えない端末に円を描く。「で、ここから来たから、この近辺は候補から外される
なるほど、ケンタウロスが俺たちを簡単に連れてきた理由が分かった。 ケンタウロスは野生動物に近い。本能で、目の前の事態が自分たちで対応できるかどうか、誰かの助けが必要か、必要になる誰かは誰か、読み取ることができる。だから、最初敵だと疑っていた俺たちを素直にここまで連れてきたんだ。 ……恐らくは。敵対勢力もその本能からケンタウロスを魔獣化させる相手に狙ったんだろう。 魔獣化したケンタウロスを見た限り、ほとんど敵対勢力の命令と本能しか聞かない獣と化していた。人間の武器である知恵はそこでは出せない。だから、ケンタウロスの予知にも近い本能……危険察知能力とでもいうものに目をつけた。目の前の敵に勝てそうなら攻めるし、負けそうなら特定の命令された場所まで退却する、それくらいの本能と知性があれば十分魔獣化しても役に立つ。 ……ほんっとムカつくな、敵対勢力。 考えに浸っていると、上下の揺れが少なくなった。「俺のことは気にしなくていいから……」「いいや、違う。着いた」「着いた?」「オレたちが捕らえられたところだ」「え、もう?」 ゆっくりとスピードを落とし、立ち止まる。 見下ろせば、無数の蹄跡。 混乱したケンタウロスたちが逃げ回ったんだろう、蹄の跡は滅茶苦茶で、あちこちに逃げ回ったんだろう。「次に、プフェーアト殿」 俺を乗せていたプフェーアトがサーラの方を見る。「並足の速さで、あの時言った距離を今から歩いてくれないか? ああ、シンゴは降りろ。速度が変わる」 馬の背から滑り降り……。 そのまま座り込む。「うおえ?」「どうしたシンゴ」「すげー……」 乾いた笑いが起きる。「すごいって何が」「足、立たねー……」 膝は笑うし太ももは震えるし足首は力入らないし。神様ってのは疲れたりしないんじゃないのか? 馬に乗るのが苦手そうなヤガリだって、しゃんと立っているのに。「お前の世界に馬はいないのか」 お前自転車乗ったことないの的に言われて、俺は笑うしかなかった。「いるよ? いるけど、お金持ちしか乗れないんだよ。乗馬って上流のスポーツだし、競馬で乗るのは選ばれた騎手だけだし」「馬なんて、何処にでもいるのに……」「だからいないんだって。少なくとも気楽にちょっと隣行ってくるわ馬借りるね的な馬はいない。だから、俺の生まれた国で馬に乗ったことがある人
「では、取り合えずケンタウロスの草原へ案内してもらえるか」「我らがプラートゥム草原へ案内しよう。ああ、名乗るのを忘れていた」 栗色のケンタウロスが言った。「オレはプフェーアトだ。助けてくれた礼を忘れていた。感謝する」 褐色のケンタウロスが名乗る。「吾輩はパールト。吾輩たちを案じてくれたに疑ったこと、申し訳ない」 灰色のケンタウロスが最後に言った。「我はカル。我らの為に力を貸してくれること、深く礼を言う」 ケンタウロスたちは深々と頭を下げた。 それからのスピードは速かった。 俺がプフェーアトに、レーヴェがパールトに、ヤガリがカルに跨る。ブランに背負わせた荷物をケンタウロスに振り分けて、ブランはコトラと一緒に走る。コトラはともかく、坑道暮らしで足が遅いかと思っていたアシヌスは、意外と荷物がなければケンタウロスと並走できるスピードを持っていた。 ケンタウロスは何処から連れてこられたか分からないが、草原の方角は分かると言った。草原の匂いが微かにする、と言うのである。すげえ。 しかし……尻が……痛い。 どからんどからんと地面を蹴るケンタウロスの上半身にしがみつくので精一杯、しかも背中は激しく上下するので尻が浮いては叩きつけられで困る。「少し速度を落とすか?」 プフェーアトが言うのに、俺は「いいや」と首を振る。「スピード、が、命、だ」「なら、あのエルフの真似をしろ。馬の正しい乗り方を知っている」 胴体にしがみついて、並走するパールトとその背のレーヴェを見る。 レーヴェは微かに腰を浮かせ、太ももで背中を締め付けて、リズムに合わせて馬を上下させている。 上手いな。馬だけに。 って考えてても仕方ない。俺も何とか真似をする。 少し、尻へのダメージが減った。 だけど今度は足に……! 自在雲さえ使えれば、ケンタウロス以上のスピードで草原移動できるのに……いやいや人前では神具や神威は控えるって決めたんだった……でもこの揺れは現代日本人には無理っぽい……免許のいらないバイク代わりって言われてもバイクすら乗ったことない俺には厳しい……基本自転車乗りでした……。 どからんどからんと走っているうちに、少し揺れが減った。「ん?」「分かったか。草原に入ったのだ」 見回せば。 丈の長い草が生い茂る、広い広い、ハーフリングの草原なんか目じゃないって
「でも、サーラ」 俺が力を振るうところを見られたら、ケンタウロスに俺の正体がバレてしまう。生神が来たと分かれば、ケンタウロスに何か影響は出ないだろうか。「ケンタウロスの諸君。幾つか聞きたいことがあるがよろしいだろうか」 サーラの声に、ケンタウロスたちは一斉に彼女を見た。「何だ、ヒューマンの女」「君たちはケンタウロス狩りに捕らえられた場所を正確に覚えているだろうか」「無論だ。あの場所は我々の縄張りだ。草原に戻れば簡単に案内できる」「あと、頭に袋を被せられてから、それを外されるまで、どのくらい時間がかかったか分からないだろうか」 ケンタウロスたちは考え込んで。「うーむ……。そうだな、巨犬木から奥の岩までオレの足で並足で行ったくらいか」 さっぱり分からん。ケンタウロスの人種に時間感覚ってのはないのか。「ふむ……場所は絞れるな」 サーラにはこれで分かるのか? すげえな。「シンゴ、地図を出してくれ」「え? それはミクンが」「お前の持っている地図だ」 俺の持っている地図って……。あ、端末か? マントの内側に手を突っ込んで、荷物の中から取り出したように見せかけて端末を出す。地図を開くと、やはり行っていないここから東は真っ黒のまま。 何が分かるんだ?(お前、神の力というものを深く考えていないだろう) どえっ、サーラ!(目の前にいるのにいきなり心の中に話しかけてくるのやめてくれ!)(こういう時に使わずして何の神威だ) 呆れた空気が伝わってくる。(お前が端末に頼らないと神威を発揮できないのは、お前が自身の力を把握できていないからだ。お前の力は空気のようなもの。風にも刃にも凍えにもなる。だが、空気を動かす方法が分からないからお前の世界で言うせんぷうき? や、えあこん? みたいに限られた力しか使えないのだ)(お説教はいいから。何が言いたいんだ?)(捕らえられた場所は特定できる。運ばれた……移動時間も推定できる。端末を使えば、その歩くスピードを計ることもできる。そして目的地は洞窟のような場所だったという。洞窟があるような崖や、丘、あるいは地底……草原では限られてくるだろう) 納得。 それにしても多分全世界の生神が苦労しているだろうなあ。昨日まで普通の人間、死んでいきなりあんたは神様と言われて別世界に派遣されて、分からん力を渡されて、さ