異世界転生してもスキルはなかったけど、白い羽をもつ彼女を守るため最強の勇者目指します

異世界転生してもスキルはなかったけど、白い羽をもつ彼女を守るため最強の勇者目指します

last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-06-16
โดย:  東雲明อัปเดตเมื่อครู่นี้
ภาษา: Japanese
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勇者になり損ねた普通の高校生が、自らの意思で勇者を目指す異世界転生成長ファンタジー。

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บทที่ 1

第一話 異世界に召喚された青年

 教室の床が光った瞬間、俺の指先からスマホが滑り落ちた。

 画面の中では勇者が剣を振り上げたまま止まり、机の脚も、上履きの先も、椅子の影も白く焼けていく。誰かのシャーペンが床に転がる音だけが、耳の奥でやけに大きく響いた。

 次に膝へ触れたのは、教室の床ではなかった。

 手のひらに食い込む、ざらついた石の冷たさ。肺に入った空気は、チョークではなく、古い香炉と雨上がりの石畳みたいな匂いがした。

 俺は瀬野龍夜。漫画やゲームの世界に逃げ込み、異世界で無双する妄想ばかりしている、ごく普通の高校生だ。

 ……なのに。

 足元には白い線で描かれた巨大な円があった。文字、羽のような模様、薄く脈を打つ光。その中心で、俺の影だけが小刻みに震えている。

「……なんだ、これ」

 見上げると、天井は体育館よりも高かった。細い柱が何本も伸び、壁の上では色ガラスが赤、青、金の光を石床に落としている。

 その外側に、人がいた。

 白や灰色のローブを着た大人たちが、魔法陣を囲んでいる。誰も近づいてこない。ただ俺を見ていた。割れ物がまだ砕けていないか確かめるような目で。

「……学校は」

 自分の声が、神殿の中へ転がった。

 返事の代わりに、人垣が割れた。

 白いローブの男が一歩前へ出る。胸元には金の刺繍、肩から下がる布には翼を広げた鳥の紋章。男は俺の前で膝をつき、額が床につきそうなほど頭を下げた。

「ようこそお越しくださいました、救世主様。我ら天界アストリアの民は、この時を待ち続けておりました」

 救世主。

 耳に入った言葉が、頭の中でうまく形にならなかった。

 俺の袖口には、昼休みにこぼしたパンの粉がついている。ポケットには充電が半分もないスマホ。足元には上履き。剣も杖もない。昨日の英単語テストだって、最後の一問は勘で埋めた。

「ちょっと待て! 救世主ってなんだよ! 漫画の中の話だろ。それに名前で呼べよ!」

「あなた様は神がお選びになった救世主様でございます。名前で呼ぶなどおがましいばかりです」

 男は申し訳なさそうに頭を下げる。

 何だよ、それ。意味分かんねえよ。

「下界での記憶を保ったまま顕現された。やはり、神託の通りです」

 周囲のローブたちが一斉に息を呑んだ。

「神託の……」

「測定前から、この光量……」

「間違いない」

 囁きが石壁に跳ね返る。知らない単語ばかりなのに、その一つ一つが重かった。

「俺は、そんな大層なものじゃないです」

 どうにか押し出した声は、自分でも驚くほど頼りなかった。

「ご混乱は当然です。ですが、貴方様はこのアストリアに招かれた唯一の方。やがて剣を取り、空を裂く災厄を退けるお方です」

「剣って……俺、剣道部でもないんですけど」

 誰も笑わなかった。

 そのせいで、余計に膝の裏が冷えた。

 その時、石畳の向こうで小さな鈴のような音がした。

 人垣の隙間から白が飛び込んでくる。ローブではない。光を受けた髪だ。銀に近い髪がふわりと揺れ、背中から伸びた白い羽が空気を払った。

「龍夜くん!」

 名前を呼ばれた。

 この世界で、まだ誰にも名乗っていない名前を。

 少女は勢いのまま俺の腕に両手を絡めた。細い指が制服の袖を掴み、羽先が俺の肘をくすぐる。息に、花の蜜みたいな甘い匂いが混じっていた。

 白を基調にした服は神殿の光を拾い、胸元の金細工がきらりと揺れている。瞳は青い。けれど、その奥には白い光が淡く揺れていた。

「やっと来てくれた」

 少女は笑った。初対面の距離じゃなかった。長い雨が上がったあと、扉の前に待ち人が立っていたような顔だった。

「……なんで、俺の名前を」

「ミユウ」

「え?」

「ミユウ・ネフェルト。まずはそれ、覚えて」

 俺の質問は、そっと横へ押し流された。

 振りほどこうと思えば、できたはずだ。けれど、その指先に入った力が妙に必死で、俺は腕を動かせなかった。

「ミユウ様。まだ儀式の余光が残っております。救世主様には、まず測定を——」

「あとで」

 やわらかい声だった。なのに、神官たちの足音がぴたりと止まった。

「龍夜くん、立てる?」

 差し出されたミユウの手は、見た目より温かかった。

 俺はその手を掴み、立ち上がる。魔法陣の外に並ぶ人々の顔が見えた。祈る者、涙を拭う者、まだ信じきれないように唇を噛む者。

 全部、俺に向けられていた。

「俺は、まだ何もしてない」

 小さく呟いたつもりだった。

 ミユウが俺を見上げる。

「これからするんだよ」

 軽い言い方じゃなかった。

 白いローブの男が、祭壇の奥へ手を向けた。そこには人の背丈より高い水晶の柱が立っている。内部には白い霧がゆっくり流れ、根元には剣をかたどった金具が並んでいた。

「救世主様。適性の測定をお受けください。貴方様の力を、我らにお示し願います」

 力。

 その言葉に、胸の奥で漫画のページがめくれた。

 何も持たない主人公が、異世界で眠っていた力を見つける。剣を握った瞬間、光が走る。周りがどよめき、誰かが言う。やはり伝説の——と。

 読み慣れた展開だった。

 その中心に、今、俺が立っている。

 けれど、スマホの画面はもう手元にない。読み飛ばせるページも、閉じられるアプリもない。

「大丈夫。龍夜くんなら」

 ミユウが俺の袖を軽く引いた。

 何を根拠に。

 そう聞こうとして、やめた。

 彼女の目は、神託でも魔法陣でも周りの期待でもなく、俺だけを見ていた。

「……何をすればいいですか」

「水晶へ手を。内に眠る力があれば、光が応えます」

 あれば。

 その二文字が耳に残った。

 俺は水晶の前に立つ。表面には、制服姿の情けない顔が歪んで映っていた。少し乱れた髪、開ききった目。どこにでもいる高校一年の顔。

 この手を置いたら、何かが決まる気がした。

 帰れるかどうか。ここで何者として扱われるのか。目の前の少女の笑みを、俺が壊すのかどうか。

「龍夜くん」

 ミユウが名前だけを呼んだ。

 俺は水晶に手を置いた。

 冷たさが掌から骨へ走る。中の霧がぴたりと止まった。神官たちの衣擦れも、誰かの息も、遠ざかっていく。

 一秒。

 二秒。

 水晶の芯に、細い光が灯る。

 誰かが息を呑んだ。

 けれど、光は強くならなかった。剣を呼ぶ轟きも、天井を裂く柱もない。漫画みたいな派手な演出は、何ひとつ起きなかった。

 霧はほんの少し揺れ、すぐ薄い白へ戻った。

 沈黙が落ちた。

「……反応値、微弱」

 若い神官が震える声で言った。

「属性適性は」

「剣、魔術、防御、治癒……いずれも規定値未満」

 神殿の空気が変わった。

 祈りの目が揺れる。涙を浮かべていた人が瞬きを忘れる。さっきまで俺に向けられていた熱が、引き潮みたいに遠ざかっていく。

「そんなはずは……もう一度」

 白いローブの男がかすれた声で言う。

 けれど俺には分かっていた。もう一度やっても、変わらない。

 神官が金属板を見つめ、さらに声を震わせた。

「総合値……測定不能」

 その言葉で、ざわめきが爆ぜた。

 期待外れなのか、異常なのか、それすら分からない響きだった。けれど、俺を見る目はもうさっきと同じじゃない。救世主を見る目でも、伝説を見る目でもなかった。

 答えの出ないものを見る目だ。

「……だから言ったじゃないですか」

 俺は水晶から手を離した。

「俺は、普通の高校生です」

 誰も返せなかった。

 ただ、袖を掴む指だけがあった。

 ミユウが俺の前へ半歩出る。

「龍夜くんは、龍夜くんだよ」

 大きな声じゃない。神殿中に響かせるためのものでもない。俺にだけ届く距離で落とされた声だった。

 彼女の白い羽は、ほんの少し震えていた。唇の端は持ち上がっているのに、指先には力が入りすぎて、俺の袖に皺が寄っている。

 この子も、平気なわけじゃない。

 俺はようやく、それに気づいた。

「状況を教えてください」

 俺は白いローブの男へ向き直った。

 足はまだ震えている。けれど、膝は折れなかった。

「俺に力がないなら、ないなりに。ここがどこで、何が起きてて、俺がどうして呼ばれたのか。最初から、全部」

 男は俺を見た。

 今度は救世主を見る目ではなかった。水晶に映らなかった何かを、裸眼で探そうとする目だった。

 何も持っていない。

 それは今、ここで証明された。

 それでも、目の前で笑おうとしている白い羽の少女だけは、俺の失敗ごと抱えて立っている。

 なら、せめて。

 俺は冷えた掌を握りしめた。

 この手がまだ空っぽなら、何かを掴むところから始めればいい。

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第一話 異世界に召喚された青年
 教室の床が光った瞬間、俺の指先からスマホが滑り落ちた。 画面の中では勇者が剣を振り上げたまま止まり、机の脚も、上履きの先も、椅子の影も白く焼けていく。誰かのシャーペンが床に転がる音だけが、耳の奥でやけに大きく響いた。 次に膝へ触れたのは、教室の床ではなかった。 手のひらに食い込む、ざらついた石の冷たさ。肺に入った空気は、チョークではなく、古い香炉と雨上がりの石畳みたいな匂いがした。 俺は瀬野龍夜。漫画やゲームの世界に逃げ込み、異世界で無双する妄想ばかりしている、ごく普通の高校生だ。 ……なのに。 足元には白い線で描かれた巨大な円があった。文字、羽のような模様、薄く脈を打つ光。その中心で、俺の影だけが小刻みに震えている。「……なんだ、これ」 見上げると、天井は体育館よりも高かった。細い柱が何本も伸び、壁の上では色ガラスが赤、青、金の光を石床に落としている。 その外側に、人がいた。 白や灰色のローブを着た大人たちが、魔法陣を囲んでいる。誰も近づいてこない。ただ俺を見ていた。割れ物がまだ砕けていないか確かめるような目で。「……学校は」 自分の声が、神殿の中へ転がった。 返事の代わりに、人垣が割れた。 白いローブの男が一歩前へ出る。胸元には金の刺繍、肩から下がる布には翼を広げた鳥の紋章。男は俺の前で膝をつき、額が床につきそうなほど頭を下げた。「ようこそお越しくださいました、救世主様。我ら天界アストリアの民は、この時を待ち続けておりました」 救世主。 耳に入った言葉が、頭の中でうまく形にならなかった。 俺の袖口には、昼休みにこぼしたパンの粉がついている。ポケットには充電が半分もないスマホ。足元には上履き。剣も杖もない。昨日の英単語テストだって、最後の一問は勘で埋めた。「ちょっと待て! 救世主ってなんだよ! 漫画の中の話だろ。それに名前で呼べよ!」「あなた様は神がお選びになった救世主様でございます。名前で呼ぶなどおがましいばかりです」 男は申し訳なさそうに頭を下げる。 何だよ、それ。意味分かんねえよ。「下界での記憶を保ったまま顕現された。やはり、神託の通りです」 周囲のローブたちが一斉に息を呑んだ。「神託の……」「測定前から、この光量……」「間違いない」 囁きが石壁に跳ね返る。知らない単語ばかりなのに、その一つ一つが重
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第2話 選ばれなかった数値
 白い扉の前で、俺は足を止めた。 測定の間。そこへ向かうまで、ミユウは俺の手首を掴んだまま、迷いなく歩いてきた。「龍夜くん、こっちだよ」「……これ、本当に必要なのか」 ミユウはきょとんと振り返った。白い羽が揺れ、銀色の髪が肩で跳ねる。「必要だよ。龍夜くんが、どんな力を持ってるか見るの」「持ってなかったら?」 自分でも嫌な聞き方だと思った。 けれどミユウは怒らない。俺の手首を離し、両手で俺の手を包んだ。「持ってなくても、龍夜くんは龍夜くんだよ」「それ、答えになってない」「うん。答えじゃないよ。でも、先に言いたかったの。水晶が見せるものが、ぜんぶじゃないって」 小さな掌は温かかった。その言葉が慰めなのか、何かを知っているからなのか、俺には分からない。 扉が開く。 部屋の中央には、俺の身長より大きな水晶が立っていた。床の円形模様から光の線が伸び、水晶へ脈のように集まっている。周囲には白い法衣の長老たちが並び、歓迎の声はひとつもない。「救世主様。御身の資質を測定いたします」 正面の長老が告げた。 救世主様。 昨日まで教室にいたただの高校生に、そんな名前を被せられても、息の仕方が分からなくなるだけだった。「水晶へ手を」 促され、俺は水晶に近づいた。表面に映る自分の顔は、情けないほど硬い。 指先を触れさせた瞬間、冷気が腕を這い上がる。白い光が身体をなぞるように上下した。 やがて、水晶の奥に文字が浮かんだ。 攻撃力 0 魔力 0 耐久力 0 適性 0 部屋の空気が止まった。 四つ並んだゼロは、やけに綺麗だった。綺麗すぎて、胸の奥をまっすぐ殴られたみたいだった。 誰も何も言わない。長老たちは水晶を見て、それから俺を見て、互いに視線を交わした。大きな失望の声なんてない。ただ、その沈黙だけで十分だった。 異世界に来ても、俺は何も変わらなかった。 剣を掲げる勇者にも、魔法を放つ英雄にもなれない。場所だけが変わって、俺は俺のまま。掌の中には何もない。「……もう一度、測ることは」 若い神官が言いかける。「水晶は、同じ魂を二度誤らぬ」 長老の声が静かに落ちた。 魂までゼロだと言われたようで、俺は唇を噛んだ。その時、隣でミユウが一歩近づく。「龍夜くん」 名前を呼ぶ声は小さかった。でも、逃げていなかった。 ミユウは水晶
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