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不死身青年と賢狼烈女の悪戯IV_06

작가: kumotake
last update 최신 업데이트: 2025-09-23 21:11:31

 「それなら...わかりますよね...私の気持ちが、こんな姿に、何の前触れもなく成り果てて、もうどうしようもなくなって、それでも好きな人にはちゃんと見て欲しくて、でもその人は別の人と仲良さそうにしていて、それがたまらなく苦しくて、辛くて、見てられなくて、こんな馬鹿なことをしてしまう私の気持ち...あなたになら、わかりますよね?」

 そんな風に言いながら、そんな姿に成りながら、それでも縋る様なその言葉に、僕は思いっきり、自分の言葉を彼女にぶつけた。

 「わかるよ...わかる。自分がもう、どうしようもない者になってしまった後悔も、それをどうにかしたくてもどうにもならない歯痒さも、痛いほどよくわかる。けれどさぁ花影。そんなの、形や重さは人それぞれなんだろうけれど、みんなが抱えていて、当たり前のモノなんだ」

 「当たり前...?」

 その疑問符の言葉に対して、僕はさらに言葉を返す。

 同じ異人の...

 人とは決定的に違ったそれをもつ、そんな僕は、そんな彼女に言葉を紡ぐ。

 「あぁ、僕達はこんな...こんなわけもわからない者になってしまったけれど、でもそれを赤の他人にわかってもらおうなんて、最初から無理な話なんだよ。たとえそれが、わかって欲しい大切な人だろうと、それを本当の意味で伝えることは、僕達にはできないんだ」

 『できない』と、そう言いきった後に、何故だか僕は、泣きそうな気持ちになってしまう。

 しかしそれでも、最後に僕は彼女のしたことを、ちゃんと叱らなければならないのだ。

 一足早く異人になった僕には、それを言う義務がある。
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  • 異人青年譚   不死身青年と賢狼烈女の悪戯V_01

     「まったく...本当に馬鹿よね...」 昨日の事の顛末を聞いた柊は、そう僕に言いながら、何処かの屋台で購入したのであろう焼きそばに、舌鼓を打っていた。 そしてそんな彼女を見ながら、殺されたのは昨日の今日だけど、割と普通に動く身体を使いながら、僕は設営されたテントの下で、仕事をしていた。 ちなみに仕事内容は、来場者数の記録とパンフレットの配布 なので僕と柊は、休憩以外の数時間を、ほとんどこのテントの下で過ごして居るということになる。 まぁでも、休憩時間にはちゃっかりと、こうしてこの文化際を楽しんでいるのだ。 そして僕も、お昼ご飯として購入した焼きそばを食べながら、その彼女の言葉に応える。 「僕もそう思うよ...でもまぁ気持ちは、異人として生きて行かなければならないことを、それを強いられたことに対するアイツの気持ちは、なんとなく、わからなくもないんだよなぁ...」 そう言いながら、焼きそばを食べている僕を見て、また柊は言葉を返す。 「それがわかるのは、荒木君が結果的には沙織と同じ境遇で、それで今も異人であるからでしょう?けれど私は、そのことをとやかく言うわけではないのよ...」 「っというと...?」 「私が言いたいのは、どうして素直に、私を頼ってくれなかったのだろうって...あんな回りくどい事をしなくても、私は...」 そう言って俯きながら、柊の箸が止まる。 けれどもそんな彼女に、僕はそれこそ、わかり過ぎる程にわかるので、応えるのだ。

  • 異人青年譚   不死身青年と賢狼烈女の悪戯IV_07

    「だからさぁ、お前のしたことは、どういう理由があろうと、どういう意味があろうと、やってはいけないことなんだ。そんな自分の傷を他人に押し付けるような、そんなズルいこと...誰もしてはいけないし、するべきでもないんだ。だってそれは、紛れもなくお前のモノなんだから。その苦しさも、辛さも、見てられなさも、そんなモノも全部ひっくるめてお前なんだから。だから...」 そう言いながら、僕は一歩、花影に近づく。 「だからさぁ花影...もうこんなことはやめにしろよ。それでももし、誰かにそれをぶつけたくなったなら、そのときは僕にぶつけろよ。そのときは全部、暴言だろうが暴力だろうが、破壊だろうが殺戮だろうが、僕がお前のそれを、受け止めてやるさ」 そう言うと、目の前の、もはや狼と成り果てた彼女は、しかしその姿でもわかる程に、明らかな笑みを浮かべて... そしてこちらに飛びつく気満々に、足や腕、身体全体に力を溜める。 そして... 「へぇーそっかぁ...じゃあ先輩は、私のこの気持ちも、そして壊すことすらも、全部全部、たとえ死んでしまっても、受け止めてくれるんだぁー」 「あぁいいよ。僕でいいなら、僕なんかが役に立つなら、本望さ」 そう言いながら、僕はまるで彼女を受け止める様に両腕を広げる。 その姿を見た彼女はまた、ニヤリッと笑いながら言うのだ。 「そっかぁ...じゃあ...」 そしてその言葉の後に、次の言葉を彼女が言う瞬間、彼女は全部の溜めていた力を開放する。 「死んで」 そしてその言葉の後には、あの大きな、数々の現場に残されていた跡の、彼女の大きな爪が、僕の胸から上を全て薙ぎ払うようにして、放たれた。 そうされて意識が飛ぶ直前、僕の死体からは多量の鮮血が、講堂のあちこちにばらまかれるように、まき散らされて、目の前にある何もかもを、僕の血で汚して... そして月夜に、それは見事に、賢狼は事を成したのだ。

  • 異人青年譚   不死身青年と賢狼烈女の悪戯IV_06

     「それなら...わかりますよね...私の気持ちが、こんな姿に、何の前触れもなく成り果てて、もうどうしようもなくなって、それでも好きな人にはちゃんと見て欲しくて、でもその人は別の人と仲良さそうにしていて、それがたまらなく苦しくて、辛くて、見てられなくて、こんな馬鹿なことをしてしまう私の気持ち...あなたになら、わかりますよね?」 そんな風に言いながら、そんな姿に成りながら、それでも縋る様なその言葉に、僕は思いっきり、自分の言葉を彼女にぶつけた。 「わかるよ...わかる。自分がもう、どうしようもない者になってしまった後悔も、それをどうにかしたくてもどうにもならない歯痒さも、痛いほどよくわかる。けれどさぁ花影。そんなの、形や重さは人それぞれなんだろうけれど、みんなが抱えていて、当たり前のモノなんだ」 「当たり前...?」 その疑問符の言葉に対して、僕はさらに言葉を返す。 同じ異人の... 人とは決定的に違ったそれをもつ、そんな僕は、そんな彼女に言葉を紡ぐ。 「あぁ、僕達はこんな...こんなわけもわからない者になってしまったけれど、でもそれを赤の他人にわかってもらおうなんて、最初から無理な話なんだよ。たとえそれが、わかって欲しい大切な人だろうと、それを本当の意味で伝えることは、僕達にはできないんだ」  『できない』と、そう言いきった後に、何故だか僕は、泣きそうな気持ちになってしまう。 しかしそれでも、最後に僕は彼女のしたことを、ちゃんと叱らなければならないのだ。 一足早く異人になった僕には、それを言う義務がある。

  • 異人青年譚   不死身青年と賢狼烈女の悪戯IV_05

     そんな僕の言葉に、今度は彼女が鼻で笑いながら、言葉を返す。 「...うそばっかり...さっきはそんなこと、全然言っていなかったじゃないですか...はぁ、どうやら真面目に答えてはくれないようですね...まったく...困った人...それにたった数日交流しただけの人に、先輩面されたくはないモノです...」 「その言葉はブーメランだぜ、花影。僕もたった数日交流しただけの女の子に、後輩面されたくはないな...」 たとえそれが... 「たとえそれが...」 化け物だろうと... 「僕と同じ、異人であろうとさ...」 そう言われた瞬間、花影は不気味に短く、笑い出す。  「...フフッ」  そしてもう、全てを知られていることを悟ったのか、薄い赤渕の眼鏡をとって、そして明らかに、人ではない瞳に、人ではない姿に成り果てて、しかしそれでもハッキリと、柊のときとは違ってハッキリと、彼女の声で僕に言う。 「なーんだ、そういうことですか、荒木さん。あなたも私と同じで、壊れているんですね...」 そう言いながら、月灯りに照らされた彼女は、みるみるうちに狼の姿に姿を変えて、人を捨てていく。 そしてそれを見ながら、僕は自分が思っていたよりも穏やかな声で、彼女に対して言葉を紡ぐ。 「あぁ、そうかもな。僕ももう、お前と同じで人には戻れない様な、そんな者に、なったからさ...」

  • 異人青年譚   不死身青年と賢狼烈女の悪戯IV_04

     だからもう、僕はあの暗号には興味を持てないのだ。 たとえ次に、『さ』から始まるサークルが飛ばされて、『し』から始まるサークルが被害を受け、そこで『し』から始まる何かが壊されていようと... たとえ最後の現場で、例の満月カレンダーのような暗号が残されていて、そしてそれが今日の昼間に、全て塗りつぶされた、描かれ切ったそれが、壊された何かに貼られていようと... たとえその紙が、今回の文化際のパンフレットの最後ページの、僕と柊の名前が書かれているページの、コピーだと言われようと... それに十五夜の満月が描かれているということは、きっちりと十五番目まで、最後まで犯人が犯行を成功させたということを、意味していようと... そしてそれらを、全て花影がLINEで、僕と柊に教えてくれようと... もう、その暗号に対する興味も関心も... ついでに言えば、それを逐一LINEで伝える彼女の潔白性すらも... 既に失ってしまっているのだ。 「...なーんだ、もうそこまで、理解しているんですね...」 その彼女の言葉は、まるで取り繕うのをやめたような、それでいてもう、ただ単に話を前に進めたいだけの、そんなテキトウさすら感じてしまうような言葉に、僕は思えた。 「...」 「あれ...でも、じゃあいつから私が、犯人だと気付いていたんですか?」 この彼女の言葉に、僕はさっきまでの自分の言葉を、まるで何もかも忘れているような、そんなテキトウで、しかしながら適当な、そんな言葉で返す。 「最初から、なんとなくは気付いていたさ。僕はお前の先輩なんだぜ。だからお前が、どんなに面倒な手段を取ろうと、どんなに馬鹿げたことをしようと、見誤るわけがなだろう」 そんな僕の言葉に、今度は彼女が鼻で笑いながら、言葉を返す。

  • 異人青年譚   不死身青年と賢狼烈女の悪戯IV_03

     「あぁ、そうだな。たしかにそうだ。文化際の実行委員であるお前が、そんなことをするはずがない。高校時代は、特に目立つことをして来なかった、優等生タイプでありながら、三年間クラスの委員長を断り続けたお前が、そんなことをするはずがない。だから僕と柊は、おのずと最初から、お前のことを容疑者としては見れなかった...いや...見れなかったというよりも、むしろそういう風に見せられて居たんだ...そういう風に見せるために、お前は僕と柊を、こんな妙なタイミングで、実行委員のヘルプにしたんだろ?」 「...」  そこで何も言い返さない花影を見て、僕は自分の考えが、悲しくも正しかったことを、確認する。 彼女はすり替えたのだ。 僕と柊の視点を、文化際を一般参加する学生から、文化際の実行委員の学生という、そんな些細なすり替えをした。 そしてすり替えられた僕と柊は、まんまとその罠にはまり、花影に対して、容疑どころか警戒心すらも、持てなかったのだ。 そんな賢くもズルい、しかしながら明らかに、用意周到な計画は、僕と柊の視点を狙い通り変えて、彼女が行う現場を、普通よりも一番近くで、アイツに見せることが出来た。 しかし僕は、それに対しても苦言を呈す。 「それにしてもさぁ、花影。いくらなんでも、あの暗号はないんじゃないか?あんな、真似をしているようでそれも出来ていない...アレじゃあ流石に、何も伝わらないだろ。いくら相手が、お前が大好きな先輩でも...アイツには...柊には伝わらない」 そう、現場に残されていたアレは、前に柊が言っていたように、『クドリャフカの順番』という小説に出てくるそれを、模倣しているようで、けれどそれすらも、完璧には出来ていない、そういう代物だった。

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