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第6話

Auteur: ASAMI
last update Date de publication: 2025-12-22 23:17:02

「あれ? ユキ、どこ行くの?」

このぎこちない空気に耐えきれなくて、あたしは席を立った。

「ちょっと、トイレに」

廊下を指差して、軽く笑って身を縮めながら柊の横を通り、教室の後ろのドアから廊下に出る。

ガラガラガラ、ピシャ……。

廊下に出て後ろ向きでドアを閉め、1回ため息。

重い体を引きずりながら廊下を歩いた。

ガラガラガラガラっ!!

「篠原っ!!」

激しくドアの開く音がしたと思ったら、すぐにハルに名前を呼ばれて振り返った。

ハルは軽快に走ってくると、あたしの隣にピタリとつく。

「なに? どうしたの?」

廊下を歩きながら、突然追いかけてきた理由を聞く。

マキにはトイレと言ったけど、別に行きたいわけじゃない。

目的もなく、新学期で浮かれている生徒の間をだた歩いてるだけ。

「いや、まぁ……」

ハルが、ポリポリとこめかみを人差し指でかく。

「もしかして、アイツなの?」

今度は、こめかみをかいた手の親指で、後ろの教室を指す。

「……あぁ、うん。柊のことね」

「そっか。アイツか。なかなかのイケメンじゃん」

あたしは少し微笑んで、小さく頷いた。

そう……。

イケメンだ。

イケメンになりすぎ……。

「まだ、好きなんだろ?」

「……え?」

戸惑った。

無意識のうちに、歩みを止めてしまうくらいに……。

まだ好き?

……うん。好き。

そんなの、当たり前……。

でも、何だろう……。

さっき感じた心の距離感があまりもショックすぎて、一瞬にして自分の気持ちが分からなくなってしまった。

あたしが黙り込んでクルリと踵を返すと、後ろから小さく息を吐く音が聞こえてきた。

「トイレに行くんじゃなかったのかよー!!」

後ろから叫ぶハルに答える余裕なんてない。

マキとハルと同じクラスになれて、楽しい1年がスタートすると思っていたのに、とんでもない1年がスタートしてしまった……。

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