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第5話

Auteur: ASAMI
last update Date de publication: 2025-12-22 23:16:50

怖いんだ……。

理由は、わかってる……。

あたし達は、自然消滅してたから。

付き合ったのは、1年弱。

中2の終わり、両親の都合で転校しなくてはいけなくなった柊と泣く泣く離れ離れになり、いつしか連絡も途絶えてしまった。

直接、別れようって言われたわけじゃない。

ただ、もうあの頃から2年も経っている。

その間連絡も来なかったし、これは、もう終わってるってことだ。

わかっているのに、まだ少し希望を持っている自分がいる。

まだ終わってない。

お互いの生活があって連絡は途絶えてしまったけど、まだ、あたしは柊と付き合っている。

バカみたいに、そう思ってるんだ。

確かめれば済むことなのに、怖くてそれが出来ない。

矛盾……してる?

「本当に帰って来たんだね~。さっき掲示板見たのに、ちっとも気がつかなかった。自分達の名前を見つけるのに必死だったから!」

柊の右斜め前の席だったマキが、体を横に向けて柊に話しかけている。

「ね~、ユキ。ユキは気づいてた? 古賀くんの名前」

マキが少し身を乗り出してあたしに話しを振ってきたので、あたしは横目でマキを見てぎこちなく笑った。

「う、ううん。全然」

小さく首を振り、落ちつきなく、机の上に乗せたスクールバックの上で手を弄ぶ。

「そうだよね。気づいてたら、真っ先に反応するよね」

マキの言葉に、変な汗が流れる。

気づかないわけがない。

大好きな人の名前だ。

彼の名前だけが、浮かび上がって見えるほどなのに……。

「ねぇ、古賀くん」

「うん?」

「また引っ越してきたってことは、3年まで一緒にいられるってことだよね?」

ドクン……っ!!

マキの質問に、心臓が何かに掴まれたように苦しくなった。

スクールバックに視線を落したまま、グッと眉間に力が入る。

ふたりのほうに体は向けられないけど、しっかり耳だけは反応するんだ。

「ああ……まぁ……」

とても話しにくそうに答えた柊。

やっぱり、変わったんだ。

変わってしまった。

だって、2年だもん。

前は、こんなに会話がぎこちなく感じることなんてなかったのに。

あたしと、マキと、柊と……。

中2の、たった1年同じクラスになっただけだったのに、あの頃はまるで幼なじみのように仲のいい3人だった。

あたしと柊が付き合い始めても、学校にいる時はマキも一緒だった。

たまに隠れてふたりっきりになったこともあったけれど……。

もう……あの頃のあたし達じゃ、ないんだ……。

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