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第9話

Author: こうたろう
防犯カメラの映像には、桃花が勝ち誇ったように私を侮辱し、自分の企みを嬉々として語る姿がはっきり映っていた。

映像を見終えた颯太の顔色は、極限まで暗く沈んでいた。

自分の命の恩人だと信じていた相手が偽物だったうえ、その裏でそこまで恐ろしい企みを巡らせていたなんて、彼は夢にも思っていなかったのだ。

「井上桃花、お前は人間じゃない!」

颯太は激昂し、桃花を思いきり蹴り飛ばした。

「社長、あの時あんなことを言ったのは、ただ久世さんを怒らせたかっただけなんです!あなたの財産を狙っていたわけでも、あなたを殺そうとしていたわけでもありません!あなたの命の恩人だと偽ったのは、ただ……ただ愛していたからなんです!お願いです、見逃してください!」

桃花は泣きじゃくりながら床にひざまずき、命乞いをした。

「山本社長、こいつはまだ嘘をついてます!こいつは本気で財産を奪って、あなたも殺すつもりだったんです。俺のスマホに動画があります。信じられないなら見てください」

医者はもう道連れにするつもりなのか、証拠を差し出した。

その背筋が凍るような証拠を目にした瞬間、颯太の顔色はさらに険しくなった。

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    けれど、桃花が現れてからというもの、そんな約束はすべて煙のように消えてしまった。彼はもう、そのことを一言たりとも口にしなくなっていた。今になって誤解が解け、しかも私が死んでから昔の約束を持ち出されても、感動なんてできなかった。ただただ滑稽に思えた。ふと、昔よく聞いた言葉を思い出した。誰も、いつまでも同じ場所であなたを待ってはくれない。今の颯太には、これ以上ないほどぴったりの言葉だった。私は、颯太が私の死を引きずるとしても、せいぜいほんのしばらくの間だけだと思っていた。だって彼は今や億万長者で、将来も約束されている。望めばどんな暮らしだって手に入るし、どんな女性だって思いのままだ。けれど意外なことに、彼は新しい人生を始めようとはしなかった。会社のことをすべて放り出し、代わりに思い出を辿るようになったのだ。私たちがかつて訪れた場所を一つ残らず巡り、かつて一緒に食べたものを一つ残らず口にした。丸三か月、彼はひたすら思い出の中に沈み込み、毎日涙を流して暮らしていた。そして私はその得体の知れない力に縛られたまま、ずっと彼のそばについて回っていた。私はこの力が本当に腹立たしかった。せっかく死んだのに、まだ颯太に付き合って思い出をなぞらされるなんて。私はもう、彼との感情には決着をつけていた。それでも、あれだけ時間をかけて育ててきた想いだったのだ。過去が映画みたいに目の前へ映し出されれば、どうしたって心に少しは波が立つ。やがて三か月後、颯太は会社へ戻った。これでようやく私は解放されるのだと思った。けれど、その時彼はさらに奇妙なことをし始めた。なんと彼は、私がこの三年間やってきたことを、自分でそのままなぞり始めたのだ。死にものぐるいで働き、死にものぐるいで接待し、安アパートに住み、高級車には乗らず、毎日十キロを走って会社に通う。この男は、私が過ごした三年間の苦しみを、自分の身で味わおうとしていたのだ。そして三年が過ぎた。颯太は安アパートの部屋で、声を上げて泣いた。「怜奈、お前がどれほど苦しかったのか、やっと分かった……俺がどれだけお前に申し訳ないことをしたのか、やっと分かったんだ!」そのあと、彼は私の想像を超える行動に出た。会社を公益団体に寄付し、自分が人を殺した証拠を警察へ提出した。そし

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    防犯カメラの映像には、桃花が勝ち誇ったように私を侮辱し、自分の企みを嬉々として語る姿がはっきり映っていた。映像を見終えた颯太の顔色は、極限まで暗く沈んでいた。自分の命の恩人だと信じていた相手が偽物だったうえ、その裏でそこまで恐ろしい企みを巡らせていたなんて、彼は夢にも思っていなかったのだ。「井上桃花、お前は人間じゃない!」颯太は激昂し、桃花を思いきり蹴り飛ばした。「社長、あの時あんなことを言ったのは、ただ久世さんを怒らせたかっただけなんです!あなたの財産を狙っていたわけでも、あなたを殺そうとしていたわけでもありません!あなたの命の恩人だと偽ったのは、ただ……ただ愛していたからなんです!お願いです、見逃してください!」桃花は泣きじゃくりながら床にひざまずき、命乞いをした。「山本社長、こいつはまだ嘘をついてます!こいつは本気で財産を奪って、あなたも殺すつもりだったんです。俺のスマホに動画があります。信じられないなら見てください」医者はもう道連れにするつもりなのか、証拠を差し出した。その背筋が凍るような証拠を目にした瞬間、颯太の顔色はさらに険しくなった。「言え。どう死にたい?」ここまで来て、桃花ももう取り繕えないと悟ったのだろう。ついに開き直って吐き捨てた。「死ぬなら死ぬで構わないわ。どうせ大した命じゃないもの。だけど、これから先、あなただって楽には生きられないわよ?本当に馬鹿よね。私が何を言っても、あなたは全部そのまま信じた。久世怜奈を死なせたのは私じゃない。あなたよ。あの女があなたにどれだけ尽くしてきたか、ちゃんと分かってた?心も体もすり減らして、私に毒を盛られて胃がんになっても、それでもまだ命を削ってあなたのためにお金を稼いでたのよ。なのに、あなたはどうだった?私がそれっぽくあの女の悪口を吹き込んだだけで、あっさり信じたじゃない。よくそんなことができたわよね。本当に一番報いを受けるべきなのは、あなただったのよ!」「黙れ!こいつを始末しろ!」颯太は全身を震わせながら、桃花を殺せと命じた。そして私の亡骸へ目を向けたその瞳には、罪悪感と自責の色が満ちていた。「はははっ、私は死ねばそれで終わり。でも、あなたは生き地獄ね。これから先、永遠に久世怜奈への罪悪感を抱えて生きていくのよ!」死の間際になっ

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