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第167話

Autor: 酔夫人
last update Data de publicação: 2026-03-18 18:23:09

夕焼けがきれいだったから、写真を撮った。

きれいなものを見つけると、写真に撮ってナターシャに贈る。

ナターシャのために。

きれいな写真の撮り方を、母さんに頼んで折々舎で身につけると言ったら、ナターシャは呆れたけれど、「いつもみたいに見せてね」と可愛く笑ってくれた。

いつも通り、写真を送ろうとして手が止まる。

戸惑う理由は分かっている。

別れ際、ナターシャの表情が、いつもより少しだけ曇っていたからだ。

.

帰宅して、しばらく悩んで、メッセージをナターシャに送った。

【今日、なんか変だったけど大丈夫か?】

散々悩んだメッセージの内容だけど、送信を送って「しまった」と後悔した。

消すのもなんだし、既読がついちゃったし。

【大丈夫だよ。ちょっと考え事してただけ】

返ってきた返事。

その内容よりも、既読がついてから返ってくるまでの時間が問題。

ナターシャは、嘘をつくのが下手だ。

でも、嘘を吐くナターシャを、嫌いではない。

ナターシャが嘘をつくときの顔は、誰よりも静かで、誰よりも優しいから。

ナターシャは、自分の気持ちで誰かを困らせたくないと、いつも遠慮する。

そういう子だ。

だからこそ、
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    夕焼けがきれいだったから、写真を撮った。きれいなものを見つけると、写真に撮ってナターシャに贈る。ナターシャのために。きれいな写真の撮り方を、母さんに頼んで折々舎で身につけると言ったら、ナターシャは呆れたけれど、「いつもみたいに見せてね」と可愛く笑ってくれた。 いつも通り、写真を送ろうとして手が止まる。戸惑う理由は分かっている。 別れ際、ナターシャの表情が、いつもより少しだけ曇っていたからだ。.帰宅して、しばらく悩んで、メッセージをナターシャに送った。【今日、なんか変だったけど大丈夫か?】散々悩んだメッセージの内容だけど、送信を送って「しまった」と後悔した。消すのもなんだし、既読がついちゃったし。【大丈夫だよ。ちょっと考え事してただけ】返ってきた返事。その内容よりも、既読がついてから返ってくるまでの時間が問題。ナターシャは、嘘をつくのが下手だ。でも、嘘を吐くナターシャを、嫌いではない。ナターシャが嘘をつくときの顔は、誰よりも静かで、誰よりも優しいから。ナターシャは、自分の気持ちで誰かを困らせたくないと、いつも遠慮する。そういう子だ。だからこそ、俺は――踏み込めない。返事にかかった時間は、俺を思っての嘘を考えるための時間だろうから。嘘を責める様な言葉は絶対に言えない。 .* .ナターシャは、小学校の後半くらいから極力目立たないように振る舞うようになった。あのお茶会で、少数派であることを責められたナターシャが傷ついたのを目の当たりにしたから、しかもそれは俺のせいでナターシャが攻撃されたからだから、目立たないでいようとするナターシャの意志を組んだ。その必要性を、俺は幼いながらに理解したつもりでいた。ロシア系の顔立ち。戦場孤児という、センセーショナルな生い立ち。シングルファーザーの家庭。父親の友人が同居している。表向きの理由で固めても、やはり日本では珍しい家庭の形。ナターシャが注目されたくないのは、その理由の半分は、乃蒼さんたちの秘密を隠したいから。乃蒼さんたちのため。だから、ナターシャは目立たないという生き方を変えることはない。誰にも注目されず、誰にも詮索されず、穏やかに生きていこうとする。だから、ナターシャは俺を選ばない。だから、俺は決めた。彼女という特別は作らない。全員平等。好きな子

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