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第133話

作者: 花野めい
百栄の社長室。

新次は初めて由樹の執務室に呼び出され、頭を下げたまま、恐縮して顔を上げられずにいた。

「早坂さんは当初、半日だけの休暇を申請していましたが、先ほど改めてメッセージが届き、数日間の休みを申請してきました」

由樹は指先でペンを弄びながら、喜怒の読めない表情を浮かべていた。それでいて、その瞳にはどこか何もかも見透かしているような、深い色が漂っている。

「下がっていい」

新次はすぐさま身を翻し、逃げるように退室した。

ドアの閉まる音が響いた後、執務室には静寂が落ちた。

傍らに控えていた哲朗は、目を伏せ、息を潜めるように気配を殺している。

彼は、由樹が三久に退職合意書を渡した事実を知る、唯一の人間だった。あの合意書に加えられた厳しい条項は、すべて由樹の指示に従い、彼自身が書き加えたものだったのだ。

「婚約パーティーの一件、調査の進捗は?」

由樹は三久の話題については、それ以上触れようとはしなかった。

哲朗も空気を読み、その件には触れない。

「確たる証拠こそまだ掴めていませんが、状況証拠はすべて松村奈緒さんを指し示しています。彼女は村上さんから任された権限を
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