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第3話

Author: 雲間探
慎也は智昭の側近秘書の一人だった。

彼女の退職願を見て、とても驚いた。

彼は会社で玲奈と智昭の関係を知る数少ない人物の一人だった。

智昭を知る者なら誰でも分かっていた。彼の心は玲奈にはないということを。

結婚後、彼は玲奈に冷たく、めったに家に帰らなかった。

智昭に近づき、心を掴むため、玲奈は藤田グループに入社することを選んだ。

最初の目標は智昭の側近秘書になることだった。

しかし智昭は同意しなかった。

会長が出てきても、智昭の同意を得ることはできなかった。

結局、玲奈は妥協して秘書課に残り、智昭の多くの一般秘書の一人となった。

最初、慎也は玲奈が秘書課に入って混乱を引き起こすのではないかと心配していた。

しかし結果は予想外だった。

玲奈は確かに職務上の便宜を利用して智昭に近づこうとしたが、時と場所を弁えており、度を越すことはなかった。

それどころか、おそらく智昭に認められたいがために、玲奈は仕事に真摯に取り組み、優れた能力を見せ、妊娠出産やその他の時も、会社の規定に従い、特別扱いを求めることは一切なかった。

数年の間に、玲奈は秘書課のリーダーとなった。

玲奈の智昭への想いを、彼はずっと見てきた。

正直に言えば、慎也は玲奈が退職するとは考えもしなかった。

玲奈が自ら進んで辞めるとは信じられなかった。

今の玲奈の退職は、おそらく彼の知らない何かが智昭との間で起こり、智昭が辞めるよう命じたのだろう。

玲奈は仕事の能力が高く、残念ではあったが、慎也は公平に対応した。「退職願は受け取りました。早急に後任の手配をさせていただきます」

「はい」

玲奈は頷き、自分の席に戻った。

慎也は少し仕事をした後、オンラインで智昭に業務報告をした。

ほぼ話し終わった頃、ふと玲奈の退職のことを思い出した。「そういえば、藤田社長……」

玲奈には早急に後任を手配すると言ったものの、具体的にいつ玲奈を辞めさせるかは智昭の意向を探りたかった。

もし智昭が明日から玲奈に出社させたくないのなら、すぐに手配するつもりだった。

しかし言いかけて、玲奈が入社した時、智昭が言ったことを思い出した。玲奈の会社での全ての事項は会社の規定通りに処理し、特別に報告する必要はない。

彼は関与しないと。

事実、そうだった。

この数年間、会社で智昭は一度も自ら玲奈のことを尋ねることはなかった。

普段会社で玲奈を見かけても、完全に他人を見るような態度だった。

この数年、玲奈は優れた実績を上げ、二年前に昇進させようとした時も、智昭の玲奈への不快感を考慮して、特別に智昭の前で言及した。

もし気に入らないなら、この件は取り止めにするという意味で。

その時智昭は眉をひそめ、いらだたしげに再度強調した。彼は干渉しない、規定通りに進めろと。

今後玲奈の会社での件について、彼に尋ねるなとも。

慎也がなかなか言い出さないのを見て、智昭は眉をひそめた。「何か用か」

慎也は我に返り、急いで言った。「いいえ、なんでもありません」

玲奈の退職を智昭が既に知っているのに、自から言い出さないということは、この件は智昭にとってまったく重要ではないということだ。

彼の方は今まで通り、会社の規定に従って処理すれば良いのだ。

そう思い、慎也はそれ以上何も言わなかった。

智昭はビデオ通話を切った。

……

「何を考えているの」

昼頃、同僚が突然玲奈の肩を叩いた。

玲奈は我に返り、笑って首を振った。「なんでもないわ」

「今日は娘さんに電話しないの」

「ええ、もういいの」

彼女は普段一日に二回娘に電話をしていた。

一回は午前一時、もう一回は正午頃。

このことはオフィスの同僚たちも知っていた。

ただし、彼らの知らないことは、彼女の娘の父親が会社の大物ボスだということだった。

夜、退社後、玲奈は市場で少しの野菜と観葉植物を買って帰った。

食事の後、玲奈はネットで科学技術展示会の情報を確認した。

確認後、電話をかけた。「来月の科学技術展示会のチケットを一枚取っておいて」

「本当に?」向こうは冷たく言った。「前の二回もチケットを取っておいてと言ったけど、一度も来なかったじゃないか。たくさんの人が切望しているチケットを、あなたは無駄にした」

国内の年に一度の科学技術展示会は科学技術業界の一大イベントで、チケットは誰もが手に入れられるわけではなかった。

彼らの会社も何枚かの出展枠を得ており、傘下の多くのエリートたちが参加を希望していた。

彼らにとって、一枚一枚の枠が非常に貴重だった。

「今回も出席しなかったら、もう二度とあなたにお願いしないわ」

向こうは何も言わず、電話を切った。

玲奈は分かっていた。これは同意したという意味だと。

玲奈は少し笑った。

実は、言わなかったが、彼女は会社に戻りたいと考えていた。

会社のパートナーとして、会社が立ち上がったばかりの時に結婚、出産を選び、会社から離れ、家庭に専念したことで、会社の発展計画を完全に狂わせ、多くの機会を逃してしまった。

みんな彼女に対して怒りと苛立ちを感じていた。

この数年、彼らとはほとんど連絡を取っていなかった。

確かに会社に戻りたいと思っているが、結婚後は家庭中心の生活を送ってきた。

既に長すぎる間、その世界から離れていた。

何の準備もせずに会社に戻っても、彼らのペースについていけないのではないかと心配だった。

だから、しばらく時間をかけて業界の現状を深く理解してから、具体的な計画を立てようと考えていた。

その後数日間、玲奈は仕事中はしっかり仕事をし、退社後は自分のことに取り組んだ。

娘や智昭に積極的に連絡を取ることはなかった。

もちろん、彼らからも連絡はなかった。

これについて、彼女は意外に思わなかった。

なぜなら半年以上前から、連絡を取るのは彼女の一方的な行動になっていた。

彼らはただ受け身で応じているだけだった。

……

A国。

茜は今、毎朝起きたら優里に電話をかける習慣がついていた。

この日も、目が覚めると普段通り、まず優里に電話をかけた。

でも優里とあまり話さないうちに、「うわーん」と泣き出した。

優里から悲報を告げられたからだ。

「優里おばさんが国に帰っちゃうの!」

茜は悲しみに暮れ、優里との通話が終わるとすぐに智昭に電話をかけた。「パパ、このこと知ってたの」

オフィスで、智昭は書類に目を通しながら「知ってた」

「いつ知ったの」

「しばらく前だ」

「パパ、ひどい……」茜はピンクのブタのぬいぐるみを抱きしめて泣き続けた。「どうして教えてくれなかったの。優里おばさんがいなくなるのイヤ。優里おばさんがいないならここで学校に行きたくない。国に帰る、うわーん」

智昭は淡々とした口調で「既に手配している」

茜は理解できなかった。「な、なにが」

「来週、私達も国に帰る」

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Comments (3)
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Megumi Sekita
夫と子供が帰ってくるとどうなるのかしら、ドキドキ
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玲子
電話をかけた相手って誰だろう
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YOKO
ムカつく。何⁇変な父と娘と父の愛人(吐きそうな内容だ、)
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