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第1133話

風羽
その夜、鈴音は一睡もできなかった。

眠れば、彰人に毒を盛られるのではないか――そんな恐怖が頭から離れなかったからだ。

後悔していないのかといえば、正直、している。

内心では怯えもあった。だが、胸に溜まった怨嗟が彼女を引き返せなくしていた。

最後まで、彰人と闘うしかない。

確かに、自分は惨めだ。

けれど、彰人はどうだというのか。

願乃とは離婚した。

周防家の力を考えれば、彼を受け入れるはずがない。

彰人が見せている強気など、ただの虚勢に過ぎない。

本当は自分以上に苦しんでいるはずだ。

――そう。

勝っているのは自分だ。少なくとも、この時点では。

扉が開いた。

麗子が医療用のワゴンを押して入ってくる。

上には、鈴音が朝に服用する薬が並べられていた。

いつもなら、彼女は錠剤を割り、スプーンに乗せ、水まで用意する。

だが今日は違う。

大きな錠剤が無造作に置かれているだけで、水すらない。

「お薬の時間です」

声にはいつもの丁寧さがなかった。

普段なら必ず「藤宮さん」と呼ぶのに。

鈴音は疑わしげに彼女を見つめ、ゆっくり問いかけた。

「水は?それに、こん
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