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第1455話

Author: 風羽
章真は主寝室のドアを開けた。

リビングスペースには、結安が残していった痕跡があふれていた。

彼女が寄りかかっていたクッション。

彼女が使っていたクリスタルグラス。

窓辺のカーテンでさえ、彼女の好みに合わせて掛け替えられたものだった。

この部屋のすべてが、彼女のために整えられていた。

それなのに、彼女は何のためらいもなく去っていった。

身体はもう別の女に触れた。

それでも――

章真は、どうしても結安を忘れられなかった。

彼女が残した物のせいなのか。

それとも、彼女が残していった想乃の存在のせいなのか。

章真は一つひとつに静かに手を触れていく。

明日、結安が荷物を取りに来たら、この部屋をきれいに片づけよう。

彼女の痕跡を、何もかも消してしまおう。

これから先、結安という存在は、自分の人生にはもういない。

最初から出会わなかったことにすればいい。

想乃も――まるで石の間から突然生まれてきた子どもだったとでも思えばいい。

しばらくして、章真はバスルームへ入った。

シャツのボタンを一つずつ外し、そのまま脱ぎ捨てる。

すると、襟元には鮮やかな口紅の跡が残って
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    章真は主寝室のドアを開けた。リビングスペースには、結安が残していった痕跡があふれていた。彼女が寄りかかっていたクッション。彼女が使っていたクリスタルグラス。窓辺のカーテンでさえ、彼女の好みに合わせて掛け替えられたものだった。この部屋のすべてが、彼女のために整えられていた。それなのに、彼女は何のためらいもなく去っていった。身体はもう別の女に触れた。それでも――章真は、どうしても結安を忘れられなかった。彼女が残した物のせいなのか。それとも、彼女が残していった想乃の存在のせいなのか。章真は一つひとつに静かに手を触れていく。明日、結安が荷物を取りに来たら、この部屋をきれいに片づけよう。彼女の痕跡を、何もかも消してしまおう。これから先、結安という存在は、自分の人生にはもういない。最初から出会わなかったことにすればいい。想乃も――まるで石の間から突然生まれてきた子どもだったとでも思えばいい。しばらくして、章真はバスルームへ入った。シャツのボタンを一つずつ外し、そのまま脱ぎ捨てる。すると、襟元には鮮やかな口紅の跡が残っていた。章真は外の女とキスをするのは好まない。あれは、琴葉がわざとシャツに残したものだった。少しだけ躊躇したあと、彼はそのままシャツをランドリーバスケットへ放り込む。――明日、結安はここへ来る。このシャツを目にするかもしれない。それでも、隠そうとは思わなかった。いや、隠すことさえ面倒だった。もう、その必要はない。彼女は自分を選ばなかった。そして、自分ももう彼女を選ばない。シャツが床へ落ちる。スラックスも。最後に、黒いボクサーパンツも足元へ滑り落ちた。章真は裸足のままシャワールームへ入り、熱い湯を全身に浴びる。顔を上げ、目を閉じる。もう終わりにすると決めたはずなのに。どうして、ふとした瞬間に彼女のことを考えてしまうのだろう。彼女が、自分に別の女ができたと知ったら。どんな反応をするのだろう、と。――章真。彼女は、そんなこと気にも留めない。彼女の心にいるのは、藤堂だけなのだから。章真は静かに目を閉じた。――藤堂が回復したら。二人は、本当に一緒になるのだろうか。シャワーを終え、黒いシルクのパジ

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