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第270話

Auteur: 風羽
今、京介が望んでいるのは——舞の愛。

そして、彼女に幸福を与えること。

年末、最後の出勤日。

栄光グループ、社長室。

京介は、最後の書類にサインを終え、それを中川に手渡した。

「これ、処理してくれたら、今日はもう上がっていいよ」

中川は受け取り、笑顔で応じた。

「では、社長——どうぞ、良いお年を」

「……うん、良いお年を」

京介は頷きながら、引き出しから赤い封筒を取り出した。

「お前へのお年玉だよ。受け取って」

中には、なんと千二百万円の小切手。

中川はもちろん嬉しかった。これだけもらえるなら、365日フル稼働でも文句はない。

だが——

彼女がドアへ向かいかけた、そのとき。

京介の意識がふっと遠のいた。

一瞬、頭がグラつき、目の前がぐにゃりと歪んだ。

整った眉が寄せられ、彼は頭を軽く振った。

中川が振り向いた。

「……どうなさったんですか?」

京介は、まっすぐに彼女を見つめたまま、しばらく呆然としていた。

数十秒の沈黙。

やがて、彼は低く絞り出すように言った。

「……脳神経の診察、午後三時までに予約しておいてくれ」

中川はすぐに動いた。

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Commentaires (1)
goodnovel comment avatar
千恵
手術を選ばないと、記憶障害に陥りやがて死ぬんだよ。 受けよう
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