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第413話

Auteur: 風羽
夜は墨を流したように深い。

黒塗りの車内で、瑠璃は息苦しさを覚え、窓を少し開けた。

外には車の列、街の灯り、人の営みの匂いが満ちている。

運転手は瑠璃の機嫌が悪いのを察して、気を遣うように言った。

「奥さま、ご安心ください。先ほどの件、岸本さんには申しません」

瑠璃は一瞬驚いたが、すぐに静かに答えた。

「大丈夫よ」

背を革張りのシートに預け、毛皮を胸元へ引き寄せる。

前席では朱音が小さく謝っていた。

気がつくと、スマートフォンが震え、画面が二度光っては消えた。

長い沈黙のあと、瑠璃はそれを手に取る。

そこにあったのは——輝からの短いメッセージ。

【おめでとう】

たった五文字が、胸を鋭く突き刺す。

瑠璃は冷ややかに笑んだ。

——人を傷つける者は、いつだって無自覚。

……

三十分後、車は別荘に滑り込んだ。

朱音は彼女を車から降ろしながら、小声で尋ねた。

「お部屋までお送りしましょうか?」

「いいの。早く帰って休んで」

朱音の鼻先が赤くなり、また謝ろうとするのを、瑠璃は指で頬をつまんで遮った。

「あなたのせいじゃないわ」

「はい。社長も、お早めに
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