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第616話

Author: 風羽
数日が過ぎ、澄佳は撮影チームを率いて清嶺へ向かう準備を整えていた。

出発の前に、翔雅と会う約束を入れた。

十二月中旬、瑞岳山の紅葉は真っ盛り。二人は子どもを連れず、山を散策し、寺院で香を焚いた。人並み外れて長身の翔雅は、意外にも仏を信じていて、二千万円の香資を寄進した。

芳名帳に名前を書き込む彼に、澄佳はそっと身を寄せて囁く。

「何をお願いしたの?」

翔雅は顔を傾け、至近距離で彼女を見つめた。化粧気のない清らかな顔立ちは、少女のように無垢で愛らしい。声を落とした彼が答える。

「縁結び」

二千万円の数字を見やりながら、澄佳は片腕で彼の腰に触れる。

「ずいぶん本気ね」

翔雅の目は深く沈む。

「妻が欲しい。独りは長すぎた」

澄佳は黙って彼に寄り添い、甘えるように肩に凭れた。翔雅は、彼女が思いのほか良き伴侶になり得ることを思った。

二人きりの時、従順なときはとことん従順だ。それも自分の功績だと、隙を見ては彼女を手なずけてきた結果だと。そんなことを考えると、男の視線には自然と含みが生まれる。

澄佳は顎を彼の肩に置き、柔らかな声を落とす。

「お寺の中では……よからぬこと
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