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第619話

Author: 風羽
清嶺で、雪崩が起きた。

山麓の家々も家畜小屋も、すべて分厚い雪に呑み込まれた。翔雅の目の前で、澄佳と篠宮も雪に埋まっていった。

SUVもまた、容赦なく雪に覆われ、エンジンは沈黙した。

しばし後、翔雅は必死にドアを押し開け、よろめきながら外へ飛び出した。視界を埋め尽くす白の奔流など顧みず、ただ澄佳のいる方角へと走る。

豚小屋の前にたどり着くと、素手で人の背丈ほども積もった雪を掻き始めた。少しでも遅れれば窒息するかもしれない。その恐怖が彼を突き動かす。

固い雪の塊は容易に崩れず、指先はすぐに血に染まった。白雪の上に赤が点々と落ちても、翔雅は気づかない。彼はただ必死に澄佳の名を呼び続けた。

幸い、掘り進めた先に篠宮の姿を見つけた。彼女は荒く息を吐き、まだ意識は朦朧としていたが、共に雪を掻き進めた。やがて、澄佳の腕が現れ、二人で必死に引きずり出す。

初めて新鮮な空気を吸い込んだ瞬間、澄佳の胸は痛みで裂けそうだった。それでも彼女は忘れない。震える指先で豚小屋を指し示し、かすれ声で告げる。

「相沢さんを……探して」

翔雅は大きな雪の塊を跨ぎ、その方向へ急いだ。篠宮も後を追う。

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