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第797話

Auteur: 風羽
主寝室へ戻った慕美の胸は、まだふわりと甘く弾んでいた。

けれど同時に、澪安の疲れた声を思い出して、胸の奥がきゅっと締めつけられる。

シャワーを浴びて部屋に戻ると、書斎の灯りがまだついているのに気づいた。

その明かりを見ると、じっとしていられなくて――慕美はそっと階下へ降りていった。

冷蔵庫にあるもので、簡単なチャーハンを作った。

決して上手ではない。

けれど心を込めて混ぜて、盛り付けて、味噌汁まで添えた。

でも、書斎には持っていかなかった。

――邪魔したくない……

ただ、その気持ちだけでも伝わるようにと、リビングのテーブルに整えて置いた。

澪安が仕事を終えて部屋に戻った時、一目で気づける場所に。

慕美は、小さなことですぐ幸せになれる人だった。

仕事が決まったことも嬉しい。

澪安を大切に思う気持ちも、嘘じゃない。

そして彼に迷惑をかけず、自分も少しずつ成長して――いつか胸を張って隣に立てるようになりたい。

ふと、澪安の言葉がよみがえった。

「簡単な英会話も復習しておいて」

土曜日まで、あと四日。

慕美は眠気を振り払って、英会話アプリをダウンロードした。
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