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第805話

Author: 風羽
十分ほど待ってみたが、画面には相変わらず何の通知もなかった。

そして、澪安はゆっくりと起き上がり、顔を洗い、いつものように会社へ向かった。

だが、胸の奥は空洞のまま。

彼のプライドは、慕美に連絡することを許さなかった。

そして慕美も連絡してこない。

――このまま、本当に別れてしまうのか。

そんな予感だけが、冷たい霧のように張り付いていた。

その日の午前。

珍しく、恬奈が会社に現れた。

智朗がノックして知らせた時、澪安は眉をひそめた。

「彼女と、何か約束してたか?」

智朗はわざとらしく間を置いた。

「てっきり、桂木様には予約など不要かと。予約が必要なのは九条様のほうだけかと」

澪安の黒い瞳が細くなった。

数秒の沈黙のあと――

「お前、半月分のインセンティブ、減給な」

智朗は痛がる顔をしながらも、心の奥では妙にすっきりしていた。

……

ほどなくして、恬奈が軽やかにドアを押し開けた。

淡いバターイエローのワンピース。

清楚で可憐、その上計算の匂いをうっすら纏っている。

「澪安さん、今日の夜はどこで食事する?三和の新しい店なんてどう?」

慣れ慣れしい
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