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Author: Lady-Noir
last update publish date: 2026-08-10 06:11:13

第2章

カルヴィンはカメリアを腕の中へ引き寄せ、荒々しく二人の距離を縮めた。

彼の唇が強引な勢いでカメリアの唇を塞ぐ。まるで、それまで必死に抑えていたすべての理性が、一瞬にして崩れ落ちたかのようだった。

「カルヴィン――」

カメリアの息が途切れた。

キスはさらに深くなり、カメリアは立っているために夫のスーツを掴まなければならなかった。

カルヴィンの胸は激しく上下し、呼吸は荒く、不規則だった。

彼の手はカメリアの腰をしっかりと抱きしめていた。まるで、彼女が逃げてしまうことを恐れているかのように。

カメリアは心の中で笑った。

「やった……! カルヴィン坊ちゃんの愛しい白い月、今夜は私が誘惑することに成功した。そして、彼に触れた最初の女も私よ」

カメリアは心の中でそう呟いた。

彼女は優しく、それでいて意図的にキスを返した。

唇をゆっくりと動かし、焦らすように。

それだけで、カルヴィンのペースは乱れていった。

男が主導権を取り戻そうとした瞬間、カメリアはわずかに身を引いた。

「どうしてやめた?」

カルヴィンの声は低く、掠れていた。

カメリアは顔を上げた。

「あなたに、本当に望んでほしいだけよ」

その言葉に、カルヴィンは一瞬黙り込んだ。

そして再びカメリアにキスをした。

今度はさらに深く、飢えを満たすかのように。

カメリアは目を閉じ、そのまま身を委ねた。

彼女は唇をカルヴィンの顎の端へ移し、それから首筋へと滑らせていく。

そのキスは軽やかだったが、明確な意図が込められていた。

カルヴィンは長く息を吐いた。

「カメリア……」

その名前が、あまりにも自然に彼の唇からこぼれた。

カメリアはかすかに微笑み、それから優しく囁いた。

「ねえ、ダーリン。私たち、本当はずっと前にこうするべきだったんじゃない?」

カルヴィンは答えなかった。

ただ目を閉じ、カメリアが首筋にキスを繰り返すのを許した。

その跡が薄く残るまで。

彼の腕は、妻の身体をさらに強く抱き寄せた。

その夜は、言葉を交わすことなく過ぎていった。

そこにあったのは静寂と、意味を含んだ吐息、そして本来ならもっとずっと前にあるべきだった親密さだけだった。

カルヴィンにとって、その夜は、自分でも気づいていなかった何かから解放されるような感覚だった。

午前四時。

カメリアが先に目を覚ました。

部屋はまだ暗く、カーテンの隙間から差し込む街の明かりだけが、かすかに室内を照らしていた。

彼女は隣へ顔を向けた。

カルヴィンはぐっすり眠っていた。

当然だった。

昨夜、彼が絶頂に達したあと、カメリアは睡眠薬を混ぜたただの水を彼に一杯飲ませたのだから。

男の顔は穏やかだった。

起きているときに見せる、いつもの冷たい雰囲気とはまるで違っていた。

カメリアは手を伸ばし、あと少しでその顔に触れそうになった。

けれど、そこで手を止めた。

目が熱くなる。

涙が静かにこぼれ落ちた。

「やっと……」

彼女は小さく囁いた。

「初めて……そして、もしかしたら最後に……あなたに触れられた」

カメリアはゆっくりと起き上がり、服を身につけた。

カルヴィンを起こさないよう、一つ一つの動作を慎重に行った。

それからカメリアはベッドの端にしばらく立ち、十年間愛し続けた男を見つめた。

同時に、たった一夜で彼女の心を粉々にした男を。

「昨夜はありがとう」

ほとんど聞き取れないほどの声で、彼女は言った。

「ごめんなさい……もう、諦めるわ」

カメリアはドレッシングルームへ向かった。

隅にはすでにスーツケースが置かれていた。

すべて昨日のうちに準備していた。

服、書類、身の回りの品。

それほど多くはない。

彼女はこの家を、本当の意味で自分の家だと感じたことなど一度もなかった。

スーツケースを閉じると、カメリアは寝室へ戻った。

ベッドサイドのテーブルに、カメリアは茶色のファイルを置いた。

その中には、すでに署名を済ませた離婚届が入っていた。

彼女はそれを長い間見つめた。

「あなたに捨てられて離婚するくらいなら……」

彼女は小さく呟いた。

「私からあなたと離婚して、できるだけ遠くへ行ったほうがいい」

そしてカメリアは、カルヴィンが自分に連絡できないよう、わざと離婚届の隣に自分の携帯電話を置いた。

去る前に、カメリアはもう一度だけ振り返った。

視線の先には、まだ深い眠りについているカルヴィンがいた。

「さようなら」

彼女は静かに言った。

「これからの人生で、二度と会わないことを願っているわ」

彼女は静かに寝室のドアを閉めた。

朝が来た。

陽の光が部屋へ差し込んだ。

カルヴィンは小さく呻き、それから目を開けた。

頭は重かったが、身体はリラックスしていた。

彼は隣へ顔を向けた。

そこには誰もいなかった。

カメリアは消えていた。

カルヴィンは身体を起こし、顔を手で擦った。

「カメリア?」

短く呼びかける。

返事はなかった。

彼は立ち上がり、ベッドサイドのテーブルへ目を向けた。

そこにはファイルと携帯電話が、きちんと置かれていた。

カルヴィンは眉をひそめた。

そしてファイルを手に取り、開いた。

その顔が強張った。

「離婚届……?」

彼は呟いた。

手が無意識に固く握りしめられる。

そこにはカメリアの名前が記され、その下にはすでに署名があった。

カルヴィンは鋭く息を吸い込んだ。

「これは何だ?」

誰もいない部屋なのに、彼の声は大きくなった。

彼はカメリアの携帯電話を手に取り、電源を入れようとした。

しかし、そこには何もなかった。

カルヴィンは部屋の中央で立ち尽くした。

思考がぐるぐると回っていく。

昨夜のことは、まだ鮮明に残っていた。

カメリアに触れられた感触。

唇。

そして何度も自分の口からこぼれた、彼女の名前。

「彼女は……出て行ったのか?」

まるで今になって初めて真実を理解したかのように、彼は小さく呟いた。

「昨夜、僕を誘惑したあとに?」

カルヴィンは数秒間、身体を硬直させた。

そして、ついに怒りが爆発した。

「クソッ! このろくでもない女め!」

彼の手は離婚届を握り潰し、紙には皺が寄った。

胸が激しく上下し、呼吸が荒くなる。

彼は茶色のファイルをベッドへ投げつけた。

そのとき、ベッドサイドのテーブルに別のものがあることに気づいた。

二冊の婚姻証明書。

カルヴィンはそれを乱暴に掴んだ。

目が細まり、顎が強くこわばる。

二冊の書類はきちんとそこに置かれていた。

まるでカメリアが、すべてが本当に終わったという証として、意図的に残していったかのようだった。

「どういう意味だ?」

カルヴィンは怒りを滲ませながら呟いた。

「昨夜……昨夜のあとに、彼女は出て行ったのか?」

カルヴィンの視線がベッドへ移った。

白いシーツに、かすかな赤い染みが残っているのを見た瞬間、身体が突然強張った。

表情が変わる。

「一体、これは……?」

手が震えた。

昨夜の記憶が頭の中で繰り返される。

カメリアが自分に触れたこと。

自分の名前を囁いたこと。

そして、自分が本当に理性を失ったこと。

怒りが込み上げる。

その中には、認めたくない何かも混ざっていた。

カルヴィンはテーブルの上にあったカメリアの携帯電話を掴み、壁へ力任せに投げつけた。

ガシャーン!

携帯電話は床へ落ち、画面にはひびが入った。

カルヴィンはテーブルの上を腕で薙ぎ払った。

グラス、小さなランプ――すべてが床へ落ち、散らばった。

「クソッ!」

彼は再び叫んだ。

カルヴィンは部屋の中を何度も行き来し、髪に手を通した。

シャツはまだきちんとボタンが留められていなかったが、そんなことを気にする余裕はなかった。

胸は焼けるように熱く、頭の中は混乱していた。

「こんなふうに出て行けるはずがない」

彼は呟いた。

「昨夜、あんなことがあった後で……」

カルヴィンは突然立ち止まった。

自分の携帯電話を取り出し、すぐに誰かへ電話をかける。

「もしもし、ロナル」

カルヴィンは冷たく、ほとんど唸るような声で言った。

「よく聞け」

「はい、旦那様」

「どうやっても構わない」

カルヴィンは強い口調で続けた。

「一時間以内に、奥様を見つけろ」

ロナルは一瞬、沈黙した。

「奥様、カメリア様ですか?」

「他に誰がいる!」

カルヴィンは怒鳴った。

「探せ。彼女がどこへ行ったのか、必ず突き止めろ」

「かしこまりました」

ロナルは素早く答えた。

「何か手がかりはありますか?」

カルヴィンは、もう部屋にないスーツケースへ視線を向けた。

「彼女はすべて準備していた。馬鹿なことを言うな。使えるコネはすべて使え」

「承知しました、旦那様」

電話が切れた。

カルヴィンはゆっくりと携帯電話を下ろした。

手はまだ固く握りしめられ、首筋には血管が浮き上がっていた。

「何を考えているんだ、カメリア……?」

彼は低い声で呟いた。

再びベッドへ目を向ける。

赤い染みはまだそこにあった。

まるで、自分の意識を容赦なく叩きつける平手打ちのように。

初めて、カルヴィンは胸の中に広がっていく見知らぬ感情を感じた。

ただの怒りではない。

「どうして何も言わずに出て行った?」

彼は静かに言った。

「昨夜、望んでいたのは君じゃなかったのか?」

彼はベッドの端に腰を下ろし、俯いた。

そして、乱暴に顔を擦った。

昨夜のカメリアの言葉が再び記憶に蘇る。

あの視線。

あの、何を考えているのか分からない笑み。

「あれも全部、ただのゲームだったのか?」

彼は囁いた。

カルヴィンは短く、苦い笑いを漏らした。

「よくも僕を弄んだな」

それでも、怒りの奥底では、募り続ける不安がよりはっきりと姿を現していた。

彼は皺の寄った離婚届を拾い上げ、もう一度読み返した。

まるで、自分が見落としていた何かを見つけられることを願うかのように。

けれど、そこにあるのはカメリアの揺るぎない署名だけだった。

「大胆なことをしたな……」

彼はもう一度言った。

今度は、より静かな声で。

カルヴィンは立ち上がり、椅子を蹴り倒した。

部屋は完全に荒れ果てていた。

まるで、今の彼自身の心を映し出しているかのようだった。

「こんなふうに君を行かせるつもりはない」

彼は冷たく言った。

「君が僕をこんな状態にしたんだからな」

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