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第3話

Penulis: 逃げる揚げパン
「お婆さんと私たちの祥子(しょうこ)がどうして死んだのか、忘れたの?それなのに、理解してくれなんて、よくも言えるわね!」

祥子は、まだ生まれていない娘に私たちがつけた名前だ。

私にはわからない。悠一はどうしてそこまで冷酷になれるのか。どうしてお婆さんを殺した女を愛したか。どうして彼女を妊娠させたのか。

あの耐え難い光景を思い出し、悠一は顔色を青ざめた。

彼が目を赤くして私を見た。唇が微かに震えている。

「すまない……静華、俺……」

爪が手のひらに食い込む。私は無意識に目を閉じた。

「疲れたわ。行こうよ、市役所へ」

窓口で離婚届受理証明書を受け取った時、私は一瞬ぼんやりとした。

ふと、婚姻届を出した日のことを思い出していた。

あの日の悠一は子供みたいに喜んで、婚姻届に何度も名前まで書き間違えていた。緊張しすぎだと言っていた。

ほんの数年前のことなのに、遠い昔のようだ。

気がつけば、私たちは市役所の前に立っていた。

「静華、家まで送る」

悠一が私の手を掴み、車に乗せた。

車内はずっと無言だった。

車が家の前に止まり、彼は後ろについて部屋まで上がってきた。

鍵を回し、ドアを開けると、突然寝室から誰かが飛び出してきた。

色っぽい服を着ている佑子が、まっすぐ悠一に飛びつく。

「悠一くん、サプライズ!」

悠一の顔色が一変し、彼女を突き飛ばした。

「どうしてこんな格好を?!なぜここにいる!

静華、パスワードは彼女に教えていないだ。なぜ彼女がここにいるのか、俺にもわからないんだ」

彼は慌てて私に説明した。

佑子は初めて私に気づき、その顔に皮肉な笑みが浮かんだ。

「離婚したってのに、元夫の家までついてくるなんて?黒崎さん、あなた、相変わらずのクソ女ね」

「佑子、もういい加減にしろ!ここはお前の来る場所じゃない、出て行け!」

悠一が鋭く叱りつけると、佑子は呆気にとられた。

「悠一くん、何て言った!?」

私は二人を無視し、まっすぐ寝室へ向かった。

ただ早く荷物をまとめて出て行きたかった。

しかし寝室のドアを開けた瞬間、全身の血の気が引いた。

佑子が連れてきたドーベルマンが、白い灰の中で転げ回っている。

犬の口には、金属の名札をくわえている。

それは祥子の遺骨だった!そしてお婆さんが生きていた頃に作ってくれた名札だ。

「やめて!」

私は駆け寄り、犬に飛びかかって、その口から名札を奪い取ろうとした。

犬は驚き、鋭い歯が吠え声とともに、私の腕に深く食い込んだ。

激痛が走り、私はよろめき、その場に崩れ落ちた。

「静華!」

駆けつけた悠一がこの光景を目にし、顔色は一瞬で真っ青になった。

彼は慌てて机の上の花瓶を掴むと、狂ったように吠える犬に力いっぱい叩きつけた。

鈍い音と共に、犬はぐったりと倒れた。

「静華……静華、しっかりしろ!」

彼は駆け寄り、血が止まらない私の手に触れようとする。

声がひどく震えている。

「出て行け!あんたたち出て行け!」

私は彼を突き飛ばし、地面に落ちた血の混じった遺骨を、狂ったようにかき集めて胸に抱きしめようとした。

しかし、血と灰が混ざり合い、どうしてもすくい上げることができない。

「この子は、私たちの子よ!なのに……なんで、なんでこんなことを!」

涙が顔中に溢れ、私の全身が痛みで震えた。

「もう離婚したのに、どうしてまだこんなことを?!」

悠一の顔色が変わった。

「そんなこと言わないで……静華、病院へ行こう、傷の手当てを」

彼は床に膝をつき、私を強く抱きしめた。

その嗚咽混じりの声には、後悔の念が満ちていた。

「すまない、静華……なんとかするぞ。お前はケガをしている、まずは病院へ行って手当てをしよう?」

手首の痛みが全身に広がっていく。

彼は力が入らない私を抱きかかえて、部屋を飛び出した。

そんな様子を、佑子は不満そうな表情で見つめていた。

彼女の華やかな顔は、一瞬で曇った。

「悠一くん!」

彼女はドアの前に立ちはだかり、ナイフを手にして自分の腹に突きつけた。

「悠一くん、もし彼女を病院に連れて行くなら、今すぐあなたの子供を殺すからね」

悠一は、気を失いそうな私を見て、そして佑子を見た。

その目に一瞬の迷いが走った。

「佑子、いい加減にしろ!」

佑子は目を赤くして叫んだ。

「行くっていうなら!私は今すぐこの子と一緒に死んでやる!」

私の腰に回された腕が強く締まった。

また彼は佑子を選び、私を捨てるのか。

そう思った瞬間、彼は歯を食いしばって、一言だけ吐き出した。

「好きにしろ」

言い終えると、彼は迷うことなく私を車に乗せ、信号をいくつも無視して病院へと走った。

「静華、ちょっとだけここで待っていてくれ。すぐ戻る」

言い終える前に、彼は既に振り返らず慌ただしく去っていった。

結局彼は、佑子と彼女の腹の子を気にかけているのだ。

だから、あんなにも急いで、私が連れて行かれたのが外科ではなく、産科だったことにも気づかなかった。

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