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104話

مؤلف: 籘裏美馬
last update تاريخ النشر: 2026-03-17 18:40:20

田島が局員に連行され、社長室から出て行く。

扉が閉まる音が静かな部屋に響き、誠司は形容詞がたい感情を持て余し、拳を強く握りこんだ。

「──誠司」

「……未だに、信じられない。田島が……他社にうちの情報を売った、だと……?」

「誠司、可哀想……」

胡桃は、俯く誠司の背後からそっと抱きしめた。

「田島さんを信頼していたのよね……?だけど、田島さんは結局信頼してた誠司を裏切ったのよ……。酷いわ……」

ぽつりぽつりと呟く胡桃の声が、誠司の耳に届く。

「もしかしたら、田島さんは誠司が自分を完全に信頼するのを待っていたのかもしれないわ……。ずっと、機会を伺っていたのよ……。今回、私がSeaだと知って、1番最適なタイミングできっと動いたんだわ……」

「……」

「なんて可哀想なの、誠司。信頼していた人に裏切られるのは辛いわよね……だけど、私は絶対に誠司を裏切らない。今回、私のデザインが流出しちゃって、新規事業は難しくなっちゃったけど……だけど、安心して。私の知り合いに有名なデザイナーがいるの。その人に、未発表のデザインを譲ってもらいましょう?」

「だが、今回の事業はSeaと…
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    ◇ もみじがデザインコンテストに応募してから、2日ほどが経った。 コンテストの選考には1次審査、2次審査、そして最終審査がある。 最終審査にまで残れれば、TK株式会社や髙守株式会社の重役と対面で面接がある。 そこで今回のデザインに対して、大いにアピール出来る機会が得られるのだ。 「コンテストの結果発表まで、約2ヶ月。……最終審査まで残れれば、対面でアピール出来るのは1ヶ月後くらい、かしら……」 もみじは頭の中でコンテストの審査スケジュールを組み立てる。 「あと2ヶ月ほどで結果が出る……。最後まで残れれば最終審査の時には活動デザイナー名を知らせないといけない……そこで私がSeaだって事はコンテスト主催側にバレるわね」 ──そうしたら。 「デザイン流出の件は、偽のSeaだって事が分かるわ」 もみじは、ぐっと拳を握りしめ強く前を見据える。 あんな半端なデザインが、自分の作品だと思われ続けるのは我慢ならない。 もし、コンテストで受賞できたら。 自分こそが本物のSeaなのだと知らしめる事が出来る。 「私情を挟むのは良くないけど……。胡桃がSeaの振りをするのは我慢ならないわ……!」 もみじがそう言葉を発した瞬間──。 玄関の施錠が解かれる音が聞こえた。 誠司が帰宅したのだろう。 もみじはこの日も変わらず誠司の出迎えに行かないつもりだった。 最早、家庭内別居状態だ。 あの日から殆どまともに顔を合わせていないのだ。 誠司からももみじに話しかけるような事はなかった。 だが、今日は違った──。 「もみじ!いつまで拗ねて部屋に引きこもっている!?話がある、出てこい!」 ガンガン、と扉を強くノックされ、もみじはその音の大きさにびっくりする。 無視を決め込んでしまおうか──。 そうも思ったが、扉を叩く音が大きくなり、もみじは溜息を吐き出してから立ち上がった。 「……何の用なの」 扉を薄っすらと開け、もみじが顔を見せる。 すると不遜な態度で仁王立ちしていた誠司が顎をしゃくり、リビングに来るように告げた。 「話があると言っているだろう。早く出てこい」 「──はぁ……」 小さく溜息を吐いたもみじは、渋々といった体で部屋から出ると、リビングのテーブルに近付いた。 「おい、俺は会社から戻ってきたばかりだ。茶を用意しろ」 「……冷

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    扉から入って来たのは、くたびれたような容貌の男──田島だった。 田島は、何故自分がここに呼ばれたのか良く分かっていなかったのだろう。 不安気な表情で俯き気味に部屋に入って来たが、奥のデスクに座っている髙野辺の顔を見た瞬間、田島の目が驚きにじわじわと見開かれていく。 「では、社長。私はここで失礼します」 「ああ、ご苦労だった」 田島を案内してくれた蒔田は、髙野辺に頭を下げて一礼するとすぐに社長室を退出する。 そんな蒔田の姿と、デスクに座っている髙野辺を戸惑いつつ交互に見やっていた田島は、状況が分からない、と言うように「え?え……?」と声を漏らす。 髙野辺は苦笑いを浮かべつつ、その場に立ち上がりソファに座るよう田島に促した。 「田島さん、突然呼び出してすまない。まずは掛けてくれ」 「えっ、あ……は、はい!失礼します!」 髙野辺にソファを案内された田島は、慌ててソファに向かって歩き、座る。 (ま、待て待て待て……!ここって髙守株式会社の子会社、TK株式会社だよな……!?デザイン関係を専門的に扱っている、国内でも有名なデザイン会社……その会社の社長!?この人が!?) 田島は、信じられない物を見るように髙野辺を見つめる。 以前、もみじと一緒に居る時の髙野辺を見た事がある。 その時、どこかで見た事がある顔だと思ったが、それは当然だ。 (TK株式会社の社長なら、見覚えがあって当然だ!殆どメディア露出が無いが、数年前にこの人が社長就任した時に、あるメディアがこの人の写真を撮ったんだった……!) 不思議な事に、その記事はあっという間に消されてしまったが。 有名なデザイン会社の社長が代わったのだ。 田島はその頃TK株式会社の新社長がどんな人なのか、今後の仕事のために顔を覚えていよう、と毎日毎日ネットをチェックしていたのだ。 そんな努力が実を結んだのだろう。 田島がチェックしていたお陰で、ほんの一瞬だけ髙野辺の写真がネットに出回った。 だが、それもほんの一瞬だけ。 すぐに髙野辺の写真はネット上から消され、その後も何度か写真が出回っていたが、それも長くは続かなかった。 いつの間にか髙野辺の写真はネット上から消え、田島の記憶からも薄れてしまっていたのだ。 (ま、マジかよ!こんな大企業の社長……!?噂では、この会社の社長は本家の血筋だって……

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    「しゃ、社長?どうなさったんですか?」 「どうもこうも……!」 誠司は自分の秘書に妻を探せ、と命令をしようとしたがそこで言葉に詰まる。 目の前の秘書、田島は誠司の妻は胡桃だと思っている。 そして、誠司は田島が胡桃の事を「奥様」と呼ぶのを訂正した事は無いのだ。 本当は胡桃が妻ではなく、他の女性──しかも、昼間に追い払った女性が本当の妻だと知ったら。 田島が他の社員に言いふらす事はないだろうとは思うが、田島が胡桃の事をどう思うか。 それだけが、誠司は心配だった。 だが、誠司1人ではもみじを探し出す事は難しい。 人を使って調べさせようにも、もみじの事を妻だと告げねばならないのだ

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  • 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した   22話

    そして、そんな声はもみじ以外の耳にも、当然入っていた。 それは、近くを歩いていた看護師の耳にも入っていたようで。 「いいなぁ、あそこの個室の奥さん。凄い格好いい旦那さんが、凄く心配して、精密検査やら何やら手配したのよ?」 「ええ?」 「どうやら、奥さん気絶しちゃったみたいで。多分低血圧とか、そう言う類だと思うんだけど、突然気を失ったって血相変えて来たんだから!」 「それ本当!?奥さん、旦那さんに凄く愛されているのね!」 「凄かったわよー、救急車に同乗して、奥さんがストレッチャーで運ばれてる間もぴったり横に寄り添って凄かったんだから!」 きゃいきゃい、と興奮気味に話す看護師の言

    last updateآخر تحديث : 2026-03-20
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