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150話

Author: 籘裏美馬
last update publish date: 2026-04-09 18:45:16

〈もみじ、お前!外でみっともない事をするな!〉

「──え?藪から棒に何よ?」

突然そんな事を言われ、もみじはむっと眉間に皺を寄せた。

〈ネットでお前がバイトをしている画像が出回ってる!俺の妻がバイトなど、みっともない事を外でするな!そんなに家事をしたいのなら、俺が帰るまではお義母さんの所で家事手伝いをしろ!〉

「──え?画像……?」

〈とぼけても無駄だからな。お前が小汚いカフェの従業員として働いている画像がネット上に上がっている。お前は社長夫人の自覚が無いのか!?こんなみっともない事をして、俺に恥をかかせるな!〉

「──なっ」

〈いいか、絶対にお義母さんの所に家事をしに行け!そうしないとお前の生活費用のカードを停めるからな!〉

「ちょ、ちょっと誠司──」

もみじが言い返そうにも、そこで誠司の一方的な電話はぶちり、と切れてしまった。

「なに、どう言う事……?」

寝起きのぼうっとした頭は上手く働いていない。

だけど、その中でも誠司がもみじに対して言っていた言葉は分かる。

「カフェ……、バイト……?」

そこまで呟いたもみじは、昨日
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    誠司とのメールで、実家の家事手伝いに関しては平日だけと、落ち着いた。 土日も実家に行って家事をしていたら、もみじは自分の仕事が遅れてしまう、と思いそれだけは拒否したのだ。 誠司も休みは必要だと思ったのか、渋々といった体ではあるが、土日は実家に行かないと言うもみじの要求に頷いた。 「お義母さんも、私を一日中拘束する訳じゃないものね……」 もみじと両親──、特に後妻である義母とはあまり良い関係では無い。 だが、それもそうだろう。 実の母親から父親を奪った女性なのだ。 不倫をした父親の事はもちろん許せないし、嫌いだがそれでも妻子が居る男に手を出した義母が、もみじはどうしても好きになれない。 大人になった今だからこそ表面上は何とか付き合ってはいるが、それでもギスギスとした関係なのは仕方がないだろう。 「……あの人の血を受け継ぐ胡桃も……、結局は人の物が好きなのかしらね」 胡桃も、結局は不倫をしているのだ。 しかも胡桃の場合はもっと酷い。 半分だけではあるが、血の繋がった姉から旦那を取るのだから、母親よりタチが悪い。 「まあ、誠司なんてもう別にどうでもいいけど……」 胡桃と誠司ほど、お似合いのカップルはいないのでは、ともみじは本気でそう思っている。 「気は重いけど……行かなきゃまた誠司にうるさく言われるし……。離婚、離婚までの辛抱よ」 もみじは自分に気合いを入れるように言い聞かせ、頬をぺちぺちと叩くと実家に行くために準備を始めた。 ◇ 支度を済ませ、タクシーに乗って実家に向かう。 車で1時間かからない場所に、もみじの実家はある。 インターホンを押したもみじの前に現れたのは、もみじの義母であり、胡桃の実の母親である嶋久志 桔梗(しまくし ききょう)。 桔梗は、40歳を超えたと言うのに未だに若々しく、美人だ。 艶々の黒髪に、真っ赤な唇。 つん、と吊り上がった目尻の、美人だ。 桔梗はもみじを見るとふん、と鼻で笑い口を開いた。 「ああ、やっと来たわね。まったく、昔っからあんたはグズでとろいんだから。家中の掃除をしといてくれる?私はこの後出かけるから、勝手に帰らないでね。私が戻ったらチェックするわ」 「──お出かけ、ですか?どちらに?」 「……あんたには関係ないでしょう?私が見ていないからってサボらないでちょうだい。綺麗に掃除し

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    〈もみじ、お前!外でみっともない事をするな!〉 「──え?藪から棒に何よ?」 突然そんな事を言われ、もみじはむっと眉間に皺を寄せた。 〈ネットでお前がバイトをしている画像が出回ってる!俺の妻がバイトなど、みっともない事を外でするな!そんなに家事をしたいのなら、俺が帰るまではお義母さんの所で家事手伝いをしろ!〉 「──え?画像……?」 〈とぼけても無駄だからな。お前が小汚いカフェの従業員として働いている画像がネット上に上がっている。お前は社長夫人の自覚が無いのか!?こんなみっともない事をして、俺に恥をかかせるな!〉 「──なっ」 〈いいか、絶対にお義母さんの所に家事をしに行け!そうしないとお前の生活費用のカードを停めるからな!〉 「ちょ、ちょっと誠司──」 もみじが言い返そうにも、そこで誠司の一方的な電話はぶちり、と切れてしまった。 「なに、どう言う事……?」 寝起きのぼうっとした頭は上手く働いていない。 だけど、その中でも誠司がもみじに対して言っていた言葉は分かる。 「カフェ……、バイト……?」 そこまで呟いたもみじは、昨日のあの件の事だとピンとくる。 店員が火傷をしてしまって、2時間ほど手伝ったのだ。 あのカフェを良く利用している常連だからこそ、困っている店員を無視出来なかった。 それに、あの時店内に居たお客達も皆好意的で、手伝ってくれる人達だっていた。 「けど、中にはそんな風に好意的じゃない人も居るわよね……」 もみじはぽつり、と呟き「やってしまった」と額に手を当てる。 「別に誠司の言う事を聞かなくてもいいけど……」 そうしたら、生活費のカードは停められてしまう。 そうなってももみじには十分な蓄えがあるから、困る事はない。 だが、それはもみじが誠司と結婚する前から築いたデザイナーSeaとして得たお金だ。 カードを停められても、問題なくもみじが暮らしていると知れば。 誠司は疑問に思うだろう。 そして、Seaとして稼いだお金の事を知られたら。 「そんな危険な真似は出来ないわね……。お義母さんの家の家事手伝いくらいなら、別にどうって事ないわ。せいぜい数時間でしょう」 それなら、実家の家事をしに行く方が遥かに安全だ。 もみじは溜息を付きつつ、誠司に返

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