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30話

Auteur: 籘裏美馬
last update Date de publication: 2026-02-07 18:35:49

腕を動かし、車椅子を操作する。

もみじは自分の息が上がるのを感じて、苦笑いを浮かべた。

「運動しなきゃ、駄目ね……」

ふう、ふうと息を弾ませながら何とか廊下を曲がったもみじは、きょろり、と周囲を確認した。

廊下を曲がった先は、やはり入院患者の病室がずらりと並んでおり、その病室に掲げられているプレートの名前を一つ一つ確認して行く。

「誠司の事だから、胡桃が入院しているなら、個室かしら……」

あれ程心配そうにしていたのだ。

それに、自ら救急車に乗り込み、胡桃に寄り添っていた。

その姿を見た時、もみじの胸はどれだけ痛んだだろうか。

胡桃は、あんな風に誠司に大切に扱われ。

かたや誠司の妻であるもみじは、彼にぞんざいに扱われ、彼の秘書には不審者扱いをされる──。

あの時の事を思い出すと、もみじの視界は滲んでしまうが、それでも何とか唇を噛み締めて耐えると、再び車椅子を動かした。

大部屋の病室を通り過ぎる。

大部屋を通り過ぎた先は、もみじが当たりを付けていた個室が廊下の両側にずらり、と並んでいた。

(……私が入院している場所って、何なのかしら……?ここの確かに個室だけ
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