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60話

Author: 籘裏美馬
last update publish date: 2026-02-23 18:33:58

髙野辺に、自宅玄関の前まで送ってもらったもみじは、そこで髙野辺と別れた。

久しぶりの我が家に、些か緊張しながら鍵を取り出して、施錠を解く。

そして、玄関扉を開いた所で、もみじは女性物のパンプスが玄関にあるのを見て、目を見開いた。

「これ──」

見覚えがあるパンプスだ。

ピンクの色合いがとても可愛くて、もみじはひっそりと憧れていたのだ。

雑誌を見て一目惚れしたもみじは、以前、誠司にそれとなく強請ってみた事があった。

だが、誠司はもみじの言葉を「お前には似合わない」とあっさりと一蹴してしまった。

だけど、その数日後──。

誠司がもみじが強請ったパンプスが入ったブランドの袋を持っていた事を覚えている。

もしかしたら、あんな風に言ったけどプレゼントするために買ってきてくれたのでは──。

もみじは、そんな淡い期待を抱いたが、いくら待てども誠司がパンプスをプレゼントしてくれる事は無かった。

肩を落としたもみじだったが、なんて事は無い。

誠司は、胡桃にプレゼントしたのだろう──。

その証拠に、廊下の先にあるリビングからは胡桃の高い声がもみじの耳に薄っすらと聞こえ
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