แชร์

第三話——特別な場所

ผู้เขียน: 桜庭結愛
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-10-27 21:34:57

 次の日、私たちは別々に登校していた。律が心配で早く来たが、すでに律は自分の席に座っている。窓から外を眺めていて日差しがその横顔を照らしていた。爽やかな風が律から吹いているように感じられた。

「律、おはよう!」

「おはよう。早かったね」

 柔らかく笑うその顔に胸がドキッとした。素早く椅子に腰をかけて後ろを向く。

「ねぇ、健太に話しかけられても無視した方がいいよ……変に、目つけられたら怖いじゃん」

「そうかな?反応しなくて殴りかかられても怖くない?」

 律はこんなにも頼もしい性格をしていたのかとつくづく感じる。健太に話しかけられたら怯えるのかとばかり思っていた。噂をすればなんとやら、勢いよく扉が開いて豪快な足音が聞こえてくる。

「よぉ、お前ら。朝からジメジメしているな」

「はぁ……

 目の前にいた律が下を向いて大きくため息をついた。

「んだよ」

「別に……

 昨日よりも言い返さない律が心配で、そっと顔を覗き込む。目を瞑って顔を下に向けていた。きっと眠いのだろう。それを馬鹿にしていると受け取ったのだろう健太の足が伸びてきて、それと同時に身体に衝撃があった。筆記用具が床に叩きつけられる音が響き、周りにいたクラスメイトも話すのをやめた。私は驚いて何もできずにいると、変わらない声で律が話す。

「机蹴るのは違くない?」

「調子乗ってんじゃねーぞ」

 私は震えている手を必死に動かして律の手首を優しく掴む。私の様子に気づいた律は、私の耳に顔を近づけて囁いた。

「立てる?」

 私がゆっくり首を動かすと私の手を握り、立ち上がらせてくれる。そのまま手を引かれて、クラスメイトのざわめきの横を通り過ぎ、静かに教室の外へ出た。

 屋上に続く階段の途中で二人並んで腰を下ろす。律は私の手を握ったまま顔を覗き込んだ。

「ごめんね。大丈夫?」

「あ、うん……

 握られた手を見ながら、震えた声で返すと、そっと温もりが全身に伝わった。律に抱きしめられて、お日様のような律の匂いが胸いっぱいに広がる。その香りは私の心を落ち着かせた。堪えていた涙が溢れて律の服にシミを作る。それでも涙を堪えていたら上から言葉をかけられた。

「泣いてもいいんだよ」

 そう言って、律は頭を撫でてくれる。その温かさが胸の奥で広がり、涙が抑えられなくなった。

 しばらく律の胸を借りて涙が止まるのを待った。止まった頃には授業の予鈴が鳴り、教室に戻ろうと立ち上がる。律が一歩進み始めた頃に声をかけた。

……ありがとう」

「全然。むしろ怖い思いさせてごめんね」

 首を振って律の背中を追う。さっきまで恐怖で震えていたはずなのに、今は律の温もりで心が満たされていた。

 教室に戻り席に座ると、すでに先生がいて、本鈴が鳴った。授業中なのに、先ほどの出来事を思い出して頰が熱くなる。後ろにいる律の存在が気になって、体が落ち着かない。机に突っ伏したり落書きをしたりして気を紛らわせているといつの間にか授業時間が終わっていた。

 また最悪な時間が訪れるのかと怯えていると、後ろから肩を叩かれた。振り向くとすぐ近くに律の顔があり、慌てて顔を離す。律が穏やかに笑んで、少し首を傾げると、表情に合った柔らかい声で言葉をこぼした。

「ふふっ、二人で抜け出しちゃう?」

 楽しそうに告げる律が、優しく私の腕を掴み、引っ張ると、教室の扉に向かって歩き出す。

「どこに行くの?」

「着いてきて」

 健太が話しかけてくるよりも先に教室を後にすると、先ほどと同じ、屋上に続く階段へと辿り着いた。

「休み時間はここで時間を潰そうよ」

 笑顔で言ってくれる律に自然と私も笑顔になる。その気遣いで鼓動が速くなった。

「いいの?」

「もちろん。ここなら、誰の目も気にせず二人で話せるからね」

「確かに。そう考えるとワクワクするね」

「でしょ?」

 二人だけの秘密が私の心を踊らした。不安だった休み時間も、律との約束で楽しみに変わる。オセロの黒い駒が白にひっくり返るのと同じように感じられた——

「今日僕の家遊びに来ない?」

「行きたい!」

 あれから数日、秘密の場所で過ごす休み時間にも慣れてきた頃、律からの嬉しい誘いがあった。あの日以来、健太と話すこともなく穏やかな毎日を過ごしている。繋がった手が、律との心の距離を表しているようで嬉しくなった。

「じゃあ学校終わったらそのまま一緒に帰ろうか」

「うんうん!そうしよ!楽しみだなー」

 一度行ったことあるところでも、自分の家に寄らないということだけで胸が少し弾む。まるで、いつもと違う特別な時間が、私たちを待っているようだった。

 いつものように授業が終わり、すぐに教室を出て、律の家へ向かった。跳ねるように律の前を歩く。

「ふふっ、まるで沙羅の家に行くみたい」

「楽しみなんだもん」

「それは嬉しいな」

 前回と同様、机のある部屋に私を通し、お茶菓子を持ってきてくれる。その要領の良さに心の奥から惹かれた。

「前回も思ったけど手際いいね」

「よくおばあちゃんの友だちをもてなしてたからかな」

「そっか!かっこいいな」

「え」

 律はお茶を飲む手を止めて、目を見開いた状態で固まっていた。しかしすぐに下を向いて顔を隠してしまう。最近一緒にいて気づいたのだが、これは律が照れている合図なのだ。その姿が愛おしくてつい揶揄ってしまう。

「それに、健太と話している時もかっこいいと思う」

「ちょ、急にどうしたの?」

「さり気なく気遣いしてくれるところとかさ」

「分かった、分かったから……

 そう言って私の口を押さえた律の顔は真っ赤に染まっている。その熱が手を伝って私の顔まで赤くなりそうだった。

「それよりも、今日は縁側に行こうと思ってたんだ。庭があるんだよね」

「え!そうなの!」

「ふふっ、行く?」

「うん!行く!」

 廊下を出て、裏口のような場所から外に行くと広めの庭があった。小さい池や花壇があり丁寧に手入れされている。縁側に腰をかけて自然の風を感じた。

 森林の温かい風、池の涼しい風、花の上品な風――それぞれの香りや温度が混ざり合って、まるで一つの旋律のように体を包み込む。異なる風が重なり合うことで、心までやわらかくほどけていくような心地よさがあった。

「ここの風気持ち良いね」

「分かる?僕も疲れた時はここに来てたんだ」

「整理されているのも視覚から楽しめる感じがする」

「これは僕がやったんだよ」

「え、そうなの?」

「うん。庭の管理をする代わりに、ここは僕だけの場所になってるんだ。おばあちゃんも基本入らないようにしてくれてた」

「へー!すごい!」

 つまり、律が過ごしやすいと思う環境にしたってことだ。そんな特別な場所に私を入れてくれていることが何よりも嬉しかった。その事実に自然と頬が緩む。

「ありがとう。連れてきてくれて」

「どういたしまして。いつでも遊びに来てね」

 心地よい風の余韻に浸りながら、その自然の景色を目に焼き付ける。ふと律からお日様の香りがした。

 この庭は律がいるからこそ綺麗に見えるのではないか——お日様を前に笑顔になっている自然を目にしているように感じられた。

อ่านหนังสือเล่มนี้ต่อได้ฟรี
สแกนรหัสเพื่อดาวน์โหลดแอป

บทล่าสุด

  • 私は君を守る村の狂人   第一章エピローグ——私の光

     私は今日も律と並んで登校をしている。秋が近づいているというのに暑さは変わらなかった。夏の名残を感じる暑さに憂鬱な気分になる。「律ー……溶けそう」「暑いもんね……」「あ、いいこと思いついた!」「なに?」 私が声を上げて言うと、爽やかな表情をしている律が私を見て口角を上げる。律の笑顔を見ると何故か涼しい気分になれた。「学校まで走ろうよ!」「余計暑くなるじゃん」「どうせなら早く行って学校で涼もう!」「えー……」「よし!行くよ!」「……やだ」 そう言いながらも律は小走りで私に着いてくる。以前より蝉の鳴き声も少なくなり、事件の終幕を告げているかのようだった。「沙羅、もう疲れたよ……」「えーもう?」「歩こう」「しょうがないなー」 笑い合いながら歩く姿を、後ろから木々が見守ってくれる。木々をすり抜けて冷たい風が私たちの頬を掠めた。 学校の喧騒にも慣れて、私たちもクラスに溶け込んでいた。窓側の席は風が私を包み込んでくれるようで、律の庭を思い出す。私の心が穏やかになった。「律おはよう」「あ、翔真くん」 あれから翔真は、律に懐いている犬のように、常に私たちの近くにいた。翔真は律の肩に腕を回して、豪快な笑みを浮かべている。 私は無意識に唇を尖らせて、翔真を睨んでいた。「沙羅…?」「ん?どうしたの?」「いや、顔が怖いよ……」「え……」 すぐに、頬をつねって表情を和らげる。そんな様子を翔真が笑って見ていた。「お前、嫉妬だろ」「ち、違うもん!」「え、嫉妬してくれたの?」「う、うぅ……」 私は顔を真っ赤にして机に顔を伏せる。律はそんな私の頭を撫でてクスッと笑みをこぼしていた。——こんな幸せが続くといいな あれから律のあの現象は抑えられるようになってきている。どうやら、好きな人の匂いでその衝動を抑えられるようになったらしい。律の言葉を思い出して頰を赤く染める。 机に一筋の光が差していた。私の気持ちも前向きになる。 私たちに希望の光が見えてきた。隣にいる律の笑顔が私の未来を照らす。そんな光を守るために、私は律の影であり続けようと思った。 暗闇から私を導いてくれた律の幸せが、いつまでも続きますように——そう願って私は律の後ろを静かに歩いた。 しかし、穏やかな日々の下には、まだ沈黙の闇が息を潜めていた。 二人はその存在を知

  • 私は君を守る村の狂人   第十話——私は狂人

     葉の隙間から差し込む日差しが私を舞台に立たせる。自然の香りを大きく吸って心を落ち着かせた。律はこちらを見て言葉を待っている。私は律ではなく目の前に咲いている花を見て言葉を紡ぎ出した。「まず、私は満月の夜、律の後ろを追っていた。律が何してるのかも見たよ」「そうなんだ……」 隣から聞こえてくる律の声が震えていた。それでも私は一度力強く頷いてから言葉を続ける。「森に行く前に健太の家に手紙を届けにいっていたの。それで毎回森に呼び出していた」「……だからいつも家を出ていたんだね」「嘘ついててごめんね」「いいよ。僕のためなんでしょ?」「うん。それでね、まだあるんだけど……」「分かった。聞くよ、しっかり」 私は心細くなり律に視線を移した。律は真剣な表情で真っ直ぐに私を見つめている。一度大きく息を吸って言葉を紡いだ。「昨日私は、健太の家に行く前に翔真の家に手紙を届けた。健太よりも早い時間を書いて。私は、森へ来た翔真に声をかけて靴を借りたの。それを律がいなくなった森へ置いておいた」「もしかして……」「そう。そこに健太が来て、翔真がいなくなったのがバレたの。まぁ計画通りなんだけどね」「そうなんだ……ていうか、翔真くんにバレてるのまずくない?」「実はね……」 私は、一度空を見上げてから、力強い眼差しを律に戻した。律が息を呑む。私は言葉を風に乗せて囁くように告げた。「連れて行きたいところがあるんだ」「……え?」「来てくれたら全てが分かるよ」 私は無言で立ち上がり、律に背を向けて歩き出した。後ろから慌てて立つ音が聞こえて、足音が私に近づく。そして一つ使われていなかった部屋の前まで来た。 「ここだよ」「……鍵なんてついてたっけ?」「昨日買ってきて付けたの。勝手にごめんね」「それは良いんだけど……それよりここに入れば分かるの?」 私は無言で頷いてから、鍵を開けて部屋に入った。後から入ってきた律が声を漏らす。「……え?」 律は目を点にして部屋にいる人物を見つめた。軽やかな声が部屋に反響する。「おう、律じゃん。もう元気なのか」「え、翔真くん?」「どこからどう見ても。……お前が人狼だったんだな」「……沙羅」「ん、なに?」「……どういうこと?」 律は分からないというように首を横に振っていた。私は頭の中で言葉をまとめてから丁寧に紡ぐ

  • 私は君を守る村の狂人   第九話——事件の終幕

     あれから健太に一時的に疑われたものの、翔真が間に入り、律に突っかかることはなくなった。そして四回目の満月の今日、いつもの赤い屋根の家へ行く前に、ある人物を追って、数軒隣の家までやってきた。周りに人がいないことを確認してから、いつも通りに赤い屋根の家へ向かう。律の家に着く頃にはすでに日が落ちていた。「律、ごめん。遅くなった」「大丈夫だよ。お母さんに話せた?」「うん!バッチリ」「それなら良かった」 律には、一度自宅に戻って、泊まることを母に報告すると伝えている。律の笑顔を見て、自分が嘘をついているのに、ぎゅっと胸が締め付けられた。それでも最後まで嘘をつかなければならない。  夜はすぐにやってきて、律がいつも通り外に出た。私はその後を静かに追って一部始終を見届ける。 ——そのはずだった。 律が動物に見境なく攻撃しているところに、別の影が近づいてきた。その影は律の行動をじっと見つめている。私はゆっくりとその人物の背後に回り、彼の手を掴んで力いっぱい引っ張り、ある場所へ走り出した。 今日は律よりも先に家へ戻り、律が無事に帰宅したことを確認すると、私は再び森へ足を踏み入れる。動物の死骸の隣にあるものを置き、木の陰に身を隠していると、先ほどとは別の影が近づいてきた。その惨状を目にした影は、何かを落として走り去っていく。それを確認した私は、再び律の家へと戻った。  次の日の朝、私は律の様子を見るために、庭へ向かった。「律、おはよう」 いつも通りの言葉をかけると、律は睨むように私に視線を向けた。「……律?」 じんわりと私に歩を進めて、近づいてくる。私は本能的に後ずさっていた。そして庭から駆け出し、急いで律の家にある自分の部屋へと向かう。先ほどの視線を思い出して視界が滲んだ。意識がふわりとして、布団に倒れ込むように横になる。お日様の香りが遠のき、真っ黒な世界に引きずり込まれた。  強い日差しで目を覚ました頃には、出発ギリギリの時間で、慌てて家を飛び出した。 学校に着くと何やらざわついて落ち着きのない様子だった。急いで教室へ向かう。扉を開けて目に入った光景に思わず目を丸くした。教室内の視線全てが黒板の前に立っている健太の方を向いている。その視線に応えるように健太が声を出した。「翔真が消えた」 その言葉にクラス中が息を呑む音が聞こえる。緊張感が

  • 私は君を守る村の狂人   第八話——絶体絶命

     二回目の満月の夜、私は前回と同じ行動を取っていた。ある人物の影を見届けてから律がいる家へと歩を進める。二回目だというのに、一連の作業に慣れを感じていた。あっという間に次の日を迎え、律の顔を見るために庭へと向かう。「律、おはよう。今日も顔色良さそうだね」「沙羅のおかげかな」「え、私は何もしてないよ」 私は目を丸めて首を傾げた。計画がバレているわけでもないのに、それ以外に何かした覚えはない。「沙羅がいてくれるだけで助かるんだよ」「そうなの?」 律の心の支えになれているという事実が私の胸を躍らせた。そして今日も一緒に学校へと向かう。 変わりない日々を過ごしている中、三回目の満月の次の日に異変が起こった。前回と同様の作戦を完了し、眠りにつく。薄暗い部屋に光が差し込んだ頃、私は胸のざわめきと共に目を覚ました。早足で律のいる庭まで向かう。「律、おはよう」「……沙羅。今日はこっち来ないでほしい」「え?どうしたの?」 前回と違う様子の律に、私の鼓動は速くなる。私の方を見た律の姿に私は思わず目を疑った。 ——目が赤い? 何故だろうと考える前に律が言葉を告げた。「だんだん力が強くなってるみたい。喋るのも結構きついかも」「そっか……急にどうしたんだろうね」「わからない。ごめん。とりあえず今は一人にさせて」「……分かった。また学校終わったら来るね」「うん……」 律と言葉を交わし、私は暗い道を一人で歩いて学校へと向かった。 扉を開けると、いつも騒がしい教室とは裏腹に、一人の声だけが辺りに響いていた。「人狼は律だ」 私はその言葉に思わず動きを止めて耳を傾けた。周りのクラスメイトも静かに健太の次の言葉を待っている。「俺、見たんだ。動物の亡骸が森に転がっているのを。しかも三回。で、そのうち二回は律が欠席する前日だ」 クラス中が息を呑む。私は耳を塞いでしまいたかった。まるで演説をしているかのように健太は言葉を続ける。「だから人狼を律なんじゃないかと思っている」 今まで静かに聞いていたクラスメイトのざわめきが聞こえる。その声が遠のいていくように感じられた。 ——バレ始めてる…… 今までにない緊張感が押し寄せてくる。私の目の前が真っ暗になった頃、別の声が教室のざわめきを制した。「なぁ」 後ろを振り向くと、扉の前に翔真が立っていた。目を細め

  • 私は君を守る村の狂人   第七話——計画開始

     私は、律を守るために、ある行動をすることに決めた。満月の夜は必ず律の家の近くで待機すると言うことだ。周りに誰かいないかを確認することと、なるべく律を止めるためである。この作戦を律に言ったら、「危ないから近寄らないでね」と言われたので遠巻きに見守ることしかできない。 「お母さん。次の満月の日っていつだっけ?」「確か、明後日だけどどうして?」「友だちの家泊まってもいい?」「いいけど、不思議な約束の仕方ね」「月一の約束だから分かりやすいかと思って」「変なところに頭使って……」 少し呆れた目を向けられたが、疑われていないので良しとする。「まぁそれだけ。おやすみ」「おやすみ」 次の日、いつも通り授業を受け、休み時間に律と話をし、一日を終える。教室で大声を出した一件以来、健太たちから話しかけられることは無くなった。それでも律と二人の空間は大切にしている。「律、今日は一緒に帰れないんだ」「ん?そうなの?分かった」「ごめんね。また明日一緒に帰ろ!」「うん。気をつけてね」 律と言葉を交わし、教室を後にする。私には今日用事があった。下駄箱に向かって足を進める。近くを通る人の声がいつもより鮮明に聞こえた。  私は、下駄箱の影に隠れ、ある人物を待った。通り過ぎる生徒の一人ひとりを、確かめるように目で追った。やがて、その人物が現れる。私は、距離を保ちながら後を追った。三十分ほど歩き、赤い屋根の家の前で立ち止まったところで、私は一度周囲を見回し、そっと帰路についた。 翌日、一緒に律の家へ帰ることになった。緊張感を胸に抱いて二人で森の中を歩く。「なんか緊張するね」「危険だからいいのに……」「守るって決めたんだから!」「流石に着いてきたらダメだよ」「はーい……」 結局私は鍵のかかる部屋で待機することになっていた。律の家に着いて、少し出かけてくるといい、一人で外に出る。  三十分ほどで律の家に戻って、座っている律に声をかけた。「ただいま」「おかえり。何してたの?」「ちょっと買い物してたよ。はい、お菓子」「わぁ、美味しそう。ありがとう」 律の笑顔を見て、先ほどまでの緊張が緩んだ気がした。柔らかい笑みから真剣な眼差しに変えて、律に視線を向ける。「……もうそろそろ?」「うん。大体いつもそれくらい」「そっか。向こうの部屋で待ってるね」

  • 私は君を守る村の狂人   第六話——決意と告白

     空が茜色に染まった頃、律が目を覚ました。驚いたように私を見上げている。私が首を傾げると、慌てて体を起こした。「わ、ごめん。寝ちゃってた……」「全然平気だよ。よく眠れた?」 律は静かに頷いて私に顔を向ける。頬が赤くなっていて、その顔に胸が高鳴った。私は準備していた言葉を律に告げる。「律、あのさ」 静かにこぼした言葉に律は不思議そうな顔で首を傾げる。「どうしたの?」 目を瞑ってから一度大きく息を吸って吐き出す。自然の香りが私の心を落ち着かせた。ゆっくりと目を開けて律を見据え、丁寧に言葉を紡ぐ。 「律のこと、私に守らせてほしい」「……え?どういうこと?」「そのままの意味だよ」 律は考え込むように顎に手を当てる。目を細めて眉間に皺を寄せた。律の返答を待たずに私は続ける。「私、律の隣にずっといて、守りたい。……好きだから」「……へ?」「好きだから律のことを守りたい!」 必死に訴えるように、声を張り上げて主張した。その様子に律が目を丸めてぽかんとしている。「守らせて……律のこと」 先ほどとは対照的な、懇願するような声に律は目を見開いた。やがて眉を寄せて困った表情を浮かべている。「守るって、どうやって?」「それは秘密。今度教えてあげる」「んー……」 律はまた考える仕草をした。私はさらに言葉を続ける。「危ないことは分かってる。それでも一人より二人の方が色々できるでしょ?だから……」  その先の言葉を中々告げられないでいると、律がいつもよりも低い声で言葉を紡いだ。「……分かった。でも絶対に無理だけはしないで」 普段は年相応に見える律が一段と大人っぽく見えた。夕陽に照らされて青色の瞳が綺麗に輝いている。私は満面の笑みで答えた。「ありがとう!任せて!私も律も幸せになる方法を探すから!」「ふふっ、頼もしいね」 軽く微笑んだ律の表情に胸が熱くなった。心に身を任せて律を抱き寄せる。腕を宙で迷わせるように動かしていたが、やがて優しく抱きしめ返してくれた。 夕陽の柔らかな光が二人を包み込み、心の奥まで温めていくようだった。世界に私と律しかいないような静けさの中で、ただその温もりに身を委ねた。  次の日、私は律が登校してくることを信じて、教室の椅子に座り、落ち着かない様子で待っていた。扉の音に反射的に顔を上げては、律でないと分かっ

บทอื่นๆ
สำรวจและอ่านนวนิยายดีๆ ได้ฟรี
เข้าถึงนวนิยายดีๆ จำนวนมากได้ฟรีบนแอป GoodNovel ดาวน์โหลดหนังสือที่คุณชอบและอ่านได้ทุกที่ทุกเวลา
อ่านหนังสือฟรีบนแอป
สแกนรหัสเพื่ออ่านบนแอป
DMCA.com Protection Status