私は君を守る村の狂人

私は君を守る村の狂人

last updateLast Updated : 2025-12-30
By:  桜庭結愛Ongoing
Language: Japanese
goodnovel12goodnovel
Not enough ratings
15Chapters
2.0Kviews
Read
Add to library

Share:  

Report
Overview
Catalog
SCAN CODE TO READ ON APP

 中学三年生の月野沙羅は、学校に馴染めず不登校になった。そんなある日、気分転換のために外へ行くと、不思議な雰囲気を纏う深山律に出会う。そんなに律に惹かれ、沙羅は密かに恋心を抱く。  しかし、その先に予想もしない困難が待っていた——。  大切な人を守るため、二人で秘密を背負いながら進む。ドキドキの恋愛ミステリー。

View More

Chapter 1

第一章プロローグ —— 神秘的な君との出会い

人狼。——その言葉を現実世界で耳にしたことがあるだろうか。

私の村には、古くから言い伝えられている都市伝説がある。五百年に一度、人の姿をした狼——人狼が現れるというものだ。普段は人間に害を与えないと言われているが、その存在は謎に包まれている。まるでお伽話のようだった。

沙羅さら

「お母さん?どうしたの?」

「上の空だったから声かけたのよ」

「あ、ごめん。ありがとう」

「今日も学校休む?」

「うん……ごめんなさい。」

「いいのよ、部屋でゆっくりしてなさい」

私は、村に一つしかない中学校に通っているが、周りの空気に馴染めず、一年前から不登校になった。治外法権のような村なので、教育委員会に注意されるようなことは点でない。なので気楽に休むことができた。

ある日、私は気分転換に外の空気でも吸おうと散歩に出かけた。

家の周りは木々に囲まれていて迷路のようになっている。やがて一つの木の前に人影が見えた。どうやら木に背中を預け、力無く座り込んでしまっているようだ。そんな非日常に胸が躍り、声をかけようと近づく。

「……え」

私は、彼の姿を見て動きを止めた。身体中が傷だらけで、服もボロボロになっている。彼が私の声に気付き、視線を恐る恐るこちらに向けた。

「……だれ?」

私は質問の意図が読み取れなかった。彼が不安、期待、興味など、さまざまな色が混ざり合った瞳で私を見ていたからだ。

「それは、名前ってこと?」

彼はなにも反応しなかった。代わりに力強い視線をこちらに向けている。私は一つ溜息をついてから自己紹介をした。

「私は月野つきの沙羅。中学二……あ、もう三年生か。あなたは?」

相変わらず一つの動きもない彼をただじっと見つめる。やがて、小さな声で途切れ途切れに言葉を紡いだ。

「僕は……深山律みやまりつ。中学三年生です……」

同級生に比べると少し小柄だった。見たことないということは、ここら辺に住んでいるわけではないのだろう。尋ねていいものか迷っていると、震えた声で彼は言葉を続けた。

「最近、こっちに来て、亡くなったおばあちゃんの家に一人で住んでる…… 」

中学三年生が一人暮らしをしているというのか。いくら警察が深く関与しない村だとはいえ、それはどうなのだろう。

「静かに暮らしたいから僕と会ったことは誰にも言わないで……」

彼の瞳は怯えるように揺れ、触れたら消えてしまうかのように儚げだった。

「分かった。言わないよ」

「……ありがとう」

私はこの時点で彼の妙な存在感に興味を持っていたのだと思う。彼のことをもう少し知りたい——考える前に声が出ていた。

「その代わり、あなたの家に遊びに行ってもいい?」

「……え?」

彼の目が大きく見開かれ、明るい日差しが彼の瞳を照らす。今まで暗がりでよく見えなかったが、彼の瞳は宝石のような青色をしていた。思わず見惚れて、その瞳から目を離せないでいると、彼が地面に視線を向けた。私の意識は現実に引き戻される。その瞬間に風がざわめき立ち、冷たさが私の身を激しく包み込んだ。あまりに絶妙なタイミングで、彼と自然とが呼応しているかのように思えた。

ますます彼に興味を惹かれ、このまま帰るには惜しい気がして、彼の隣に腰を下ろし言葉を紡ぐ。

「私さ、学校に馴染めなくて行けてないの。暇すぎるんだ。だから一緒にお話しできたら嬉しいなって」

彼は完全に顔を背けていて何を考えているかは分からない。それでも、彼の纏う空気みたいなのが柔らかくなった気がした。目の前にある木を見ながら彼の言葉を待つ。

「……いいけど、僕つまらないよ、?」

「それは私が決めることだよ。今は私が話したいって思ってるの」

「……」

言葉を探すように眉間に皺を寄せ、首を傾げて何かを考えている。彼の思考を遮らないように、お尻の痛みも耐えた。

「……分かった。夜帰ってくれるならいいよ」

「ありがとう。夜までには帰らないと私の親も心配するだろうし、ちゃんと帰るよ」

「じゃあそれなら……」

私のつまらない毎日に光が差した瞬間だった。明後日また同じ場所で待ち合わせて、彼の家に連れて行ってもらう。胸の奥に小さな灯りを抱き、夜道を歩いた。

彼のことを知る先に待つのが、暗闇だとは、まだ思いもしなかった——

Expand
Next Chapter
Download

Latest chapter

More Chapters
No Comments
15 Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status