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第七話——計画開始

Author: 桜庭結愛
last update Last Updated: 2025-10-27 21:28:09

 私は、律を守るために、ある行動をすることに決めた。満月の夜は必ず律の家の近くで待機すると言うことだ。周りに誰かいないかを確認することと、なるべく律を止めるためである。この作戦を律に言ったら、「危ないから近寄らないでね」と言われたので遠巻きに見守ることしかできない。

「お母さん。次の満月の日っていつだっけ?」

「確か、明後日だけどどうして?」

「友だちの家泊まってもいい?」

「いいけど、不思議な約束の仕方ね」

「月一の約束だから分かりやすいかと思って」

「変なところに頭使って……」

 少し呆れた目を向けられたが、疑われていないので良しとする。

「まぁそれだけ。おやすみ」

「おやすみ」

 次の日、いつも通り授業を受け、休み時間に律と話をし、一日を終える。教室で大声を出した一件以来、健太たちから話しかけられることは無くなった。それでも律と二人の空間は大切にしている。

「律、今日は一緒に帰れないんだ」

「ん?そうなの?分かった」

「ごめんね。また明日一緒に帰ろ!」

「うん。気をつけてね」

 律と言葉を交わし、教室を後にする。私には今日用事があった。下駄箱に向かって足を進める。近くを通る人の声がいつもより鮮明に聞こえた。

 私は、下駄箱の影に隠れ、ある人物を待った。通り過ぎる生徒の一人ひとりを、確かめるように目で追った。やがて、その人物が現れる。私は、距離を保ちながら後を追った。三十分ほど歩き、赤い屋根の家の前で立ち止まったところで、私は一度周囲を見回し、そっと帰路についた。

 翌日、一緒に律の家へ帰ることになった。緊張感を胸に抱いて二人で森の中を歩く。

「なんか緊張するね」

「危険だからいいのに……」

「守るって決めたんだから!」

「流石に着いてきたらダメだよ」

「はーい……」

 結局私は鍵のかかる部屋で待機することになっていた。律の家に着いて、少し出かけてくるといい、一人で外に出る。

 三十分ほどで律の家に戻って、座っている律に声をかけた。

「ただいま」

「おかえり。何してたの?」

「ちょっと買い物してたよ。はい、お菓子」

「わぁ、美味しそう。ありがとう」

 律の笑顔を見て、先ほどまでの緊張が緩んだ気がした。柔らかい笑みから真剣な眼差しに変えて、律に視線を向ける。

「……もうそろそろ?」

「うん。大体いつもそれくらい」

「そっか。向こうの部屋で待ってるね」
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