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第5話

Auteur: 愛月花音
last update Date de publication: 2025-10-05 18:46:11

 星野美優の噓に、涼介は大きく反応をする。春美は何のことか分からず啞然とする。

「涼介さん、加賀野さんを責めないで。美優が全て悪いの。昨日一緒に泊まったが気に入らなかったみたいで。そうしたら今度は壁に叩きつけられて。『お前のせいだ。お前のせいで子供をおろすことになったんだ』と言ってきて……何度も。本当なの? 加賀野さんの言ったことは」

 その瞬間だった。星野美優の言葉を信じた涼介は春美の頬を思いっきり叩いてきた。

 バチンッと叩かれた勢いで尻餅をつく。涼介は息を切らしながら怒鳴りつけた。

「お前って奴は、調子に乗るのも大概にしろと言ったよな!? 美優をどれだけ傷つければいいと思っているんだ? 噓までついて」

「えっ……?」

「お腹の子は俺の子なわけがないだろう。妄想も大概にしろ。よその男との子を、俺の子だと偽って。そこまでして俺と関わろうとするな。この、ストーカー女」

 彼は春美のことをストーカー女と罵る。誤魔化するためか、全て妄想だと言ってきた。

「違う……私は、そんなことはして」

「涼介さん。本当なの? 全て彼女の妄想なの?」

 春美は言い返そうとしたら星野美優が言葉を被せてきた。涼介は必死になる。

「当たり前だ。俺が、こんなキツそうな女を抱くわけがないだろう? 俺に気を引くために、噓を言っているだけだ」

「……それならいいの。でも、本当だったとしても美優はいいの。美優だけが我慢すればいいこと。施設で嫉妬や嫌がらせは慣れているから平気。だから……加賀野さんを許してあげて」

 これでは2人の言ったことが本当にしたことになってしまう。

「そんなことを言うな。俺が君を裏切るわけがないだろう? この女のことは、気にするな。ただの妄想ストーカー女なだけだ」

「……うっ……お腹が」

 星野美優は急にお腹を押さえて苦しみだした。

 涼介は慌てて星野美優をお姫様抱っこして、その場を去って行った。春美だけ取り残されてしまう。

 その後は自宅に帰された。しばらく謹慎処分。

 その間に事務所では春美の噂が広まった。涼介に好意を抱くばかりに妄想妊娠して、ロケ現場で騒ぎを起こしたストーカー女だと。

 春美と涼介の関係を知らない人達は好き勝手に陰口を流してきた。

 その間に涼介は、騒ぎの対策を考えていた。

 今回ことで、春美が度々騒ぎを巻き起こすことに苛立ちを抱いていた。

(やはり……美優と違う。あんなに節操のない女だったとは)

 涼介は自宅のタワーマンションの窓から見える夜空を眺めながらワインを飲んでいた。

 春美のことを思い出して考え込む。

 別に好きでも何でもない。両親が経営危機を救った恩人だとしても。

 それは両親だけの話だ。自分には全く関係ないと感じていた彼は、この婚約は望まないものでしかない。

 涼介にとって、本当の命の恩人は星野美優。ただ1人だけ。彼女が居たからこそ、今でも生きてこられた。

 顔は思い出せないが、星の痣があったのは、なんとなく覚えていた。他の目撃者が7歳ぐらいの女の子だったと言っていた。ずっと探していて、雑誌でもその事を話したぐらいだ。

 星野美優に出会ったのはオーディションの時だった。涼介は審査員として参加する。

 そうしたら星野美優から声をかけてきた。覚えてくれていたらしい。黒色の星の痣が確かにあった。

 涼介は、すぐさま彼女を合格させる。やっと出会った偶然を逃したくなかったからだ。

 その後も宝物のように星野美優に接する。彼女が望めば、どんなドラマ、映画でも大役を与える。

 彼の名にかかれば容易いこと。星野美優は、あっという間に人気若手女優に。

 中には星野美優のゴリ押しと騒がれた時期もあったが、そんなアンチは潰すことを徹底する。彼女みたいな美貌と実力を持っていれば嫉妬でアンチが湧くのも仕方がない。

 しかし、それでも対処が難しい事件が起きた。星野美優が飲酒運転で、人をひき殺してしまった。夜で、ほとんど人が少なかったのが幸い。

 涼介は、すぐさま大金を使って別の人に身代わりをさせる。そして事件が収まるまで、彼女を海外に留学させた。その間の生活費と自宅を与えた。

 両親は、そんなこともあって彼女の交際に猛反対してきた。相応しくないと言って。

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