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第17章 — 霧の中の謎1

Author: Déesse
last update publish date: 2026-02-28 01:57:53

アレクサンドル

なぜなのか、はっきりとは言えない。

だが、あの女 リラを見た瞬間、私の中の何かが凍りついた。

すぐに思い出したわけではない。

鮮明な記憶が突然よみがえったわけでもない。

むしろそれは、鈍い感覚だった。

胸の奥がわずかに強張るような感覚。

どこから伸びているのか、どこへ続いているのかも分からない一本の糸が、静かに震えているような そんな感覚。

古いぬくもり。

ほとんど忘れてしまった温度。

一度も訪れたことのない場所なのに、なぜか懐かしく感じる香り。

そして、この鈍い頭痛。

頭蓋の奥で、静かな太鼓がゆっくりと鳴り続けているようだ。

それから あの笑顔。

私に向けられたものではない。

ルーカスに向けられた笑顔だった。

控えめで、どこかはにかんだような笑み。

だがそこには、本物のやさしさが宿っていた。

穏やかな光が、彼女の瞳に灯っていた。

そして、その笑顔が 私を苛立たせた。

作り物ではないからだ。

義務で浮かべた笑顔ではないからだ。

そして、なぜか

奇妙なほどに、私には馴染みのある笑顔だった。

それが、気に入らない。

自分の感情が理解できないこと。

自分が感じているものを
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