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第19話

Author: 悠木 ぬくも
家に戻ると、雅之は身をかがめ、私の額に自分の額をそっと重ねた。

互いの吐息が触れ合い、重くよどんでいた頭の中が、すっきりと澄み渡っていく。

「柚晴、過去のことはもう終わったんだ」

不意に鼻の奥がツンと痛み、私は雅之の首元にぎゅっと抱きついた。

「川津さんも……いつか私に嘘をつくの?」

雅之は2秒ほど沈黙した。

それから私を腕の中からそっと離し、まっすぐに視線を合わせて、一言ずつ噛みしめるように告げた。

「絶対にない。お前を何年も捜し続けたんだ。その年月を冗談になんかするものか」

見つめる雅之の瞳が、わずかに赤くにじんでいた。

あの日、傷だらけで漁船の中に身を潜めていた少年の姿が蘇る。

ぼろ布で刃物の傷を縛り、顔の半分を血まみれにしながらも、ちぎったパンを差し出して笑いかけてくれた。

「怖がらなくていい、取って食ったりしないから」

あの頃の私は15歳で、何も分からなくて、見知らぬ他人だった雅之を半月もかくまい続けた。

祖父母の目を盗んで毎日食べ物を運び、緊張のあまり手が震えていた。

今にして思えば、あれも運命の巡り合わせだったのかもしれない。

鼻をすすり、私
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