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愛の証

Auteur: 東雲桃矢
last update Date de publication: 2025-12-11 22:02:56

「なんで?」

「だって、300円じゃ大して買い物できないよ? 昔はそれで充分だったけど、今は板チョコが200円もするんだもの。宿題頑張るって言ってる優子ちゃんに、それしか渡さないなんて、おかしいよ」

「そうかなぁ……」

「そうだよ。私だったら、1000円はあげるかなぁ」

「1000円……」

 優子にとっては大金だ。千円札なんて、お年玉でしかもらったことがない。

「ねぇ、毎月お小遣いいくらなの?」

「500円だよ」

「えぇ、少ないね。何も買えないじゃない。私だったら、5000円は渡すのになぁ」

 聖愛が同情しながら言ったタイミングで、注文したものが運ばれてきた。

「愛情たっぷりマカロン、召し上がれ」

「いただきます」

 フランボワーズのマカロンを手に取り、ひと口かじる。ほのかな酸味と甘さ。そしてクリームの滑らかな舌触りとサクッとした食感。優子にとって未知の味だった。

「美味しい?」

「うん、美味しい!」

「よかった。これあげる」

 聖愛は優子の小皿にフランボワーズのマカロンを置いてくれた。

「ありがとう、聖愛さん」

「いいのよ。さ、宿題やっちゃいましょ」

「うん」

 聖愛に教わりながら
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    「私が思い出を大事にする人ってことも、知らなかったのね」「ふざけやがって……!」 歯ぎしりしながら水樹を睨みつける恭介の前に立つと、優子はスマホを見せた。「月野グループの株、68%購入完了。最近失速してたから、私でも買えちゃった」「なっ!? どこにそんな金が!」「私が高校卒業した時にくれた手切れ金。皆さん、すごいと思いませんか? 手切れ金1億も渡してくれたんですよ」 会場はどんどんざわつき、月野一家はどんどん青ざめていく。「出てけ!」「言われなくても。そうそう、あなたの会社が失速したのは、そこのふたりが勝手に会社の金を使ったからよ」「おかしいと思ったら……!」 恭介が妻と子供を睨みつけている間に、ふたりはそそくさと会場を後にした。 その後、ふわリンゴは大忙しだった。社長である水樹の発言についてのインタビューをしたいマスコミに囲まれ、その度に水樹は笑顔で答える。そのせいで、水樹がやるはずの書類が、優子や他の3人に回ってくる。「大スキャンダルだからって、会社に押しかけられてもねぇ」「それに答える水樹ちゃんも、相当肝が座ってるわ」「ほんとほんと」 3人は呆れ返り、優子は苦笑するしかなかった。 あのあと、月野グループに警察が入り、横領が発覚した。ただでさえ優子が60%以上の株を買い占め、株主になっててんやわんやとしていたのに、警察沙汰になって、会社が機能しなくなったらしい。「で、優子ちゃんはどうするの? 株主でしょ」「私は言われるままに株を買っただけですから。そのへんは母にお任せします」 そう言って笑う優子は、清々しい顔をしていた。

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