Partager

7.水溜まりのような指輪

last update Date de publication: 2025-06-15 18:28:55

「小さな水溜まりみたいな指輪を見なかった? 子供のおもちゃみたいな指輪なんだけれど⋯⋯」

 アメリアはその日屋敷中の使用人に聞いて回った。

 朝、目が覚めたら小指に嵌めていた母親の形見の指輪がなくなっていたのだ。

「お母様との思い出の品ですよね。絶対に見つけ出します」

 アメリアの信頼するメイドのクロエは床に這いつくばるようにして指輪を探していた。

 ベッドの下に潜り込むようにしてまで必死に指輪を探すクロエにアメリアは申し訳なくなった。

「もう、いいわ! クロエ! あの指輪はそんな高価なものでもないし良いのよ。本当にただのガラス玉で⋯⋯」

「ガラス玉でも、奥様にとってはダイヤモンドより大切なものでしょう」

 曇りのない目でクロエに言われてしまうと、アメリアは何も言えなくなった。

「私、ちょっと外を見てくるわ」

 アメリアはバケツをひっくり返したような冷たい土砂降りの雨の中飛び出した。

 最近、カレブの事が心配でご飯も喉を通らなくて眠れない日々が続いていた。
Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé

Dernier chapitre

  • 落ちてはいけない恋があったなんて   20.砕けそうなくらいの愛

     舞踏会会場は通常よりも薄暗い照明になっていた。少女趣味ローズパレスとは異なり、内装は非常にシンプルで大人っぽいシックなものに統一されていた。 オーケストラではなくカルテットが静かな曲を演奏している。  仮面を身に付けた男女が体をピッタリつけて踊っては、沢山ある個室へと消えて行った。 アメリアは急に不安になった。  目元だけ隠した仮面を付けて、明らかにふしだらな事を目的とした場所に来てしまったのだ。  その事が露見した時に、このリンド王国で足場を固めようとしているカレブの足を引っ張るような気がした。「オリビア⋯⋯私、見学は終わりましたので、ここで失礼しようかと⋯⋯」  オリビアに話しかけると、彼女は真っ黒な仮面を付けた銀髪の男の手を取ろうとしていた。「ここで、名前を呼ぶのは禁止よ。楽しみなさい。いつもの自分ではない、他の誰かになれるのよ。自分を解放するのって、気持ち良いわよ! 少しはその頑丈な殻を破って楽しむ事を覚えないと、いつか貴方は爆発しちゃうわよ」  オリビアは軽やかにそう言い残して見知らぬ銀髪の男に連れられ、体を密着させてダンスを踊る。アメリアはその姿を見ながら、自分には絶対にできないと思った。(ルーベン、会いたい、ルーベン⋯⋯)  決してここにいるはずのない夫の名前をアメリアは頭の中で繰り返してアメリアは騒めく心を落ち着かせ冷静を保とうとした。 アメリアはジロジロと仮面越しに自分を見てくる男の視線に不安になり、後ずさる。壁にゴンと頭をぶつけた所で、痛さに自分の現在の状況を落ち着いて見られるようになった。  オリビアに馬車で会場まで連れて来られたが、ここは彼女の特権区域の中でも奥まった場所にある。真っ暗な中、馬車で目的地まで来てしまったので1人で歩いて帰れる自信がない。「美しいご令嬢、私と踊って頂けませんか?」  目の前に来た茶髪に白い仮面を付けた男の言葉にアメリアは反射的に勢いよく首を振った。  ダンスを1曲踊ったら、個室に連れて行かれるのがこの場所のルールである事が分かったからだ。 好奇心など消え失せ、アメリアを恐怖心が襲う。「わ、私は見学に来ただけなので」 「見学? ここは初めてですか? 初々しいですね。実に可愛らしい。私が手取り足取り楽しみ方を教えて差し上げますよ」  アメリアを強引に抱き

  • 落ちてはいけない恋があったなんて   19.鈴蘭邸

     鈴蘭邸から仮面舞踏会の会場へはそれなりに距離があるので、馬車で向かった。王族の紋章のない地味な焦茶色の馬車は、オリビアが他の招待客に紛れ身分を隠す為だという。「アメリア・マーティン、私、貴方が全く理解できないわ。結婚は子供を産む為にするものでしょ。結婚したけれど、子供を産まないなんて信じられない。マーティン公爵はカレブの父親だから美しい方なんでしょうけれど、カレブみたいな面倒な子がついてきてまで結婚したかったの?」「私は、ルーベン・マーティンに実家の借金を返して貰う為に結婚しました」  アメリアは正直に結婚理由を伝えたのに、オリビアには笑われてしまった。「そんな理由ってあるのね? その程度の気持ちなら、カレブと結婚してあげたら? カレブならしっかりしているから、継続して貴方の実家の面倒も見てくれると思うわよ。私がこのような事を言ったのは秘密にして欲しいんだけど⋯⋯」  オリビアが言い難そうにしているのを見て、アメリアは自分も不器用だが彼女はもっと不器用で損な性格をしていると思った。思い遣りに溢れている自分をなぜか彼女は必死に隠そうとする。「秘密にしますわ。今晩の仮面舞踏会への参加も含めて秘密にします」 アメリアの微笑みを見て、オリビアは一呼吸おいて、語り始めた。「カレブが貴方を好きなのは純粋な恋というものに、父親へ憎しみとか複雑な思いが混じっている気がするの。自分の母親を助けてくれなかったのに、すぐに他の女を娶って夢中になっている父親をどんな思いでカレブが見つめていたのか⋯⋯」 「オリビア王女殿下の言う通りかもしれません。気持ちに寄り添ってくれる優しいお義姉様がカレブの側にいて安心しました。私が帰国してもカレブを宜しくお願いします」  アメリアは罵り合っていても、オリビアがカレブの事を考えてくれている事に安堵した。「私にはカレブなんかの気持ちなんて正確には分からないわよ。ただ、私も同じような経験があって、ウィラード国王陛下を憎んだことがあったから⋯⋯とにかく、アメリア・マーティンは別にマーティン公爵殿下が好きな訳ではないのよね。だったら、カレブの側にいることを選択してくれても良いのに⋯⋯」 アメリアはルーベンが好きではないと言われて、その通りだとは返せなかった。自分はルーベンに惹かれ始めていた気はする。ルーベンに対しては自分の知らな

  • 落ちてはいけない恋があったなんて   18.仮面舞踏会

     パアン!   その時、カレブがオリビアの頬を叩いた音が部屋に冷たく響いた。「アメリアとあの人は『白い結婚』だ。アメリアは誰にも穢されてなどいない! 彼女は義姉上のような女が侮辱して良い方ではないんだ」 オリビアが頬を抑えながら、アメリアを見る。  その瞳が戸惑いと寂しさに揺れていて、アメリアは彼女が心配で胸が詰まった。 アメリアの慈愛と同情に満ちた視線は、少なからずオリビアのプライドを傷つけた。  オリビアはカレブを見据えると、再び強く攻撃的な言葉を吐く。「リンド王国の王妃は出産を大衆で公開するのよ。誰にも穢されてもいなかった貴方の大好きな人は、貴方のせいで大衆に穢されるの! それで、壊れるのよ! 私の母のように」 「王族の生まれを公開する神聖な儀式で、イライザ王妃が心を壊したのは義姉上が女だったからだろう。恥をかかされた挙句、産んだのが女だったら誰だって失望する」 アメリアはリンド王国が王族の出産を公開していることは知識として知っていた。自分は出産を経験した事がないが、それを大衆で公開する事は死ぬ程恥ずかしいと想像できた。 リンド王国の王妃でオリビアの母親であるイライザ・リンド。彼女は今、ウィラード国王に不妊になる毒を盛った罪で塔に幽閉されている。一夫多妻制のリンド王国でウィラード国王は5人の妻を持ったが、オリビア王女の後にウィラード国王の子が生まれる可能性は無くなった。 他国でも自分の子に王位を継がせたいと側室に毒を盛る女はいる。 しかし、夫である国王に毒を盛ったのは後にも先にもイライザ・リンドだけだ。  国王に王妃が不妊になる毒を盛るという前代未聞の醜聞は、狂った王妃の所業として取り上げられた。  アメリアは最初にそのニュースを聞いた時には悪しき風習の恐ろしさを感じただけだったが、今は違う感想を持っている。「イライザ王妃殿下は、壊れていないと思います。自分が嫌だった事を他の女性にはさせたくなかった優しい方なのではないでしょうか⋯⋯」 アメリアは会ったこともないイライザ・リンドに思いを馳せていた。  オリビアは関わってみると、他人に対する共感力の非常に強い子だと思った。  自分がどう人に思われているかにも、とても敏感な繊細な子だ。    そんな彼女が彼女の母親であるイライザ・リンドの鏡だとしたら⋯⋯。

  • 落ちてはいけない恋があったなんて   17.仲の悪い姉弟

     後続の馬車から降りてきたクロエが小走りで近付いてくる。「カレブ様! 不敬にもお話が聞こえてしまった事をまずはお詫びさせてください。カレブ様さえ宜しければ、私がオリビア王女殿下の元へアメリア様をお連れ致します。お茶会が終わり次第、離宮の鈴蘭邸にご案内しておきます」「お気遣いありがとう、クロエ! ここに来るのは初めてだから、道案内をしてくれると本当に助かるわ。では、また後でね、カレブ」  アメリアは問答無用とばかりにカレブに手を振る。  その姿に彼女の頑固さを知っているカレブは諦めの表情を浮かべた。「ウィラード・リンド国王陛下への挨拶を終わらせたら、すぐに僕が迎えに行くよ。気をつけてくれ、あの女は毒針を持った嫌味な女だ」「どんな毒針か楽しみだわ」  アメリアは余裕の笑みを向けて、クロエに案内を頼んだ。    高い塀に囲まれた門の前に到着すると、クロエは大きく深呼吸した。  ここが王宮の前とは信じられない程、隔離された空間だ。「この門を潜って緑のアーチをずっといくと、ローズパレスです。この敷地内にある庭も劇場も舞踏会などが行われるホールも全てオリビア王女殿下の持ち物です。招待された人間以外はこのアーチを潜る事を許されていません。私はここでお待ちしています」 「ありがとう。クロエ」  アメリアの軽やかな笑顔とは真逆にクロエの表情は固かった。 緑のアーチを潜って100メートル程行ったところで、腰までのウェーブのかかった金髪を靡かせてくる紫色の瞳をした泣きぼくろのある色っぽい女性が歩いてくるのが分かった。  クリーム色のドレスを着た一目で分かる高貴さを持った彼女の正体を、アメリアは肖像画を見て知っていた。婀娜っぽい印象の彼女は、健やかで清廉な雰囲気を持ったアメリアとは対極の女性だ。「オリビア・リンド王女殿下に、アメリア・マーティンがお目にかかります」  アメリアが優雅にゆっくりとお辞儀をすると、オリビアは彼女を見下すような目で意地悪そうに笑った。「成る程、厳しく採点してしようとしても、減点する箇所が見つからないくらい美しいわね。貴方がリンド王国の人間なら今すぐ地下牢行きにしてるわ」 オリビアは自分より美しい女は地下牢に入れるという噂がある女だ。  当然、根も歯もない噂だとアメリアは思っていたが、王族の決定が全てであ

  • 落ちてはいけない恋があったなんて   16.月だけがみていた

     もうすぐ夏だと言うのに、リンド王国はガルシア王国に比べ涼しかった。  地理的にもリンド王国はガルシア王国の北に位置する。  このホテルは見晴らしの良い丘にある街の中に建っていたから、高地であることもあり風が強い。 アメリアが震え上がるとカレブは彼女をより強く抱き寄せた。「街灯が付いてて街も明るいのに、誰も人が外に出てないのね」 「この時間は外出禁止命令を出したから、僕とアメリアの2人きりだよ。まるで、この世界に2人だけみたいだね。本当にそんな世界があったら良いのに⋯⋯」  うっとりと語ってくるカレブにアメリアはまた不安になった。 アメリアはリンド王国の法律に関する絶対的な法則を思い出した。この国において、王族は絶対的な存在だ。法律だけでなく、多くの法令も鶴の一声で覆せる発言権をリンド王国の王族は有している。  アメリアは街を貸切するような状況を楽しめる性格ではなく、恐縮してしまうタイプだった。その贅沢を当たり前のように享受できるカレブは生まれながらに王族の血を引いている。 真夜中に銀色の月だけが浮かんで、2人を見ている。 ふとホテルを囲む泉に映る自分たちを見ると、知らない人が見たら恋人同士に見えるのだろうとアメリアは思った。 (籍が抜けようと、カレブはずっと私の大切な子だわ) 隣にいるカレブの顔を見上げると、彼がずっとアメリアを見つめていた事に気がついた。「アメリア、僕が君をどれだけ恋しく思っていたか分かる?」 「私だって、カレブが恋しかったわ。ずっと貴方に会いたくて堪らなかった」  アメリアはカレブがいなくなってから、体の半身を奪われたように生きた心地がしなかった。前世に多くの子と関わってきても、「自分の子供」と接するのは初めてだった。それゆえ、アメリアにとってカレブは特別な存在だった。 「アメリア、僕は本当にずっと君のことが⋯⋯」 カレブがアメリアの頬に手を添え顔を近づけた瞬間、彼女の目にカレブの後ろを通る鉄の棒を地面に差し込む灰色の作業服を着た人が見えた。「あっ、あの方は!」 「アメリア⋯⋯それは、その内分かるから今は僕に集中してくれる?」 「私、あの人が何をする方か知ってるわ。ああやって操作して、泉の中から噴水を噴射するんでしょ。来月からこのホテルで噴水ショーが実施されるらしいわよ」  アメリ

  • 落ちてはいけない恋があったなんて   15.あなたが選んだ服

    「アメリア、何を読んでるの?」  カレブが興味深そうにアメリアの手元を覗く。  その姿は先程の選り好みしている彼とは違い好奇心旺盛の子供のようだった。 「リンド王国についての本よ。ガルシア王国とは全く異なる文化を持っているようだから失礼がないように学んで置かないと」 「アメリアは本当に真面目だな。王族の僕と一緒にいればアメリアが注意される事はないのに」 「注意をされるとか、されないと言った問題ではないの。カレブと一緒にいる私がマナー違反をしたら貴方が恥をかくわ。それに、カレブが暮らしている国を知りたいのよ」 アメリアが微笑みながら言った言葉は、カレブの心を満たした。彼は毎日のように持ち歩いているガルシア王国の書式の離婚届をアメリアの前に差し出す。毎日のように見せられるそれにアメリアは脱力しため息を吐いた。   「アメリア、今日こそは離婚届を書いてくれる? 僕はアメリアの為を思ってあの人から離れた方が良いと言ってるんだ。僕はアメリアには幸せになって欲しい。母上のように不幸にはなって欲しくはないんだ」 カレブがルーベンがグレースを不幸にしたと思っている事にアメリアは反論したかったが我慢した。「一緒に手紙も同封しても良いなら⋯⋯離婚届を書くわ」 カレブが毎日何度も離婚届を書くよう言ってくるので、アメリアは自分の欄だけ署名してカレブに渡した。彼女はこれ以上、彼がルーベンを悪く言うのを聞きたくなかった。 カレブは離婚届に記載されたアメリアのサインを見て満足したよう声を弾ませた。 「これは、僕が責任を持ってマーティン公爵邸に送っておくね。はぁ、これでやっとひと段落だ。⋯⋯アメリア、ゆっくりで良いから僕を見て欲しい」 カレブはアメリアの頬に軽く口付けを落とすと、足取り軽やかに部屋を出て行った。「私はいつも貴方を見てるわ、カレブ⋯⋯」  アメリアが苦々しい思いで呟いていたのを彼は知らない。  彼女はベッドサイドのサイドテーブルに置いてあるリンド王国の新聞を手に取り、その日付にため息をついた。ルーベンに黙ってマーティン公爵邸を出てから、もう1ヶ月以上も経過していた。 アメリアは現状を伝える手紙をルーベンに書いたが、アメリアの手紙をこっそり抜いてカレブはマーティン公爵邸に離婚届を急ぎで送った。 アメリアがクロエの手伝いで入浴と寝

  • 落ちてはいけない恋があったなんて   14.私の大切な子

    「カレブ、貴方は私の大切な子よ」 アメリアは男の目をして自分を見てくる彼にそう伝える事しかできなかった。それでも、その言葉は嘘偽りのない彼女の真実だった。 彼女は美しい青年になったカレブに愛を囁かれて全くときめいていない訳ではなかった。しかし、彼女は真面目な性格ゆえに夫がいる状態で他の男に靡く事などない。「アメリア、僕は君の隣に立てる男になりたくて必死に呪いを解いて、急いで大人になったんだ」 カレブが切実そうに告げてくる言葉にアメリアは呪いをどう解いたのか聞こうかという考えが一瞬頭をよぎった。  でも、それを聞いてしまうとカレブはルーベンへの恨みをますます募らせてしまう気がした。

  • 落ちてはいけない恋があったなんて   13.猫足のバスタブ

     5日ぶりの入浴をアメリアはクロエに手伝って貰っていた。 猫足のバスタブの浴槽には赤い薔薇の花びらが浮いている。  ホテルの人間の対応は完全にVIPに対するものだった。 案内されたのもベッドルームが3部屋もあり、広い吹き抜けのリビングルームのあるスイートルームだ。「奥様、こうやってまた奥様のお身体を洗える時が来るなんて夢のようです」 「クロエ⋯⋯貴方が追い出されるのを止められなかった私を恨んでないの?」「確かに最初は冤罪を着せられ路頭に迷い絶望しました。私、身寄りがないもので⋯⋯⋯でも、半年前に呪いの解けたカレブ様が私をリンド王国で雇ってくださると訪ねて来てくれたのです」 ア

  • 落ちてはいけない恋があったなんて   8.初めてのときめきと安堵

     外商が屋敷を訪れる2日前からカレブは体調を崩した。アメリアは寝ずにカレブに付き添い看病をした。正直、彼女は自分の買い物などする気になどなれなかった。 扉をノックする音と共にルーベンがカレブの部屋に入ってくる。「アメリア、少し休んだ方が良い。今、下に外商が来ているが、また出直させようと思う」「カレブもやっと眠れたところなので、今から買い物を⋯⋯建国祭のドレスを作らないとですよね」  アメリアは立ち上がった途端、眩暈がしてルーベンに支えられていた。  正直、立ち上がるのもやっとなくらい彼女は肉体的にも精神的にも疲弊していた。「君のサイズでドレスを作っておくよ。俺の好みで良いならば」

  • 落ちてはいけない恋があったなんて   5.並べられたカード

    「アメリア、ありがとう。今、やっと俺を理解してくれようとする女性に出会えた気がする」 ルーベンがうっとりとした顔でアメリアに口付けを求めたその時、彼女は平然と彼の唇を掌で覆った。 彼自身女性慣れしている訳ではないが、自分のルックスに女性が虜になるのを見てきた。女性が喜ぶような仕草や言動も何となく理解していたつもりだった。「きっと、私はルーベンの事を1割も理解できていません。1人苦しみに立ち向かってきた貴方を簡単に理解できるなどと思っていませんから」 柔らかく微笑みルーベンを受け入れるようで拒絶しているアメリアは、まるで聖母の見た

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status