Accueil / BL / 蒼人と空、君と過ごしたあの季節 / 5月のグラウンド、君と走る日

Partager

5月のグラウンド、君と走る日

Auteur: ちばぢぃ
last update Date de publication: 2025-06-01 08:00:54

5月に入り、新緑が校庭を鮮やかに彩っていた。蒼人と空は、入学から1カ月が経ち、ようやく中学校生活に慣れてきた頃だった。蒼人は空に誘われる形でサッカー部に入部することを決めていた。自分は運動が得意ではないと思っていた蒼人だったが、空の「一緒にやろうぜ!」という言葉に背中を押され、入部届を出したのだ。空はもちろん、サッカー部に入る気満々で、部活の初日を心から楽しみにしている様子だった。

部活初日、放課後のグラウンドには新入生と先輩たちが集まっていた。サッカー部の顧問である体育教師の田中先生は、がっしりした体格の中年男性で、「初心者でもやる気があれば大歓迎!」と笑顔で新入部員を迎えた。蒼人は少し緊張しながら、空の隣に立って先生の話を聞いていた。

「ソ:なあ、蒼人! やっと部活始まるよ! めっちゃ楽しみ!」

空が小声で囁き、蒼人の肩を軽く叩いた。蒼人はその明るさに少し安心しながらも、先輩たちの真剣な顔つきに気圧されていた。

「ア:うん…でも、俺、ちゃんとできるかな…」

「ソ:大丈夫だって! 俺がいるからさ。蒼人、絶対上手くなるよ!」

空の笑顔が眩しくて、蒼人は小さく頷いた。空がそばにいると、いつもより少しだけ勇気が出る気がした。

初日は軽い自己紹介と基礎練習から始まった。新入生は10人ほどで、先輩たちを含めると部員は30人近くいた。自己紹介では、空が「星野空です! サッカー大好きです! よろしくお願いします!」と元気よく挨拶し、先輩たちから「いいね、元気なやつ!」と拍手をもらった。蒼人は緊張しながら「山崎蒼人です…よろしくお願いします」と小さく言ったが、空が「蒼人、もっと声出せー!」と茶々を入れ、みんなが笑った。恥ずかしかったけど、空のおかげで少し緊張が解けた。

練習が始まると、まずはランニングとストレッチ。先輩たちに混じってグラウンドを走るのは、想像以上に大変だった。蒼人はすぐに息が上がり、足が重くなった。

「ア:はあ…はあ…俺、走るの苦手…」

蒼人が立ち止まりそうになると、空が後ろから駆け寄ってきた。

「ソ:蒼人、頑張れ! 俺も一緒に走るからさ!」

空が並んで走ってくれるので、蒼人はなんとか最後まで走りきった。汗だくで息を切らしながら、蒼人は空に感謝した。

「ア:ありがと…空、めっちゃ速いね」

「ソ:へへ、俺、小学校の頃からサッカーやってたからな! 蒼人もすぐ慣れるよ!」

空が汗を拭いながら笑う。その笑顔が夕陽に照らされて、蒼人の胸がまたドキッとした。なんでだろう。こんな瞬間、最近よくある。

ランニングの後は、パス練習に移った。先輩がボールを蹴る様子を見本で見せ、新入生たちはペアになって練習することに。蒼人と空は自然とペアになり、グラウンドの端でボールを蹴り始めた。空は軽やかにボールを扱い、蒼人に優しくパスを送る。

「ソ:ほら、蒼人! こうやって足の内側で蹴るんだよ。やってみて!」

「ア:う、うん…こう?」

蒼人がぎこちなくボールを蹴ると、少し曲がってしまった。空は笑いながらボールを拾いに行き、「全然いいよ! 最初はこんなもんだって!」と励ましてくれた。蒼人は空の優しさにホッとしながら、もう一度ボールを蹴った。今度はまっすぐ空に届き、空が「ナイスパス!」と大声で褒めてくれた。蒼人の顔が熱くなり、小さく笑った。

「ア:…空、教えるの上手いね」

「ソ:だろ? 俺、蒼人にサッカー好きになってほしいんだ!」

その言葉に、蒼人の胸が温かくなった。空がそんな風に思ってくれていることが、純粋に嬉しかった。

練習の終わりには、新入生同士でミニゲームが行われた。3対3の小さな試合で、蒼人と空は同じチームになった。もう一人のチームメイトは、同じクラスの佐藤という少し大人しい男の子だった。試合が始まると、空が中心になってボールを運び、蒼人に「ここだよ!」とパスを送ってくれる。蒼人は緊張しながらもボールを受け、なんとか前に進もうとしたけど、相手にボールを奪われてしまった。

「ア:あ…ごめん…」

蒼人が肩を落とすと、空がすぐ駆け寄ってきた。

「ソ:いいよ、気にすんな! 次、次! 蒼人ならできるって!」

空の言葉に励まされ、蒼人はもう一度ボールに向かった。試合の最後、蒼人が空からパスを受け、思い切ってゴールに向かって蹴った。ボールはゴールポストの端をかすめて外れてしまったけど、先輩たちから「ナイスシュート!」と拍手が起きた。蒼人は驚きながら、空を見た。

「ソ:蒼人、すげえ! めっちゃよかったよ!」

空がハイタッチを求めてきて、蒼人は照れながら手を合わせた。その瞬間、蒼人の心が弾んだ。空と一緒にサッカーをするのは、思ったよりずっと楽しい。

練習が終わると、部員たちはグラウンドの端で水を飲んだり、ストレッチをしたりしてクールダウンした。蒼人は疲れ果てて芝生に座り込み、空が隣にやってきた。

「ソ:なあ、蒼人。今日、どうだった? 楽しかった?」

「ア:うん…疲れたけど、楽しかった。空のおかげで」

「ソ:やった! 俺も蒼人と一緒で楽しかったよ。明日も頑張ろうな!」

空が笑いながら、蒼人の頭をポンポンと叩いた。その仕草に、蒼人の顔がまた熱くなった。友達として普通のことなのに、なぜか特別な感じがする。

帰り道、夕陽がグラウンドをオレンジ色に染めていた。二人は並んで歩きながら、今日の練習について話した。空は興奮気味に「先輩たち、めっちゃ上手かったな!」とか「次はもっとシュート決めようぜ!」と話す。蒼人はその声を聞きながら、時々空の横顔を盗み見た。夕陽に照らされた空の顔が、なんだかいつもより大人っぽく見えた。

「ソ:なあ、蒼人。俺さ、蒼人とこうやって部活できるの、めっちゃ嬉しいんだ」

空が急に真面目な声で言った。蒼人はびっくりして、足を止めた。

「ア:え…どうして?」

「ソ:なんかさ、蒼人といると安心するっていうか…俺、蒼人のこと大好きだよ。友達としてな!」

空が照れ笑いしながら言った。蒼人の胸がドキドキして、言葉に詰まる。

「ア:…俺も、空のこと…大好きだよ。友達として」

やっと絞り出した言葉に、空が「だろ? 俺ら、最高のコンビだよ!」と笑った。蒼人も笑ったけど、心のどこかで「友達として」という言葉に違和感を感じていた。友達以上の何かがあるような気がして、蒼人は自分でもその気持ちに戸惑った。

家に帰ると、母が夕飯の準備をしていた。蒼人はランドセルを置いて、母に話しかけた。

「ア:今日、部活の初日だったんだ。サッカー部」

「母:へえ、楽しかった? 蒼人、運動あんまり得意じゃないって言ってたのに」

「ア:うん…でも、空が一緒だから、頑張れた。楽しかったよ」

母は「空くんって、いい子ね。蒼人を引っ張ってくれるんだ」と笑った。蒼人も笑ったけど、心の中では空の「大好きだよ」という言葉がぐるぐる回っていた。友達として、だよね。でも、なんでこんなに気になるんだろう。

夜、蒼人はベッドに寝転がって天井を見た。今日の練習のことを思い出す。空の笑顔、優しい声、一緒に走ったグラウンド。全部が鮮やかで、胸が温かくなる。でも、同時に、友達以上の気持ちが芽生えていることに、蒼人は少し怖くなった。まだよくわからない感情。サッカー部に入ったことで、空と過ごす時間がもっと増える。それが嬉しいけど、どこか不安でもあった。

次の日、朝の教室で空が「蒼人、おはよー! 今日も部活頑張ろうな!」とやってきた。蒼人は「うん、頑張ろう」と笑顔で答えた。5月のグラウンドで、二人はこれからも一緒に走っていく。蒼人の心の中で、友情と何か新しい感情が、少しずつ育ち始めていた。

Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application

Dernier chapitre

  • 蒼人と空、君と過ごしたあの季節   待つ心と新たな絆

    蒼人の部屋に朝の光が差し込み、カーテンがそよぎ、床に柔らかな影を落としていた。机の上には昨夜の宿題ノートが広がり、棚に置かれた写真立てが律や空との笑顔を静かに映し出していた。律が転校して2週間と数日が経ち、蒼人の心は空への告白を思い返しながら揺れ動いていた。BL感情が空に深く根付き、屋上での返事を保留された言葉が頭から離れなかった。窓の外では夏の終わりを告げる風が木々を揺らし、遠くでセミの声が微かに聞こえた。 キッチンからは母が朝食を準備する音が聞こえ、トーストの香ばしい匂いが部屋に漂っていた。蒼人は制服に袖を通しながら、「今日も空に会えるな…」と呟き、胸に温かい期待と少しの緊張を感じた。鏡の前でネクタイを整え、窓の外を眺めた。庭の芝生が朝露で輝き、近所の猫がのんびり歩く姿が見えた。玄関へ向かい、「行ってくるよ」と母に声をかけると、母が「気をつけてね、蒼」と優しく返した。外に出ると、6月の温かい風が頬を撫で、今日が特別な一日になる予感がした。 通学路を歩き始めると、いつもの角で空が待っていた。ブレザーが朝日を反射し、笑顔が蒼人の心を軽くした。律の不在がまだ新鮮な傷として残る中、空の存在が蒼人に安心感を与えていた。 「空、おはよう。昨日は考えた?」と蒼人が少し緊張しながら尋ねると、空は少し照れたように笑った。 「うん、蒼…少しね。でも、まだ答え出せなくて」と空が答えた。 蒼は空の言葉に胸が締め付けられつつも、「いいよ。ゆっくりでいい。俺、待つから」と優しく返した。2人は並んで歩き出し、校門に向かった。校庭ではテニス部の朝練習が始まり、ラケットの音が遠くに響いていた。教室へ向かう廊下を進む中、蒼人の心は空への想いで高まっていた。 教室に着くと、窓から見える校庭の緑が目に鮮やかだった。黒板には今週の予定が chalk で記され、教卓には先生が教材を並べていた。蒼人の席は教室の中央にあり、空が隣に座った。クラスメイトのざわめきがいつものように響き、律の空席が目に入った。蒼人はノートを広げながら、空の横顔に視線をやった。BL感情が静かに深まり、心がドキドキし始め

  • 蒼人と空、君と過ごしたあの季節   別れの後と心の告白

    律が転校して2週間が過ぎ、蒼人の日常は静かに流れていた。部屋の窓からは朝の光が差し込み、カーテンがそよぎ、机の上に積まれた教科書が新学期の雰囲気を漂わせていた。律の旅行カバンが置かれていた場所は空っぽになり、その記憶だけが心に残っていた。玄関の外では近所の子供たちの笑い声が聞こえ、庭の木々が夏の緑を濃くしていた。蒼人はベッドに座り、律との最後の夜を思い返していた。BL感情が律から空へと移り変わりつつあり、心の中では新しい想いが芽生え始めていた。 キッチンからは母が朝食を準備する音が聞こえ、パンケーキの甘い香りが部屋に広がっていた。蒼人は制服に袖を通しながら、「今日、学校で空に会うな…」と呟き、胸に温かい鼓動を感じた。鏡の前でネクタイを整え、窓の外を眺めた。街路樹が風に揺れ、遠くで鳥のさえずりが朝の静けさを彩る。玄関へ向かい、「行ってくるよ」と母に声をかけると、母が「気をつけてね、蒼」と笑顔で返した。外に出ると、6月の温かい風が頬を撫で、今日が特別な一日になる予感がした。 通学路を歩き始めると、いつもの角で空が待っていた。ブレザーが朝日を反射し、笑顔が蒼人の心を軽くした。律の不在がまだ新鮮な傷として残る中、空の存在が蒼人に安心感を与えていた。 「空、おはよう。律がいないと少し寂しいね」と蒼人が言うと、空は少し寂しげに頷いた。 「うん、蒼もそう思うよね。律のメール、最近もらった?」と空が尋ねた。 蒼は首を振った。「まだだよ。転校先で忙しいのかな。でも、連絡は取れるって約束したから…」と返した。2人は並んで歩き出し、校門に向かった。校庭では野球部の朝練習が始まり、バットの音が遠くに響いていた。教室へ向かう廊下を進む中、蒼人の心は空への想いで少しずつ高まっていた。 教室に着くと、窓から見える校庭の緑が目に鮮やかだった。黒板には今週の予定が chalk で記され、教卓には先生が教材を並べていた。蒼人の席は教室の中央にあり、空が隣に座った。クラスメイトのざわめきがいつものように響き、律の空席が目に入った。蒼人はノートを広げながら、空の横顔に視線をやった。BL感情が静かに深ま

  • 蒼人と空、君と過ごしたあの季節   別れと新たな一歩

    蒼人の家での夜が更け、律との時間が静かに流れていた。部屋の窓からは月明かりが差し込み、カーテンが風にそよぎ、床に柔らかな影を落としていた。旅行カバンが部屋の隅に置かれたまま、2人の会話が途切れ途切れに響く。蒼人は律をソファに座らせ、隣に腰を下ろしていた。律の涙は乾き始め、蒼人のシャツに残った湿った跡が月光に映えていた。2人の手は依然として繋がれ、指先から伝わる温かさが互いの心を繋いでいた。「律、転校まであと何日?」と蒼人が尋ねると、律は少し考え込むように目を伏せた。「うん…来週の月曜日が最後だよ。新しい学校に月曜日から行かなきゃ」と律が答えた。声には諦めと寂しさが混じり、蒼人の胸が締め付けられた。蒼人は律の手を握り直し、「そんなにすぐか…。でも、連絡は取れるよな?」と確認した。律は小さく頷き、「うん、メールや電話で…約束する」と呟いた。部屋の中は静かで、遠くから聞こえる虫の声が秋の訪れを告げていた。蒼人は律の横顔を見つめ、BL感情が空から律にも広がる複雑な気持ちを抱いた。律の涙が乾いた頬は月光に白く輝き、蒼人はその姿に心を奪われた。「律、転校してもお前らしくいてくれ。いじめなんてもうないように願ってる」と蒼人が真剣に言った。律は蒼人の言葉に目を潤ませ、「ありがとう、蒼…新しい学校でも頑張るよ」と返した。2人はしばらく黙って月を見ていた。蒼人は律の肩に軽く頭を預け、律もまた蒼人に寄りかかった。旅行カバンの中からかすかに服の擦れる音が聞こえ、律が持ってきたものが2人の最後の時間を象徴しているようだった。蒼人は律の髪を撫でながら、「今夜はゆっくり話そう。転校までの思い出、全部作ろう」と提案した。律は微笑み、「うん、蒼と過ごす時間が宝物だよ」と頷いた。夜が更けるにつれ、蒼人は律にこれまでの思い出を語り始めた。「覚えてる? 去年の夏、川で泳いだ時。律が水をかぶって転んだんだよな」と笑いながら言うと、律も笑顔を見せた。「うん、あの時蒼が助けてくれたよね。恥ずかしかったけど、楽しかった」と律が懐かしむ。2人は笑い合い、過去の楽しい瞬間を振り返った。蒼人は律の笑顔に安心感を覚えつつ、BL感情が心の中で温かく広がるのを感じた。性的な話題はなく、純粋な

  • 蒼人と空、君と過ごしたあの季節   律との最後の時間

    土曜日を迎え、蒼人は律と公園で待ち合わせていた。朝の空気がまだひんやりと残る中、公園のベンチに座りながら、遠くで鳥のさえずりが聞こえてくる。木々の緑が新緑の季節を告げ、木漏れ日が地面にまだら模様を描いていた。蒼人は制服を脱ぎ捨て、カジュアルなTシャツとジーンズに着替えており、律との特別な時間を心待ちにしていた。時計の針が9時を少し回った頃、律が肩から少し小さい旅行カバンをぶら下げて現れた。カバンは黒いナイロン製で、サイドに小さなキーホルダーが揺れているのが見えた。蒼人の心臓が少し速く鼓動し、「(律…やっと会えた)」と呟いた。 律は普段の明るい表情とは異なり、どこか疲れた顔をしていた。旅行カバンを手に持つその姿に、蒼人は疑問を抱いた。なぜ律が旅行カバンを持っているのか。それは、この日が最後になるかもしれない律とのお泊まりだったからだ。空がいないこの機会に、蒼人は律との時間を心から味わいたいと考えていた。2人の関係はこれまで友情が中心だったが、最近の律の転校話や心の葛藤を知り、蒼人の心には特別な想いが芽生え始めていた。BL感情が静かに深まりつつあり、律との最後の記憶を大切にしたいという思いが強かった。 蒼人はベンチから立ち上がり、律に近づいた。律の目は少し潤んでおり、カバンを握る手が微かに震えているのが分かった。蒼人は自然と手を伸ばし、律の手をそっと握った。律の指先は冷たく、緊張が伝わってきた。 「律、来たね。カバン…お泊まりのつもり?」と蒼人が優しく尋ねると、律は少し照れたように頷いた。 「うん…蒼と最後に過ごしたいと思って。転校が近いから…」と律が小さな声で返した。 蒼人は律の手を強く握り返し、「分かった。じゃあ、うちに来よう。ゆっくり話そう」と提案した。2人は公園の小道を並んで歩き始めた。道すがら、近所の花壇から漂う花の香りが鼻をくすぐり、子供たちが遊ぶ笑い声が遠くで聞こえた。蒼人は律の手の温もりに安心感を覚えつつ、内心ではこれが最後かもしれないという切なさが胸を締め付けた。律もまた、蒼人の隣を歩くことで、少しだけ心が軽くなったようだった。 家に着く

  • 蒼人と空、君と過ごしたあの季節   別れの予感と静かな不安

    ~ 夏のはじまりと穏やかな始まり ~ ゴールデンウィークから1か月が経ち、蒼人の自宅はジメジメとした空気に包まれていた。リビングの窓から見えるどんよりとした雲が目立っていてテレビからはニュースの低い音声が流れていた。机の上には1学期のテスト勉強用の参考書が広がり、壁に掛かった時計が秒針を刻む音だけが部屋に響いていた。ゴールデンウィークの思い出が、蒼人の心は空へのBL感情とともに、律や空との日常に慣れ親しんでいた。制服を脱ぎ、私服に着替えた蒼人は「今日も疲れたな…律と空、明日会えるか」と呟き、ソファに腰を下ろした。 キッチンからは母が夕食を準備する音が聞こえ、煮物の香りが部屋に漂っていた。蒼人は窓の外を眺めた。庭の芝生が夕陽に照らされ、遠くで近所の子供たちが遊ぶ声が微かに届く。父が仕事から帰宅し、「おかえり、蒼。今日も学校どうだった?」と尋ねると、蒼人が「まあまあだよ。明日も頑張る」と返した。外の空気は秋の涼しさを含み、明日への期待と日常の安心感が心に広がった。 ~ 律の不在、突然の変化 ~ 通学路を歩き始めた蒼人は、いつもの角で空と合流した。ブレザーが朝の光に映え、笑顔が蒼人の心を軽くしたが、律の姿がどこにもなかった。2年生が始まって以来、律とは毎朝3人で学校へ向かうのが常だった。 蒼「空、律は? また遅刻?」 空「ううん、昨日も今日も見かけないよ。変だね…。」 蒼は空の言葉に胸がざわついた。律が急にいなくなるなんて、これまで一度もなかった。BL感情が空に寄り添う中、蒼人の心に不安が広がり始めた。2人は並んで歩き出した。空が「何かあったのかな…」と呟くと、蒼人が「分からないけど、気になるな。様子見てみよう」と返した。空の横顔を見ながら、蒼人は律の不在が頭から離れなかった。 校門に着くと、駐輪場で自転車を停める音が響き、校舎の裏手では園芸部の生徒が草を刈っていた。教室へ向かう

  • 蒼人と空、君と過ごしたあの季節   新たなはじまりと心の揺らぎ

    ~ 朝の目覚め、穏やかな出発 ~ ゴールデンウィークも終わり夏と感じさせる日差しが、蒼人の自宅に静かに流れ込んでいた。部屋の窓から差し込む朝日が、カーテンを優しく揺らし、淡い光が床に広がる。机の上には昨夜の宿題ノートが散らかり、棚には山での写真が飾られ、ゴールデンウィークの思い出を静かに語りかけていた。唯が市外の家に戻ってから数日が経ち、蒼人の日常は学校生活へと戻りつつあった。ベッドから起き上がった蒼人は、制服のブレザーを手に取り、鏡の前で身支度を整える。空との時間が心に残り、BL感情が少しずつ芽生え始めていた。 「(空…今日も会えるな)」と心の中で呟き、胸に温かい感覚が広がる。キッチンからは母が朝食を準備する音が聞こえ、トーストの香ばしい匂いが部屋を満たしていた。蒼人はネクタイを結びながら、窓の外を眺めた。近所の街路樹が風に揺れ、遠くで鳥のさえずりが朝の静けさを彩る。玄関へ向かい、母に「行ってくる」と声をかけると、母が「頑張ってね、蒼」と優しく返した。外に出ると、涼しい空気が肺を満たし、今日の一日が始まる予感に胸が高鳴った。 ~ 通学路での出会い、心地よい会話 ~ 制服に身を包み、元気よく家を出た蒼人は通学路を歩き始めた。住宅街の道は朝日で輝き、花壇から漂う花の香りが鼻をくすぐる。道端では近所の猫が日向ぼっこをし、子供たちの笑い声が遠くから聞こえてきた。角を曲がると、空が制服姿で立っていた。ブレザーが朝の光に映え、笑顔が蒼人の心を明るくした。 蒼「おお、空! 朝から元気だな。」 空「うん、蒼に会えると思ってさ。昨日、楽しかったよ。」 蒼は空の言葉に胸が温かくなり、BL感情が少し強まるのを感じた。2人は並んで歩き出した。空が「今日、体育があるらしいね。ちょっと緊張するな」と呟くと、蒼人が「大丈夫だよ。空ならすぐ慣れるさ。一緒に頑張ろう」と励ました。空の横顔をちらりと見つめ、その穏やかな表情に心が惹かれる。 道すがら、律が自転車で近づいてきた。ブレーキをかけ、制服のズボンが少し乱れ

  • 蒼人と空、君と過ごしたあの季節   5月の風と初めての約束

    4月も中旬になり、桜は散り始め、校庭には淡いピンクの絨毯が広がっていた。蒼人は朝、教室の窓からその景色を眺めながら、少しぼんやりしていた。隣の席の空とは、入学式から1週間ほど一緒に帰ったり、昼休みに弁当を交換したりする関係になっていた。まだ友達と呼べるほど親しくはないけれど、空の明るさがクラスを明るくするのを感じていた。「ソ:おはよー、蒼人! 今日、なんかいい天気だね!」 空が教室に入ってくると、いつもの元気な声が響いた。制服のネクタイが少し緩んでいて、髪は朝の風で少し乱れている。蒼人は顔を上げ、「うるさいな」と小さく呟きつつ、内心でその無造作な雰囲気に目を奪われた。 「ア:おは

  • 蒼人と空、君と過ごしたあの季節   春、君と隣の席

    桜の花びらが校庭を舞う、4月の入学式。新しい制服の襟が少し硬くて、蒼人はそわそわしながら体育館の椅子に座っていた。名前は山崎蒼人(やまさきあおと)、今日から中学1年生。少し内向的で、知らない人に話しかけるのは苦手だ。でも、どこかで期待していた。この新しい場所で、誰かと友達になれたらいいな、と。体育館の壇上では校長先生の話が続く。蒼人はぼんやりと周りを見回し、隣の席の男の子に目が留まった。少し日焼けした肌、くしゃっとした明るい笑顔。名前を呼ばれた瞬間、彼は「はい!」と元気よく返事をし、立ち上がって手を振った。会場が小さくどよめき、笑い声が響く。蒼人はその様子に、なんだか胸がざわついた。ああい

  • 蒼人と空、君と過ごしたあの季節   律の過去

    律の過去は、暗く重い影を帯びていた。彼は5年生の途中で蒼人と一緒の小学校に転校してきた。その背景には、前の学校でのいじめが原因で家族が引っ越した事実があり、新しい環境での再スタートを期待していた。しかし、律の小さな体と幼い顔立ちは、すぐに新たな標的となってしまった。卒業までの2年間の記憶は、律にとって忘れられないトラウマとして刻まれている。虐めの始まりは、転校初日のプールの授業だった。教室で水着に着替える際、緊張と見知らぬ環境への不安から、律の小さなモノが硬くなっている状態をクラスメイトに見つかってしまった。前の学校の名残でタオルを巻いて

  • 蒼人と空、君と過ごしたあの季節   宿泊学習の前夜、君に隠してた記憶

    宿泊学習の前日、蒼人は自分の部屋で準備を進めていた。部屋の窓からは初秋の涼しい風が流れ込み、カーテンがそっと揺れていた。机の上には宿泊学習のしおりが広げられ、持ち物リストにチェックを入れながら、蒼人は荷物をまとめていた。リュックには着替えやタオル、歯ブラシセットを詰め込み、最後に下着を選ぶためにクローゼットを開けた。 「ア:下着、何にしようかな。ソラに見られても恥ずかしくないやつがいいな」 蒼人はクローゼットから何枚かのボクサーパンツを取り出し、ベッドの上に並べた。黒のシンプルなもの、青のストライプ柄、そ

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status