蒼人と空、君と過ごしたあの季節

蒼人と空、君と過ごしたあの季節

last updateDernière mise à jour : 2025-09-12
Par:  ちばぢぃEn cours
Langue: Japanese
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中学1年生の蒼人(あおと)は、笑顔が眩しいクラスメイトの空(そら)と出会い、瞬く間に親友になる。同じ時間を重ねるうち、蒼人の心に芽生えたのは、友情を超える淡い恋心だった。照れくささと勇気の間で揺れる蒼人は、空の何気ない仕草や言葉に心を奪われながら、初めての恋に戸惑う。一方、空もまた、蒼人との特別な絆に気づき始め、互いの距離は少しずつ近づいていく。学園祭や部活、すれ違いと仲直りを通じて、二人は青春の喜びと切なさを味わう。入学から卒業までの3年間、純粋で不器用な初恋は、どんな思い出を刻むのか。あの頃の自分を思い出す、甘くほろ苦い男子中学生のラブストーリー。

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Chapitre 1

春、君と隣の席

桜の花びらが校庭を舞う、4月の入学式。新しい制服の襟が少し硬くて、蒼人はそわそわしながら体育館の椅子に座っていた。名前は山崎蒼人(やまさきあおと)、今日から中学1年生。少し内向的で、知らない人に話しかけるのは苦手だ。でも、どこかで期待していた。この新しい場所で、誰かと友達になれたらいいな、と。

体育館の壇上では校長先生の話が続く。蒼人はぼんやりと周りを見回し、隣の席の男の子に目が留まった。少し日焼けした肌、くしゃっとした明るい笑顔。名前を呼ばれた瞬間、彼は「はい!」と元気よく返事をし、立ち上がって手を振った。会場が小さくどよめき、笑い声が響く。蒼人はその様子に、なんだか胸がざわついた。ああいう人、友達になれたら楽しそうだな。

「ねえ、君、めっちゃ静かだね!」

入学式が終わり、教室に向かう廊下で突然声をかけられた。振り返ると、そこにはさっきの男の子がいた。蒼人は一瞬固まり、言葉を探す。

「ア:え、うそ、静かじゃないよ。普通、普通!」

慌てて答えると、彼はにっと笑った。

「ソ:ふーん、普通か! 俺、星野空(ほしのそら)! よろしくね、えっと…」

「ア:山崎蒼人。よろしく」

蒼人は少し緊張しながら名乗った。空は「蒼人、いい名前じゃん!」と気軽に言い、さっさと教室へ歩き出す。その背中を追いながら、蒼人は思う。なんでこんなに自然に話しかけてくるんだろう。なんか、変なやつ。

教室に着くと、担任の先生が黒板に座席表を貼り出した。1年A組、26人。蒼人は自分の名前を探し、窓際の後ろから2番目の席を見つける。隣を見ると、そこには「星野空」と書かれていた。

「ソ:お、蒼人! 隣じゃん! やった、よろしくな!」

空が教室に入ってくるなり、大きな声で言った。クラスメイトの視線が一斉に集まり、蒼人は顔が熱くなる。

「ア:う、うるさいって…静かにしてよ」

「ソ:えー、いいじゃん! 隣同士、運命感じるね!」

空は大げさにウインクし、席にドカッと座る。蒼人はため息をつきながらも、なんだか悪い気はしなかった。運命、なんて大袈裟な。でも、隣が空でよかったかもしれない。

最初のホームルームは、自己紹介とクラスのルール決めで賑やかだった。

空は自己紹介で

「サッカー大好き! みんなと仲良くしたい!」

と明るく話し、クラスの雰囲気を一気に和ませた。

蒼人は自分の番で

「えっと、山崎蒼人です…よろしく」と小さく言うのがやっとだったけど、

空が「蒼人、声ちっちゃいぞ!」と茶々を入れ、みんなが笑った。

恥ずかしかったけど、どこかホッとした。

空がいるだけで、クラスが明るくなる。

放課後、蒼人は教室の窓から桜並木を見ていた。新しい環境にまだ慣れず、ちょっと疲れた気分。そこへ、空が荷物を抱えてやってくる。

「ソ:蒼人、帰る? 一緒に帰ろうぜ!」

「ア:え、でも…家、どっちの方?」

「ソ:俺、東の方! 蒼人は?」

「ア:俺も東…かな。じゃ、いいよ」

蒼人は少し迷ったけど、空の笑顔に押されて頷いた。二人で校門を出ると、桜の花びらがふわりと舞う。春の風が柔らかくて、蒼人の緊張を少し解いてくれた。

帰り道、空はまるで昔からの友達みたいに話し続けた。好きなサッカーチームのこと、昨日見たアニメのこと、コンビニで新発売のスナックのこと。蒼人は相づちを打ちながら、時々小さく笑った。空の話は単純で、でも妙に楽しくて、聞いているだけで気分が軽くなる。

「ソ:なあ、蒼人ってさ、なんか落ち着くんだよな。話してると、ほっとするっていうか」

空が急に真面目な顔で言った。蒼人はびっくりして、思わず立ち止まる。

「ア:え、なにそれ。急に変なこと言うなよ」

「ソ:変じゃないって! ほんとほんと! 蒼人、いいやつっぽいもん」

空はケラケラ笑いながら、蒼人の肩を軽く叩いた。その手が触れた瞬間、蒼人の胸が小さくドキッとした。なに、これ。変な感じ。蒼人は慌てて目を逸らし、歩き出す。

家に着く頃には、夕焼けが空をオレンジに染めていた。空の家は蒼人の家から少し離れたアパートで、「じゃあ、また明日な!」と手を振って別れた。蒼人は一人、部屋に戻ってカバンを下ろす。机の上には新しい教科書と、入学式でもらったクラスの名簿。そこに「星野空」の名前を見つけて、なぜかじっと見てしまった。

夜、夕飯の支度をする母に、蒼人は何気なく話した。

「ア:今日、クラスで隣の席のやつ、めっちゃ明るいんだよね」

「母:へえ、どんな子?」

「ア:うーん、なんか…太陽みたい。話してると、元気出るっていうか」

母は笑いながら、「いい友達ができそうね」と言った。蒼人も笑ったけど、心のどこかで、さっきのドキッとした感覚を思い出していた。友達、だよな。まだ会ったばかりなのに、なんでこんなに気になるんだろう。

次の日、朝の教室で空はまた大きな声で「蒼人、おはよー!」とやってきた。蒼人は「うるさい」と文句を言いながら、でも内心ちょっと嬉しかった。授業中、空がこっそりメモを渡してきた。そこには「昼、弁当一緒に食おうぜ」と殴り書き。蒼人は小さく頷き、メモを握りしめた。

昼休み、二人で教室の隅に座って弁当を広げた。空の弁当は唐揚げが山盛りで、蒼人の卵焼きと交換しようと言い出す。

「ソ:なあ、蒼人の卵焼き、めっちゃうまそう! 一つくれよ!」

「ア:え、じゃあ…唐揚げ、くれる?」

「ソ:おっ、取引成立! はい、ほら!」

空は笑いながら唐揚げを箸でつまんで、蒼人の弁当にポンと置いた。蒼人も卵焼きを渡し、二人で笑い合う。その瞬間、教室の喧騒が遠く感じられた。まるで、世界に二人だけみたいな、不思議な時間。

放課後、また一緒に帰った。空は昨日よりさらにリラックスして、蒼人にいろんな質問を投げてくる。好きなゲーム、好きな食べ物、どんな音楽を聴くか。蒼人は最初は戸惑ったけど、だんだん自分のことを話すのが楽しくなってきた。空はどんな話でも「マジ? それいいな!」と目を輝かせて聞いてくれる。

「ソ:なあ、蒼人。俺、なんかさ、君といるとすげえ楽しいわ」

空が夕陽を背に、ふと言った。蒼人はまた胸がドキッとして、言葉に詰まる。

「ア:…俺も、楽しいよ。空といると」

やっと絞り出した言葉に、空は「だろ? 俺ら、絶対いいコンビだよ!」と笑った。その笑顔が、桜の花びらより眩しくて、蒼人は目を細めた。

家に帰って、蒼人はベッドに寝転がって天井を見た。まだ中学校生活は始まったばかり。クラスには知らない子ばかりで、先生も、勉強も、全部が新しい。でも、空がいる。それだけで、明日がちょっと楽しみだった。

「ア:星野空、か…」

小さく呟いて、蒼人は名簿を手に取った。空の名前を指でなぞりながら、なぜか笑顔になった。友達、だよな。でも、どこかで、ほんの少し、違う気持ちが芽生え始めていることには、まだ気づいていなかった。

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梅雨のグラウンド、君と触れた距離
6月中旬、梅雨の季節がやってきた。校庭は雨に濡れ、教室の窓には水滴がぽたりと落ちる日々が続いていた。蒼人と空はサッカー部での活動を通じてますます仲を深めていたが、雨のせいでグラウンドでの練習ができない日は、体育館で基礎練習やミーティングが行われた。蒼人は最近、空と過ごす時間が長くなるほど、自分の気持ちが「友達以上」だと確信しつつあった。でも、それを認めるのはまだ怖かった。ある雨の日、体育館でのサッカー部の練習中、蒼人と空はいつものようにペアでパス練習をしていた。体育館の床は少し滑りやすく、蒼人はボールを蹴るたびに慎重になっていた。 「ソ:蒼人、もっと強く蹴ってみて! 俺、ちゃんと受け止めるからさ!」 空が笑顔で言う。蒼人は少し緊張しながらボールを蹴ったが、力加減を間違えてボールが空の足元を通り過ぎ、体育館の隅に転がった。 「ア:あ…ごめん、強く蹴りすぎた…」 蒼人が慌てて謝ると、空が「いいよ、俺が取ってくる!」と走ってボールを拾いに行った。戻ってきた空は、汗で少し濡れた髪を指でかき上げながら、蒼人のすぐそばに立った。 「ソ:ほら、蒼人! もう一回だ!」 空がボールを渡そうと近づいた瞬間、体育館の床が滑り、空がバランスを崩して蒼人に倒れ込んだ。蒼人も咄嗟に受け止めようとして、二人で床に倒れ込んでしまった。 「ア:うわっ…! 空、大丈夫…?」 「ソ:う、うん…ごめん、蒼人。滑っちゃった…」 二人は体育館の床に座り込んだまま、顔を見合わせて笑った。蒼人は空が自分に覆いかぶさるような形で近くにいることに気づき、心臓がドキドキした。空の汗とユニフォームの匂いが混じり、蒼人の顔が熱くなる。 「ソ:蒼人、顔赤いよ? 怪我した? 大丈夫?」 空が心配そうに蒼人の顔を覗き込む。距離が近すぎて、蒼人は慌てて目を逸らした。 「ア:だ、大丈夫…! ちょっと暑いだけ…離れてよ…」 「ソ:えー、でもさ、蒼人の顔、めっちゃ可愛いなって思ったんだから!」 空が笑いながら言うと、蒼人はさらに顔が熱くなり、空の肩を軽く押した。 「ア:やめてよ、そういうこと言うの…恥ずかしいって…」
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7月の教室、君と向き合った試練
蒼人と空は初めての試合を終え、サッカー部での絆をさらに深めていた。試合でのパスやハグを通じて、蒼人は空への恋心を「本当に好きだ」と自覚し、空もまた蒼人との時間を大切にしていた。しかし、そんな二人の関係に、思いがけない試練が訪れることになる。 月曜日の朝。週末の試合の余韻に浸ってた蒼人は、いつも通り教室に入った。空はすでに席についていて、蒼人を見つけると元気に手を振った。 「ソ:おはよー、アオ! 試合、楽しかったな! 今日も部活頑張ろうぜ!」 「ア:おはよう…うん、楽しかった。ソラ、試合後の筋肉痛は?」 「ソ:はは、ちょっと痛いけど大丈夫! アオは?」 「ア:俺も…でも、ソラと一緒なら頑張れるよ」 二人が笑い合う中、クラスメイトの佐藤がニヤニヤしながら近づいてきた。佐藤は試合当日、サッカー部の応援に来ており、試合後の蒼人と空がハグしてる場面を直接目撃していた。 「サ:お前ら、試合の後、めっちゃイチャイチャしてたな! 俺、しっかり見てたぞ。やっぱりBLカップルだろ?」 「ソ:バカ言うな! 俺ら、友達だよ! 普通だろ!」 空が笑いものにするけど、佐藤はさらに話を煽るように続けた。 「サ:いやいや、俺、試合後の2人がハグしてるの見たんだから! あれ、絶対ただの友達じゃないって。クラスのみんなにも話してきちゃった!」 蒼人は顔が熱くなり、俯いた。佐藤の軽いノリが、嫌な予感をさせた。試合の日に佐藤がいたことは覚えていたが、まさかそんな風に見られていたとは思わなかった。 朝のホームルームが始まる前、クラスの雰囲気がいつもと違うことに蒼人は気づいた。女子生徒たちがひそひそ話をし、時々蒼人と空の方を見ては笑っている。蒼人が不思議に思っていると、廊下から騒ぎが聞こえてきた。クラスメイトの一人が慌てて教室に入ってきて、叫んだ。 「生徒:大変だ! 学校中にビラが貼られてる! 蒼人と空がBLカップルだって書いてあるんだって!」 クラスが
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7月の終業式、君に伝えた本当の気持ち
7月下旬、夏の暑さがピークに達する中、学校は終業式を間近に控えていた。サッカー部はというと中体連の試合に向けてハードな練習が続いていた。グラウンドでは部員たちが汗を流し、顧問の田中先生が「あと1週間で試合だ! 気を抜くな!」と声を張り上げていた。しかし、その中に蒼人の姿はなかった。蒼人は最近、学校を休む日が増えていた。ビラ騒動以来、周囲の視線や噂が気になり、心が重くなっていた。サッカー部の練習にも顔を出さず、クラスメイトの佐藤も「蒼人、どうしたんだろ…」と心配そうに呟くほどだった。 空は蒼人の不在に強い不安を感じていた。試合の練習中も、蒼人がいないグラウンドがどこか寂しく感じられた。 「ソ:…アオ、なにがあったんだよ…」 空が独り言のように呟くと、先輩が「星野、集中しろ! 山崎がいなくて寂しいのはわかるけど」と声をかけた。空は頷きながらも、心の中は蒼人でいっぱいだった。 終業式の前日。空は我慢できなくなり、蒼人の家を訪ねることにした。サッカー部の練習が終わった後、汗だくのまま自転車を漕ぎ、蒼人の家に向かった。夕陽が町をオレンジ色に染める中、蒼人の家のインターホンを押した。 「ソ:…アオ、いるか? 俺だ、ソラだよ」 しばらくして、蒼人の母がドアを開けた。 「母:あら、空くん。蒼人なら、部屋にいるわ。…最近、元気がないから、空くんに会えば少しは元気になるかもしれないわね」 「ソ:ありがとうございます。俺、アオに会いたいんです」 蒼人の母に案内され、空は蒼人の部屋の前まで来た。ドアをノックすると、小さな声が返ってきた。 「ア:…誰? 母さん?」 「ソ:俺だよ、ソラ。入っていいか?」 ドアがゆっくり開き、蒼人が顔を出した。蒼人はパジャマ姿で、目が少し赤く、明らかに元気がなかった。 「ア:…ソラ、なんで…? 練習は?」 「ソ:練習終わったよ。アオが最近来ないから…心配でさ。会いたかったんだ」 蒼人は目を逸らし
last updateDernière mise à jour : 2025-06-08
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