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第3話

Penulis: こぶたまんまん
目が覚めたのは、3日目の朝だった。

ベッド脇のテーブルにあるスマホを、やっとの思いで手に取り、ロックを解除した。24時間以上眠っていたのに、アプリの通知が数件あるだけだった。

直哉からの不在着信も、メッセージもない。トーク履歴は送金のところで止まったまま、何も言わずに私をあざ笑っていた。

彼のSNSを開くと、10分前に数枚の写真が投稿されていた。まだ莉奈のマンションにいた。

暖かな黄色い明かり。床一面に広がる色とりどりのアイロンビーズ。直哉はカーペットに座り、ピンセットを手にしていた。灯りの下で何かに集中する横顔は、とても穏やかで優しかった。

【どこかの誰かが、完成するまで寝ないって。こだわりが強すぎるので、徹夜に付き合ってます】

投稿の下には、共通の知人たちのいいねと、はやし立てるコメントが並んでいた。

【ごちそうさま。見せつけてくれるね】

【直哉って、こんなに気が長かったっけ?莉奈さん、すっかり手なずけたな】

【もう早く一緒になっちゃいなよ。結婚式はいつ?】

【こういうのが本当の愛だよね】

莉奈が「アイロンビーズって面白そう」とひと言言えば、直哉は覚えている。道具をひと通り買いそろえ、いく晩も彼女の作業に付き合う。

夜中に街の西側の店のおしるこが食べたいと言えば、街を大きく横切ってまで、車で買いに行った。彼女が風邪で熱を出せば、億単位の契約さえ後回しにして、一晩中ベッドのそばにいた。

莉奈の過去の投稿をたどっていくと、恋の日記を開いているようだった。分厚いその日記は、かつて私のものでもあった。

20歳の直哉も、19歳の私のためなら何も惜しまなかった。婚約を破棄して家を追い出されたときは、バイトを3つ掛け持ちして、ダイヤの指輪を買ってくれた。

けれど今、画面を指で送り、写真を1枚ずつ見ていくうちに、気づいてしまった。いつからだろう。彼の薬指から、結婚指輪が消えていた。

もう見ていられなかった。力が抜け、何も考えられなくなった。

薬の効き目が薄れ、喉がからからだった。水が飲みたい。でも、痛くてベッドから下りられない。

再び襲ってきた激痛が、痛み止めでようやく引いたところへ、直哉から電話がかかってきた。

「今夜、実家で食事だ」

いつもどおりの、冷たい声だった。私はしばらく黙ってから答えた。

「体調が悪いの」

向こうで、鼻で笑う気配がした。

「この前は脚で、今度はどこが痛いんだ?いくら欲しい?紗夜、脚が折れたわけでもないなら来いよ。自分の立場を忘れるな」

電話が切れた。

ふと、笑いたくなった。こんなことなら、脚を切ってしまえばよかった。脚がなければ、嫌われに行かずに済んだのに。

ベッドの縁に手をついて起き上がり、ようやくシーツの暗赤色の染みに気づいた。血だった。数秒見つめたあと、黙って倍の量の薬を飲み、着替えて出かけた。

篠宮家の屋敷のリビングは、いつもどおり笑い声に満ちていた。シャネルのスーツを着た莉奈が、直哉の祖母の隣に座っている。

――この家の若奥様がいるはずの場所に。

私が入ったとき、莉奈は祖母にみかんを食べさせていた。祖母は上機嫌に笑っている。直哉は反対側の1人掛けのソファで、スマホに目を落としていた。

私の姿に、にぎやかさが一瞬だけ途切れた。

使用人が長い食卓の一番端の椅子を引いた。私はうつむいて腰を下ろした。上座までは、ひどく遠かった。

女たちはまた宝石やバッグの話を始めた。もう誰も私を見なかった。

席についてまだ間もないのに、脚の骨の奥から鈍い痛みがまた広がり始めた。額に冷や汗が浮かぶ頃になって、祖母はようやく食卓の端にも人がいると思い出したらしい。眉をひそめた。

「紗夜、まだ子供はできないの?もう3年よ。篠宮家は、子供も産めない嫁を養うつもりはないんだけど」

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