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第12話(28)

Author: 北川とも
last update publish date: 2026-01-12 20:00:28

 料理が美味しかったこともあり、すっかり食べ過ぎた和彦だが、デザートを前にしても手と口を止めることはできなかった。

 杏仁豆腐のさっぱりとした甘さと滑らかな舌ざわりを、中嶋とともに褒め合ったところで、この食事のメインへと入る。

「――で、話というのは?」

 さりげなく和彦が切り出すと、フルーツを食べた中嶋が片方の眉を動かしてから、ナプキンで口元を拭った。

「実は、先生の送迎をするのは、今日で最後になります」

「……突然だな」

 中嶋はちらりと笑みを浮かべる。

「少しは、寂しいと思ってくれますか?」

「君とは、ジムでけっこう顔を合わせているしな。どうだろう……」

「そうですね。俺と先生は、健全なジム仲間ですから」

 これは中嶋なりの冗談なのだろうかと、和彦は首を傾げる。ここで中嶋は表情を一変させ、真剣な顔となる。ビジネスライクなヤクザの顔ともいえる。

「端的に言うなら、出世したんです。いままでの俺は、組預かりということで、何をするにも、総
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