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第15話(9)

Author: 北川とも
last update publish date: 2026-02-01 17:00:36

 察するものがあり、和彦は反射的に立ち上がろうとしたが、遅かった。中嶋に腕を掴まれて引っ張られる。

「おいっ……」

「先生は、俺を慰めるのが得意でしょう」

「いつ、そうなった」

「先日、先生に慰めてもらったときに」

 悪びれた様子もない中嶋を睨みつけた和彦だが、本気で怒るつもりはない。こういう甘さを、中嶋に――ヤクザに見透かされてしまっているのだから、勝ち目があるはずもなかった。

 空になったペットボトルを傍らに置くと、待っていたように中嶋に抱き寄せられる。和彦はおとなしく中嶋の両腕の中に閉じ込められながら、どうしよう、と心の中で呟いた。

 中嶋が嫌な男であれば、大声を出すなり、抵抗するのは簡単なのだ。しかし中嶋は、少なくとも和彦の前では、そんな面は見せない。それどころか、ひどく危うい部分を見せ、放っておけない。自戒していたつもりだが、中嶋と秦の事情に深入りしすぎたのだ。

「……そこまで思い詰めるぐらいなら、自分の気持ちを素直に言ったらどうだ」<
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    last updateLast Updated : 2026-03-28
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