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第19話(15)

Author: 北川とも
last update publish date: 2026-03-11 20:00:24

 大きさと重さから、中に何が入っているのか推測しているうちに、コーヒーが運ばれてくる。和彦はすぐに箱を袋に戻した。

「……お前を呼び出すことを承諾したとき、条件として、監視や尾行はつけないでくれと頼んだ。それと今後、佐伯家の都合では動かないことも言っておいた。もう少し気楽な気分で、お前と会って話したいからな」

 ここで澤村は大きく息を吐き出し、視線を遠くへと向けた。

「大人の男が、自分の考えで姿を隠して、肉親と連絡を取りたがらないんだ。もう俺は、とやかく言わねーよ。お前が巻き込まれたトラブルは気になるが、拉致・監禁って物騒な事態になってるわけじゃないのは、とっくにわかってるしな」

 その物騒な事態に、限りなく近い目に遭ったことはあるが、澤村に話す必要はないだろう。少なくとも今の和彦は、複数の男たちによって大事に扱われている。ただし、物騒な世界で。

「だから、最後にもう一度だけ言っておく。――家族である限り、会ってじっくりと話し合ったほうがいい。お前と家族の間にどんなわだかまりがあるのか知らないが、それに
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     南郷に対して怒りはあるが、自ら罰を与えようと考えたことはなかった。守光が最善の手段へと導いてくれると、心のどこかで期待をしていた。しかし、これは――。 和彦の返事次第では、二つの組織だけではなく、父子関係の不和すら生みかねないと、言外に仄めかされているようだった。守光は、和彦から欲しい返事をもぎ取ろうとしているのだ。この場にはいない賢吾も。 ぐっと奥歯を噛み締めた和彦は、いまさらながら、自分がどれほど怖い男たちの〈オンナ〉であるのか、痛感していた。大事にしてくれてはいるが、一方で、自分たちが背負う組織のために、どこまでも傲慢で容赦なく振舞う。 それでも和彦は身を委ねるしかないのだ。「――……助言を、いただけないでしょうか。どうすれば、影響を最小限に抑えて、なおかつ、誰にも口出しをさせないほど、きちんとケリをつけられるのか。そんな方法があるのでしょうか?」「簡単だ。南郷を跪かせるといい」 事も無げに告げられ、静かな衝撃が胸に広がる。「ひざま、ずかせる……?」「あの男の土下座は、価値がある。――南郷が小さな組の組長代行を務めていた頃、その土下座で揉めに揉めてな。南郷は、親ともいえる組長の面子を潰した挙げ句、結局総和会が介入する話にまでなった。結果が、今の立場だ」 その今の立場を守るために、南郷は和彦の要求を呑むか否か、試せというのだ。しかし守光には確信があるのだろう。南郷は、和彦に詫びるために跪くと。それで、すべてケリがつくと。 頭が、考えることを放棄したがっていた。南郷にそこまでさせてしまうことで、どういう結果が生まれるのか、想像するのが怖かったのだ。不穏なものを感じながらも、しかし他に手段も思いつかない。 和彦は、守光に頭を下げた。「すべて、お任せします。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」「あんたが頭を下げる必要はない。今回の件は、こちらの不始末だ。それを円満に解決するために、あんたの手を借りる。面倒だと思うかもしれんが、この世界で円滑に物事を進めるには、取り繕うべき形が必要なんだ」「……そのことを

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  • 血と束縛と   第3話(5)

     和彦は最初、性質の悪い男なりの笑えない冗談かと思ったが、そうではないようだ。  指先に唇を割り開かれ、押し込まれる。舌を刺激され、口腔から出し入れされるようになると、和彦も言われたわけではないが賢吾の指を吸い、舌を絡める。賢吾のものをそうして愛撫したように。賢吾の腰の動きが次第に同調し、内奥から逞しいものを出し入れされる。  指ではなく、口づけが欲しいと率直に思った。和彦がおずおずと片手を伸ばすと、口腔から指が引き抜かれ、甘く残酷に囁かれる。 「さあ、どうするんだ? 俺は名前を呼ばれないと、お前の欲しいものはやらないぞ。もうこっちには、お前の欲しいも

    last updateLast Updated : 2026-03-18
  • 血と束縛と   第2話(23)

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    last updateLast Updated : 2026-03-18
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    last updateLast Updated : 2026-03-18
  • 血と束縛と   第3話(28)

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    last updateLast Updated : 2026-03-18
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