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第24話(24)

Author: 北川とも
last update publish date: 2026-04-11 17:00:56

「……ヤクザの組長が、ずいぶん可愛いことを言うんだな」

 さらりと軽口で応じた和彦を、なぜか賢吾がまじまじと凝視してくる。機嫌を損ねたかと一瞬緊張したが、どうやらそうではないようだ。

「俺相手に『可愛い』なんて単語を使うのは、先生ぐらいのものだろうな。オヤジですら、言ってくれたことはないぞ」

「言ってもらいたかったのか……」

 賢吾は唇の端に微苦笑らしきものを刻み、わざわざ後部座席のドアを開けてくれる。おとなしく乗り込んだ和彦だが、車が走り出した方向を確認してから、たまらず賢吾に問いかけた。

「次は、どこに行くんだ?」

「ついてからのお楽しみだ」

「帰りが遅くなるんじゃ――」

「先生は何も心配しなくていい」

 別に心配はしていない、と心の中で応じた和彦は、ウィンドーの向こうを流れる景色に目を向ける。

 夕方になり、少しずつ気温が下がってきたが、車内はほどよく暖房が効き、しかも食後だ。歩き回ったことによる軽い疲労感もあり、急速に
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