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第4話(30)

Author: 北川とも
last update publish date: 2025-11-08 08:00:29

 見られることにすら感じてしまい、悩ましい吐息をこぼした和彦は顔を背ける。そこに、しなやかな獣のように千尋が傍らに這い寄ってくる。和彦は両腕を伸ばして千尋の頭を抱き締めると、言葉を交わすより先に濃厚な口づけを交わしていた。

「んうっ」

 賢吾の逞しい欲望が内奥に挿入されてくる。緩やかに腰を動かす賢吾の手に和彦のものは握り締められ、律動に合わせて上下に擦られていた。

「んんっ、んっ、んあっ」

 和彦が喘ぎ始めると、千尋の唇が首筋に這わされ、肩先に軽く歯を立てられてから、胸の突起を舌先で弄られる。そっと頭を撫でてやると、顔を上げた千尋が嬉しそうに笑いかけてくる。

「――先生は本当に、うちのバカ息子に甘いな」

 賢吾の言葉に、千尋が得意げに言い返す。

「羨ましいか、クソオヤジ」

「あいにく、俺も今、先生の尻でたっぷり甘やかせてもらってるからな」

 そう言って賢吾に内奥を突き上げられながら、さきほど風呂場で宣告されたように、柔らかな膨らみをやや力を入れて揉みしだかれる。

「ああっ、あっ、い
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  • 血と束縛と   第25話(22)

     忘れてならないのは、同じ店で和彦は、秦に薬を飲まされて淫らな行為に及ばれたことがある。あの頃はまだ秦の正体も知らず、律儀に敬語を使って話していたのだ。 それが今では――。 自分の痴態も含めていろいろと脳裏に蘇り、危うく体温が上がりそうになった和彦は、慌てて頭から追い払う。『予定では一か月ほど店を閉めることになるので、昨夜はお客様たちを招いて、派手に騒いだんです。そして今夜は、わたしも経営者という肩書きを忘れて、先生と楽しく飲みたいと思いまして』「……今回も、中嶋くんは?」 和彦の問いかけをどう受け止めたのか、電話の向こうから微かに秦の笑い声が聞こえてくる。『残念ながら、中嶋は今夜は仕事だそうです。――大丈夫。中嶋がいないからといって、先生に変なことはしませんよ』「そんなことは心配していないっ」『でしたら、おつき合いいただけますか?』 秦は、和彦が断るとは思っていない口ぶりだった。和彦の機嫌が悪いと聞かされながら、あえて電話をかけてきたぐらいだ。やはり賢吾から、気分転換させてやれとでも言われているのかもしれない。「――つき合ってもいい」 そう和彦が答えると、また電話の向こうから、秦の笑い声が聞こえてきた。『料理や酒を準備しておきますから、いつでもいらしてください。あっ、護衛の方の分も用意しておきますよ。中嶋が一緒じゃないので、護衛をつけないと夜遊びはできないでしょう、先生は』 気が利くなと呟いて、電話を切る。和彦は携帯電話を握ったまま、すぐには動き出さず、ぼんやりとしてしまう。 秦の優しい口調で問われると、言わなくていいことまで話してしまいそうで、隠し事をしているときに会うには、意外に厄介な相手だ。やはり断ればよかっただろうかと、ちらりと頭の片隅で考える。 しかし、秦はどこまでも気が利いていた。握っていた携帯電話が再び鳴り、和彦は反射的に電話に出る。今度は、いつも護衛を務めている組員からだった。 すぐに出発しますかと問われ、力なく笑ってしまう。「三十分後に迎えに来てくれ」 そう答えて電話を切ると、今度こそ立ち上がった。

  • 血と束縛と   第25話(21)

     もう二度と、あんな怖い目には遭いたくなかった。本来であれば、たった一度であろうが和彦が遭遇するはずのない事態だったのだ。 なんといっても和彦は、長嶺の男たちの〈オンナ〉だ。 その、長嶺の男たちに何も告げていないのには、理由がある。特に、賢吾には打ち明けたくなかった。 賢吾に隠し事はしないと心に決めたが、今回はいままでとは状況が違う。これまでの隠し事は、いわば保身ゆえの行動だったのに対し、和彦と南郷の間で起きた出来事は、一度公になれば、個人ではなく、長嶺組と総和会という組織の問題となる危険を孕んでいる。 男たちは事を荒立てない方法をいくらでも知っているだろうが、和彦の脳裏に浮かぶのは、花見会での賢吾と南郷が顔を合わせたときの光景だった。 あの場にいた者ならば――和彦以外の人間でも、どんな小さな諍いの火種も、この二人の間に作ってはいけないと感じるはずだ。 当人たちが何よりそれを知っているはずなのに、南郷は行動を起こしたのだ。よりにもよって、守光と同じ手段を使って。 南郷は、裏の世界での和彦という存在をよく把握している。抗えない力に対して逆らわず、巧く身を委ねるという気質も含めて。だからあえて、和彦を拘束することも、暴力を振るうこともなく、易々と動きを封じ込めたのだ。 和彦は激怒しているが、その感情は南郷だけではなく、自分自身にも向いていた。同時に、羞恥し、困惑もしている。 南郷の行為に、〈オンナ〉とはこうやって扱っていいものだと、現実を見せつけられた気がした。「――佐伯先生」 組員に呼ばれて顔を上げる。車が雑居ビルの前にちょうど停まるところだった。 和彦は促された外に出ると、やや緊張しながら、組員がドアを開けてくれた後部座席を覗き込む。そこには、誰も乗っていなかった。 こんなことでビクビクしている自分に忌々しさを覚えながら、何事もなかった顔をして和彦は車に乗り込む。すぐにドアは閉められ、速やかに車は走り出した。**** 目を通していたファイルを閉じて、何げなく時間を確認する。驚いたことに、もう夕方と呼べる時間だった。 

  • 血と束縛と   第25話(20)

    **** 男の腹部を慎重に押さえ、不自然な張りがないことを確認した和彦は、次に、手術の傷を覆っている大きなガーゼを剥がす。腸閉塞という事態には見舞われたものの、傷口は化膿しなかったようだ。 この調子なら、もう何日かすれば抜糸ができるだろうと思いながら、消毒をして、新しいガーゼを貼る。「手術の経過は問題なし。それと腸閉塞のほうも、便が出たと報告を受けたので、ひとまず安心はしていいだろう」 大人用のオムツをつけた患者の男は、やれやれ、という表情となる。内心では、和彦も同じ気持ちだ。 このとき、治療した側・された側と、まったく違う立場でありながら、同じ気持ちを共有したであろう二人の目が合う。 総和会に匿われる身で、暴漢に襲われて重傷を負うという凄まじい経験をした男は、いかつい顔に似合わない、妙に愛嬌のある笑みを浮かべ、軽く頭を上下に動かす。喉が渇ききって声が出せないなりに、和彦に対して感謝の気持ちを示したらしい。「……まだ油断はできない。手術のためにけっこう腹の中を弄ったから、またどんな影響が出るかわからないんだ。もう何事も起こらないかもしれないし、再発するかもしれない。なんにしても、腹の傷が完全に塞がるまでは様子見だ」 男に対してだけ説明しているわけではなく、ベッドの傍らに立つ監視役の組員にも聞かせているのだ。 和彦は輸液の確認をしてから、必要事項をメモ用紙に書き込む。「明日から、水分を口からとることにしよう。ただし一日で採れるのは、カップ一杯――の半分だけ。あくまで口を湿らせる程度に。引き続き、尿と便の様子を観察してほしい。何かあれば、連絡を」 淡々と告げてメモ用紙を一枚破ると、素っ気なく組員に押し付ける。和彦の態度に驚いたように目を丸くしたが、頭を下げて受け取った。「お疲れ様でした。車を呼びますから、コーヒーでも飲んでお待ちください」「――もし、呼んだ車の後部座席に誰か乗っていたら、タクシーで帰るからな」 和彦は、冷然とした眼差しを組員に向ける。普段であれば、こんな眼差しを他人に向けることはないのだが、この場所にいて

  • 血と束縛と   第25話(19)

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  • 血と束縛と   第25話(18)

     なぜこんなことを、と頭が混乱していた。それ以上に和彦を混乱させるのは、侵入者がなぜ、守光の取った方法を知っているのかということだった。眠っている和彦の元に忍び寄り、布で視界を覆うと、言葉を発することなく体をまさぐる。当然、和彦が抵抗できないことを知ったうえで。 患者の容態の急変は偶発的なものだが、今、和彦の身に起こっていることは、あまりにできすぎている。まるで事前に打ち合わせをしていたかのように。 熱い舌にベロリと胸の突起を舐め上げられ、小さく声を洩らした和彦は反射的に、侵入者の肩を押しのけようとする。大柄な体つきであることが容易に想像できる、逞しい肩だった。 和彦のささやかな抵抗を嘲笑うように、露骨に濡れた音を立てて胸の突起を吸われ、しゃぶられる。あっという間に熱をもった突起は、荒々しい愛撫になすすべもなく敏感に尖り、和彦にとって馴染みすぎている感覚を生み出してしまう。 両膝を掴まれて左右に大きく開かれ、腰を割り込まされる。侵入者がどういう意図で和彦に触れているか知らしめるように、硬いものを両足の間に押しつけられた。布越しとはいえ、はっきりと欲望の形を感じ取り、和彦は激しく動揺する。「や、め――」 上げかけた声は、再び唇を塞がれて抑え込まれる。唇と唇の間にある布のおかげで、相手の舌が口腔に侵入してくることはないが、唇をなぞる舌の動きは伝わってくる。あからさまに和彦を威嚇していた。 再び欲望を掴まれて扱かれながら、もう片方の胸の突起を口腔に含まれる。感じやすい先端を指の腹で擦られて腰を跳ねさせると、胸の突起をきつく吸い上げられてから、舌先で転がされる。 粗野で荒っぽい愛撫を執拗に与えられ、最初は頑なに体を強張らせていた和彦だが、侵入者の手が柔らかな膨らみにかかったところで、弱さを見せてしまう。「ひっ……」 潰されるかもしれない恐怖と、何度味わっても慣れない強烈な感覚への期待に、心が揺れていた。その瞬間を相手は見逃さなかった。 上体を起こした侵入者に片足をしっかりと抱え上げられ、大きな手に柔らかな膨らみを包み込まれる。「ううっ」 思いがけず巧みに指が蠢く。柔らかな膨らみを揉みしだ

  • 血と束縛と   第25話(17)

     せめて、賢吾にメールを送っておこうと思いはするものの、体がもう動かない。ふっと和彦の意識は遠のく。 普段であれば、このまま深い眠りについてしまうはずなのだが、意識の一部はひどく研ぎ澄まされている。慣れない場所で一人ということもあり、絶えず辺りの様子をうかがっているのだ。 総和会の男たちが同じ階に控えていて、何か起こるはずもないのに――。 自分が起きているのか眠っているのかわからない状態に陥り、浸っていると、前触れもなく異変は起こった。 マットの傍らに誰かが立っている気配を感じたのだ。 本能的な怯えから和彦は体を強張らせる。次にどんな行動を取るか、ほんの数瞬の間に考えて実行に移そうとしたが、その前に動けなくなった。顔全体にふわりと柔らかな感触が触れたからだ。それが薄い布の感触だとわかったとき、和彦の中で蘇ったのは、守光宅の客間での出来事だった。 驚きと戸惑いによって和彦が動けないのをいいことに、侵入者はいきなり大胆な行動に出る。マットの上に上がり、和彦の体にかかった毛布を剥ぎ取ったのだ。 急速に恐怖に支配され、顔にかかった布を外そうとしたが、すかさず片手で手首を掴まれてマットに押さえつけられる。大きくて力強い男の手だった。和彦の手首を折るぐらい簡単にできそうだ。言葉も発さない相手の意図を察し、和彦はささやかな抵抗すらできなくなる。 トレーナーの下に分厚く硬い手が入り込み、肌をまさぐられる。生理的な反応から鳥肌が立つが、相手は意に介さず、トレーナーをたくし上げて、無遠慮に撫で回してくる。手つきも、手の感触すらもまったく違うというのに、和彦の存在を探るかのように触れてきた守光のことが、頭から離れない。 手つきの荒々しさとは裏腹に、男は時間をかけて和彦の体に触れてきた。そして興味をひかれたように、胸の突起を特に念入りに弄り始める。 てのひらで捏ねるように転がされ、自分ではどうしようもできない反応として硬く凝ると、指の腹で押し潰され、再び反応を促すように乱暴に摘み上げられて、引っ張られる。痛みに小さく呻いた和彦は、ここでようやく、頑なに閉じたままだった目を開けた。 薄い布を通した電気の光に、一瞬目が眩む。だがすぐに、自分の上に馬乗りになっ

  • 血と束縛と   第11話(10)

     そのとき、一際華やかな歓声が耳に届き、反射的に振り返る。どうやら、他の広間でも結婚披露宴が行われるらしく、こちら同様、招待客が集まっているのだ。 男性客の服装は、和彦も含めてどうしても限られているが、それに比べて女性客の服装は、ドレスや着物にスーツと、目で楽しませてくれる。感じる華やかさの大部分は、彼女たちのおかげだなと、和彦はつい表情を和らげる。しばらくこんな場とは無縁だったため、いい気分転換にもなっていた。 ここで、受付の開始を告げるアナウンスがあり、招待客が静かに移動を始める。和彦も立ち上がると、ジャケットの裾を軽く引っ張りながら、服装が乱れていないか確認

    last updateLast Updated : 2026-03-27
  • 血と束縛と   第11話(17)

     内奥から指が引き抜かれ、恫喝するように鷹津の熱い高ぶりが擦りつけられる。内奥の入り口をわずかに押し開かれたところで、和彦は悔しさを噛み締めながら震える舌を差し出し、鷹津にむしゃぶりつかれた。 痛いほど舌を吸われながら、握り締められたものを手荒く扱かれると、先端から透明なしずくをはしたなく滴らせる。吐き気と、否応なく引き出される快感が、交互に和彦を責め苛んでいた。 そんな和彦が見せる表情と反応に、明らかに鷹津は興奮している。「この状況でも、やっぱり感じるんだな。――淫乱」 獣じみた口づけの合間に下卑た口調で囁かれ、また少し内奥の入り口をこじ

    last updateLast Updated : 2026-03-27
  • 血と束縛と   第11話(33)

    **「――ごちそうさまでした」 箸を置いた和彦が手を合わせると、小さなテーブルの向かいに座り、ずっと物言いたげな顔をしていた三田村が、やっとちらりと笑みをこぼす。「お粗末でした」「美味しかった。若頭補佐お手製のヤキソバは」 明らかに動揺した三田村が咳き込み、まるで急き立てられるようにテーブルの上を片付けると、キッチンに行く。こちらに背を向け、慌ただしく洗い物を始めてしまった。和彦は必死に笑いを堪えながら、声をかける。「手伝おうか?」「それより先生は、シャワーを浴びてきてくれ。その間に、

    last updateLast Updated : 2026-03-27
  • 血と束縛と   第11話(23)

     和彦はピクリと肩を震わせる。胸元を撫でた賢吾の手が、今度は後頭部にかかったからだ。思わず視線を上げると、賢吾がニヤリと意味ありげに笑う。そして、和彦の頭を軽く押さえつけた。意図を察した和彦は目を丸くしたあと、賢吾を睨みつけたが、拒めなかった。 促されるまま賢吾の両足の間に顔を伏せ、差し出した舌で熱い欲望を舐める。いい子だ、と言いたげに賢吾の指にうなじをくすぐられた。 頭上で賢吾が、物騒な仕事の話をしているのを聞きながら、本格的な愛撫を始める。 賢吾のものを深く口腔に呑み込み、熱く湿った粘膜で包み、吸引する。賢吾のものが逞しさを増していくのを待ってから

    last updateLast Updated : 2026-03-27
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